第31話 制御室
4階に入ると、様子が一変した。
明らかに白骨死体が増えている。
死体は雄弁だ、なんて言う人が居るけれど、私には分からない。
それに、私はそんなことに興味はない。
さっさと制御室を探そう。
ここは主に事務作業をこなしてたみたいね。
後は休憩所とか、食堂かしら。
当時の食糧事情が! なんて喜ぶ人も居るだろうけど。
私はあまり食事に頓着がない。
あんなモノは所詮エネルギー摂取の手段に過ぎない。
さて、4階もハズレということは、次の5階にあるのかしら。
文献どおりなら、屋上階を除けばここは5階建てのはずだ。
階段を上ると、何故かここはシャッターが降りていなかった。
開ける手間が省けるから楽でいい。
どうやらここは宿舎や更衣室になっているようだ。
お風呂まである。
っと、肝心の制御室が漸く見つかった。
ここに在ったのね。
扉を開けてもらい、中に入る。
椅子に座ったまま、白骨死体になってるわ。
最後まで職務を全うしたってことかしら。
お疲れ様。
後は私が引き継ぐから、もう休んでていいわよ。
というか、邪魔だからどいて。
『ちょっとエイルさん、それは乱暴じゃないですか! 死者は丁重に扱いましょうよ』
「こんなの所詮ただのカルシウムの塊よ」
『そうかもしれませんが……呪われても知りませんよ』
「なんと! 呪いの魔法陣が仕掛けられていたでありますか」
「そういう意味じゃないわよ。ただのオカルトよ」
「オカルト……でありますか」
んー、なんか変なシミが付いてるけど、完全に乾いてるし、なにかあったとしても私たちにはなんの影響もないし、気にするだけ無駄ね。
そ・ん・な・こ・と・よ・り♪
これが5千年前の、最先端のモノなのね。
電源は入ってるみたいだけど、起動確認で止まってるのか。
タッチペンで許可してやれば……ダメか。
えーと……隣のモニターにも同じ画面が表示されてるわね。
もしかして、同時に押さないとダメなタイプ?
どう考えても、1人じゃ届かないわ。
となると、私だけじゃダメね。
でもタッチペンは1本だけ。
私は勿論、ロローさんも操作することはできない。
もう1本作ってもらわないとダメか。
「タイムちゃん、アクセスできる?」
『そうですね……暗号解除が無理ですね。システムが動けばいけそうですけど』
「エイル様、そろそろ燃料が尽きるのでございます」
え、もうそんなに時間が経ったの?!
なんか早いわね。
「分かった、今戻るわ。ロローさん、戻りましょう」
「了解であります」
名残惜しいけど、今は戻るしかない。
粘ればできるかも知れないけど、電源が落ちたら同じことだ。
今は大人しく戻ることにしよう。
「のろい」と「まじない」、感じにすると同じ「呪い」
本質は同じなんだよね
次回は「法則が乱れる!」




