第129話 一家団欒
夕飯ができたので、鈴ちゃんを起こしに行く。
時子とアニカはトレイシーさんのお手伝いだ。
「鈴、鈴、夕ご飯ができたぞ。食べるか?」
「うにゅ……パパぁ……夕ご飯? あれ、バスは?」
「もうお家に着いているぞ」
「あぅ……ごめんなさい。寝てしまいました」
「今日は歩き回ったからな。疲れたんだろ。ご飯はどうする?」
「鈴の分もあるんですか?」
「当たり前だろ。一緒に食べよ」
「はい、食べます。ありがとうございます」
前はこういうとき、飯抜きとか言われていたのかな。
こういうところは中々慣れてくれない。
意識にすり込まれているんだろう。
でも素直に食べることに同意してくれたぞ。
少し前進したかな。
「それじゃ、着替えようか」
が、今度は素直に同意してくれない。
「やーっ」って駄々をこねる。
とうとう俺に着替えを見られるのが恥ずかしくなったか?
昨日の今日で成長が早いな……とかではなかった。
どうやら今日買ってきた服を脱ぎたくないだけのようだ。
「ご飯で服が汚れちゃうぞ」
「着替えるー!」
よしよし、良い子だ。
部屋着に着替えさせてから食堂に戻る。
お、エイルが部屋から出てきているぞ。
「身体はもういいのか?」
「いいのよ。ただ魔素が足りないのよ」
「そっか。いっぱい食え」
「モナカじゃないのよ、無理なのよ」
「っはは」
……起きているなら、荷物のことを言っておかないと。
はあ……気が重い。
「明日のことなんだけどさ」
「タイムさんから聞いてるのよ」
おお!
既にタイムから話が通っているのか。
よかったー。
「そうか……悪いな、また遅くなって」
「気にしないのよ」
え、そうなのか?
絶対俺にも文句の1つくらい言ってくると思ったのに。
もしかしてタイムに散々言った後なのかな。
タイム、すまん。
『別になにも言われてないよ』
『ん? そうなのか?』
『うん』
……おかしいな。
俺、口に出してなかったよな。
そんなことか最近多い。
思わず口に出しているのか、それとも顔に出ているのか。
うーん。
それはそうと、ナームコはどうしたんだ。
『ナームコ、まだ終わらないのか?』
『兄様、お買い物は終わったのでございますか?』
そういえば、ただいまって言ってなかったな。
『もう帰ってきているぞ。ただいま』
『お帰りなさいなのでございます』
『それより夕飯はどうするつもりだ』
『後で頂くのでございます』
『夕飯くらいみんなで食べようぜ。出発なら午後に延びたんだから』
『そうなのでございますか?』
『ああ、今日買ったものが明日の午前中に届くんだ』
『存じたのでございます。今愛しの妹が行くのでございます』
誰が愛しいんだって話。
久しぶりに全員が揃っての食事。
鈴ちゃんが増えて賑やかになった。
ただ、タイムが俺にしか見えないし触れないのが残念だ。
鈴ちゃんのお陰で充電効率がよくなったとはいえ、まだダメらしい。
『ならアップグレードなんかしなければよかったのに』と言ったのだが、『シングルコアの消費電力自体は下がってるから問題ないよ』とかなんとか。
なんのことかよく分からない。
すっかりタイムの方が詳しくなってしまったな。
それにCPUよりGPUの方が消費電力が高いから、そっちを抑えないとダメとか。
今更だけど、俺も鈴ちゃんみたいに買った服に着替えてくればよかった。
一家団欒……か。
最初は4人だったのに、今では8人。
華やかだな。
いつもいつもテーブルに載せきれないほどの食事を用意してくれているトレイシーさんには感謝しかない。
毎日がバイキングみたいだ。
食事シーンは以上ですw
次回からは鈴ちゃんとシャワー再び