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携帯は魔法杖より便利です 第3部 親子  作者: 武部恵☆美
第3章 貿易センタービル
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第20話 異世界の文字

「とにかく、ナームコが入らなきゃ先に進まないんだから、さっさとしてほしいわ」

「それでは、行くのでございます」


 よしよし、これでやっと進めるわ。

 まずは自家発電設備を動かして、電気を復旧。

 その後は……くふふ。


「お宝お宝。ふひっ」


 床の点検口から壁沿いに下に向かって梯子が伸びている。

 シャフト内は当然だが、真っ暗だ。

 下を照らしてみても、底が見えない。

 エレベーターの天井も見えないということだ。


「ナームコ、発光物質は作れないの?」

「申し訳ございません。わたくしは化学式を存じないのでございます」


 なるほど。

 さすがに知らないものは作れないわよね。

 私だって無理だ。

 確かルシフェリンとルシフェラーゼを混ぜると発光するんだっけ。

 でも化学式までは知らないなぁ。


「我が輩、ランタンを持ってきているのであります」

「本当! よかった」

「今、点けるのであります」


 もっと早く点けてくれてもよかったのに。

 勿体振るなー。

 ロローさんがランタンを点けると、シャフト内がぱあっと明るくなる。

 ランタンを手放すと、真ん中当たりまでフヨフヨと浮いていった。


「もう少し下を照らせない?」

「了解であります」


 ランタンがスッと下へ移動していく。

 底はまだ見えないが、これで降りやすくなった。

 途中にエレベーターの扉があったが、開けることはできなかった。

 やはり電気がきてないと無理ね。

 しかし、本当に静かだ。

 空気も淀んで全く動いていない。

 梯子を下りる音だけが、コツコツと響いている。

 (しばら)く降りていると、(ようや)く底が……エレベーターの天井が見えてきた。

 中からだと何階に止まっているのか、分からないな。

 天井の点検口を開けて、下に降りる。

 それなりの高さがあるから、降りるのも一苦労だ。

 ナームコさんは背がそれなりにあるからいいだろうが、私はチビだ。

 天井からぶら下がっても、床まで結構ある。

 転びやしないかと思ったが、先に降りていたナームコさんが下ろしてくれた。


「ありがとう」

「どういたしましてなのでございます」


 エレベーターの扉は開いたままになっていた。

 よかった。

 開ける手間が省けたわ。

 外に出ると、ロローさんも下に降りてきた。

 さて、ここは何階かしら。

 辺りを見回してみたけど、分かるようなものはなさそうね。

 多分1階か、地下1階でしょう。

 文献どおりなら、地下は1階までのはずだもの。

 とにかく、発電設備を探すとしますか。


「行くわよ」

「当てがあるのでございますか?」

「ないわ。でも扉のプレートに部屋名が書いてあるから、分かるでしょ」

「部屋名……」

「……でありますか?」

「そうよ。手分けして探しましょう」

「エイル様、よろしいでございますか?」

「なによ、さっさと探すわよ」

「いえ、そのでごぞいますね。わたくし、この世界の文字が読めないのでございます」

「あー」


 そういえばそうだったわね。


「ならここでまってて。ロローさん、探すわよ」

僭越(せんえつ)ながら、我が輩もこの建物の文字は読めないのであります」

「あーそうよね。5千年前の文字だと、そうなっちゃうか」


 古代語に当たるわけだものね。


「いえ、古代語ならほぼ全て熟知しているのでありますが――」


 あら、意外と優秀ね。


「――勉強不足故、我が輩の知る古代語のどれにも当てはまらないのであります」

『エイルさんエイルさん』


 ん?

 回線が閉じてるわね。

 なにかしら。


『どうしたの?』

『ロローさんが知ってるはずありませんよ。だってこの文字は……』

『あ……そうだったね』


 この建物は転移してきたんだっけ。


「ごめんなさい。ここに書かれてる文字は、勇者文字でしたね。すっかり忘れてました。あははは」


 そうよね。

 読める人なんて居るわけがない。


「ちょっと待ってね」


 身分証に書いて、共有しますか。

 画像にしておけば、読めなくても分かるでしょ。

 ……多分。


「今送った画像の文字が書かれてる扉を探してちょうだい」

「エイル殿は勇者文字が読めるだけでなく、書くこともできるのでありますか」

「ま、まぁね」

「兄様に〝勇者のことはエイルに聞け〟と仰らせるだけのことがあるのでございます」

「それ、褒めてるの?」

勿論(もちろん)なのでございます」


 モナカくん基準なのが腑に落ちないけど、まぁいいわ。


「ナームコさんは、明かりあるの?」

「持ち合わせがないのでございます。ですので、ロロー様と御一緒させて頂くのでございます」

「え?!」

「我が輩と……でありますか」

「お嫌でございますの?」

「そのようなことは無いのであります」

「分からない者同士、ご協力お願い致すのでございます」

「……了解であります」

「ロローさん、いいの?」

「なにが、でありますか?」


 なにがって……

 心配しかないんですけど。


「大丈夫なのであります。民間人を守るのは、兵士として当然の責務なのであります」

「そ、そう? そこまで言うなら、私から言うことはなにも無いわ」


 わだかまりがあるだろうに。

 無理をしてなければいいのだけど。


「私はこっちを探すから、貴方たちはそっちをお願いするわ」

「分かったのでございます」

「了解であります」

異世界に出てくる異世界の文字

段々意味不明になってくなw

次回からどんどん魔法世界らしくない方へ走っていきます

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