表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/142

第53話 死体は動かず、復讐を果たす

 あっぶな!

 危うく蜂の巣になるところだったわ。

 でも1つ分かったことがある。

 多分、私が動かなければ、気づかれない。

 その予想が当たったのか、再び私を見失ったらしい。

 多分見えてはいるんだと思う。

 ただ、センサーに反応が無いんだ。

 恐らく動態センサーにだけ反応が出ているんでしょう。

 モナカくんと同じだ。

 存在は確認できる。

 でもあらゆるセンサーに反応が無かった。

 今は立場が逆なのね。

 そういうことなら、散々データを取ってきたから分かる。

 となると、私は動かなければ見つからないということだ。

 警備ロボが部屋の中を徘徊する。

 もう、早く出てってよ。

 扉は幸いにも開きっぱなしになってる。

 あいつが後ろを向いたときに、外へ出る?


『エイル殿、大丈夫でありますか?』

『大丈夫よ。そっちこそ、どう、なの?』

『先ほど銃声が聞こえたのであります』

『そう? 私は、聞こえ、なかったわ』

『どうかしたでありますか?』

『な、なにが?』

『苦しそうなのであります』

『気にしないで。なんとも、ないから。そんなことより、ちゃんと、ナームコさんを、はぁ、守ってよね』

『分かっているのであります。……本当に――』

『しつこい、わよ!』

『失礼したのでありますっ』


 っはは、参ったわね。

 でも、ここを出た後、何処に行けばいいのかしら。

 外に出るには、一旦下に降りないといけない。

 そもそも警備ロボがどれだけ居るかも分からない。

 平常なら建物内に15人、倉庫内に30人らしい。

 侵入者が居るから、増援とかしてるのかしら。

 こんなヤツが相手とか、無理よ。

 逃げるのも難しそう。

 折角データを登録しても、認識できないんじゃ無駄よね。

 ロローさんでも、これだけの人数は厳しそうだし。。

 ナームコさんの石人形(ゴーレム)は……期待できないか。

 タイムちゃんの説得待ちかしら。

 これだからA.I.は厄介なのよ。

 出ていかないのなら、私が出て行くしかないか。

 この年になって、命がけで〝だるまさんが転んだ〟をやる羽目になるとはね。

 よし、完全に死角に入った。

 人形(ひとがた)を模してるんだから、後ろに目は付いてないはず。

 信じるからね。

 ソーッと、ソーッとよ。

 ゆっくりと足を動かす。

 一歩踏み出した途端、パキッと音を立ててしまった。

 なんで?!

 などと悩む暇もなく、警備ロボが振り向いた。

 急いで外に出るが、今度は足を滑らせてしまった。

 その瞬間まで身体のあった空間を、弾丸が通り過ぎる。

 立っている暇もなく、四つん這いで廊下に出た。

 その後を追って、弾丸が床にめり込んでいく。

 私は再び、蜂の巣を逃れた。

 でも、もう動けない。

 もう限界。

 廊下の壁に寄り掛かってうずくまる。

 私を追って警備ロボが廊下に出てくる。

 再び私を見失ってるみたい。

 一体なにを踏んだっていうの?

 ……ああ、砕け散った骨か。

 タイムちゃんの言うとおり、祟られちゃったみたいね。

 自業自得か。

 私もまたこうなるのか。

 それは嫌だ!

 嫌だけど、もう息を殺して耐えるなんてできない。

 肩に一発。

 足にも一発。

 魔素の流出が止まらない。

 魔素が足りない。

 思いっきり魔素を吸いたい。

 息が、苦しい。

 こんなちまちまバレないように吸ったり吐いたりなんかじゃ全然足りないの。

 お願い、思いっきり吸わせて!

 でも、そんなことしたら絶対位置がバレる。

 音が聞こえてしまう。

 頭で理解してても、身体が魔素を欲しがってる。

 懇願してくる。

 胸が苦しい。

 頭もボーッとしてきた。

 もう……ダメ、限界。

 お願いだから、1回くらい見逃してちょうだい!

 そんな願い虚しく、廊下に銃声が鳴り響いた。

死者を冒涜したものは、必ずその報いを受けるのです

次回は「エイル死す」……ではありません。一方その頃タイムは……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ