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第54話 ウイルス認定

「誰だ、貴様は」

「人に名前を聞くときは、自分から名乗るものです。教わりませんでしたか?」

「侵入者に、名乗る、名など、無い」

「それもそうですね。失礼いたしました。タイムは、タイム・RATS(ラット)と申します。マスターのサポートA.I.として生まれました」


 こういうときも、マスターとしか言えないのは不便だな。

 誰のことか、分からないよね。

 もしかして、一生マスターって呼べないの?

 頭の中でぐらいマスターって言わせてよっ!

 ……あーっ、もうっ!


「フン、大袈裟な、名を、持ちやがって」

「そうですね。では以後、タイムとお呼びくださいませ」

「今すぐ、ここから、出ていけ。そうすれば、見逃して、やらなくも、ないぞ」

「あら。随分とお優しいのですね」


 後ろ向いたら蜂の巣にされそうだな。


「10、数える、うちに、出ていけ。さもなくば、撃つ。10……9……」


 ご丁寧にカウントダウンまで始めたよ。

 ま、出て行けと言われて出ていったら、懐柔は難しそうね。


「名無しさん、外の様子を知りたくはありませんか?」

「名無しではない。6……5……」


 むむ、機嫌を損ねたかな。

 でも反応があったぞ。

 この方向でいいっぽい?


「名無しさんが名前を教えてくれないからですよ」

「3……2……」


 ええっ、反応無しなの?!


「冥土の土産に教えてくださいよー」

「0」


 うわっ、タイムの言うこと完全無視ですかっ!

 躊躇(ちゅうちょ)なく撃ってくるところも無慈悲ですね。

 秒間何万発かな?

 でも、この程度の火力(抗ウイルスプログラム)ですか。

 これならまだゾンビの噛みつきの方が、痛そうだ。


「すみません。もう少し真面目にやって頂けませんか?」

「……」


 うわ、無言で撃ち続けるの?

 でもその程度の火力(抗ウイルスプログラム)じゃ、あくびが出るな。

 ……お? 少し火力(抗ウイルスプログラム)上がった(バージョンアップした)のかな。

 学習型かぁ。

 少しは楽しめそう?

 なんて言ってる内に、1枚目の防壁が突破されちゃった。

 んー、修復が追いつかないな。

 少し真面目に抵抗してみる?

電脳戦が始まりました

イメージとしてはトロンでしょうか

次回は新衣装お披露目です

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