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三篠家離散日誌  作者: 三篠森・N
第3章 三篠家介護編
27/32

第27話 三篠森・Nvs詐欺師 新たなる戦いの開幕

 新たなる戦いが幕を開ける。

 新章は父の足の障害、そして認知症、今後検証が必要だが9割9分、父は詐欺師にカモられていることが発覚した。


 順を追って説明していきたいが、今回はとりあえず詐欺の主軸にする。


 父の足の状態が非常に悪いことは本誌既報の通り。弟が亡くなった時は20分と歩けない、具体的には池袋駅からサンシャインまで歩けないぐらいに弱まっていた父は、ついに3分と歩けなくなった。

 単身地方暮らしということもあり、俺に毎朝安否確認の連絡をするように言っているのだがそれも忘れがち、来たとしても俺が父のせいで嫌いになってしまった某野球選手の話しと足の状態の悪さを報告していたが、今回隣県の大病院の先生が出張で診察に来るというので同行することにしたのだが、とにかく父の認知症が進行しており、同じ質問・話題を繰り返す、ものをよくなくす(カギ、財布、鞄、スマホなどを俺の滞在4日で10回近くなくす)、介護認定や診察の予定はほぼ忘れる、医師や役所の担当者の話はほぼ忘れる、大谷以外の野球選手の名前を全員忘れる、横浜DeNAベイスターズの名前をどうしても憶えられず大洋ホエールズと呼ぶなどヒドイ有様であった。


 そして、以前から株で損をしまくっているという話を聞いており、以前にも怪しいことがあったので少し父から情報収集してみたが、どうも投資詐欺にあっているようだった。


 いやらしい話になるが、母曰くは数年前は数千万はあった貯蓄、現役時代はばりばりで稼ぎまくっていたはずなのに、今は数百万しか残っていないと役所に言っているという。

 株で大損、大損という話は聞いていた。

 そして今回も、病院での検査の間(レントゲンからCTの移動中など)も、株の仲介人に連絡しない時が済まないようになっているのだ。


 その仲介人と父に関する情報が以下のとおりである。


・仲介人の名はテンドウ。

・父が株で損をしようが得をしようが、父がテンドウを介して金を動かせば手数料が仲介人に入る。

・テンドウに入る手数料は父の動かした金が大きければ大きい程増える。だから父はデカく金を使う。

・テンドウは頻繁に連絡をかけてくる。1時間に複数回かかってくることもある。

・テンドウは父にLINEし、銘柄を紹介して買うように催促している。

・父はテンドウに電話して株の状態を確かめないと落ち着けない。

・株をやめろというと激高する。「俺が損をしたのは今までは間違った投資をしていたからだ」「実業界へ貢献し、関りを持ちたい」「絶対に損をしない仕組みになっている」「このまま終われない」と主張し、損をしている。「じゃあ“正しい投資”というのはテンドウから教わったの?」というと黙り込む。

・テンドウから電話がかかってくると「全部任せますわ!」とテンドウに丸投げ。

・「じゃあお父さんが損をしても得をしても、結局テンドウは丸儲けだよね?」というと「そうだな」という。

・今まででテンドウを介した株取引では赤字。

・滞在中に上記の情報からほぼ詐欺であることや、どっちにしろ赤字なのだから株を辞めろと最後の忠告をすると「なんでそんなことをいうんだ! テンドウは真面目な男だ!」と激高。



 完全にカモ&洗脳確定演出だ。

 そもそも認知機能の弱った父は、電話やネットで東京のアパホテルを予約することすら出来ない。そんな父がネットで株取引など出来る訳もないのだから、テンドウに相当深くまで入り込まれている可能性すらある。

 ……。もう遺産とかどうでもいいんだが、借金だけ作らないでほしい。


 今後、警察等に相談予定ではあるが、父はもう誰の言葉も聞き入れず、耳の痛いことを言われると社会福祉士さんだろうと医師だろうと家族だろうと「うるせぇ!」と怒鳴りつけるため、聞き入れてはくれないんだろうな……。高速道路ではない道を80キロで爆走して俺が「スピード落せ」と言っても「俺が事故を起こしたことが一度でもあったか!?」と激高する。ちなみに事故は何回も起こし、スピード違反で捕まったことも二度や三度ではない。

 誰の言葉なら聞いてくれるのか……。急激に進行する認知症の恐ろしさに心底震撼した。

 もうテンドウに「運転はおやめなさい」と言ってもらうしかないのかな。

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