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第121話 娘の手料理

おにぎりは次回に持ち越しで

 朝御飯を食べて、午前中はのんびりと過ごす。

 昔話が面白いのか、時子にいろいろ読んでもらっている。

 アニカも携帯(スマホ)の画面を覗き込んで、絵本を見ている。

 異国、というか異世界の絵本だ。

 最近の塞ぎ込んでいたアニカにしては、いい顔をしている。

 絵本だけじゃない。

 動画もあるからと、再生している。

 興味を示したのは動物のドキュメンタリーだ。

 アニメとかじゃないんだな。

 そんなことをしていたら、トレイシーさんが台所でなにか作り始めた。

 時計を見ると11時半。

 もうそんな時間か。

 そういえばナームコは何処に行ったんだ?


「もうお昼か。ママと一緒になにか作ろうか」

「うん!」

「ねえモナカ、なにか食べたい物ある?」

「食べたいもの? そうだな……」


 わざわざ聞いてくるってことは、鈴ちゃんと一緒に作ってくれるってことだよな。

 なら簡単なものにしようか。

 目玉焼き……じゃ簡単すぎるか。

 厚焼き卵は朝失敗していたから、巻かなくて済む炒り卵とか?

 炒り卵といえば、そぼろとセットかな。

 どっちも炒めるだけだし。


「じゃあ、炒り卵とそぼろで」

「分かった。行こう、鈴」

「うん!」


 これならそんなに難しくないだろ。

 なんだけど、鈴ちゃんの不穏な声がちょくちょく聞こえてくる。

 大丈夫かな。

 トレイシーさんと3人掛かりでやっているみたいだ。

 もしかして、炒り卵とそぼろって結構難しい?

 なんやかんやと仕度が終わったのは12時を大きく回ってからだった。


『ナームコさん、そろそろお昼ですよ』

『あら、もうそんな時間でございましたか。申し訳ございませんが、わたくし手が離せないのでございます。後で頂くのでございます』

『そうですか? あまり根を詰めすぎないようにしてくださいね』

『ナームコ、なにやっているんだ?』

『船の応急処置なのでございます』

『応急処置?! 直し方が分かるのか?』

『回路の直し方は存じませんが、機械的な物はある程度直せるのでございます』


 それでも十分凄いと思うけどな。

 出掛ける前になにか持って行ってやるか。

 さて、ご所望の炒り卵とそぼろだが。

 んー、見た目は普通だな。


「味付けも全部鈴がやったのよ」


 味付けも、か。

 それは正直不安だな。


「大丈夫よ。ちゃんと味見してあるから」

「あ、いや。そんな心配は……」


 見透かされてしまった。

 顔に出てたかな。


「鈴、ありがとうな」

「えへへ、どういたしまして」

「2人も、ありがとう」

「ありがとうございます」


 お、アニカの声に少し張りがあるぞ。

 この調子で元気になってくれるといいんだけど。

 さて、それじゃあ肝心なお味はっと。

 うっ、鈴がジッと見つめている。

 た、食べづらいな。

 まずは単体で……うん、炒り卵は普通だけど、そぼろは味濃いめだな。

 ならご飯と一緒に……ああ、これはご飯が進むなあ。

 ご飯に炒り卵とそぼろを乗せ、ガツガツと掻き込んで食べる。

 うん、美味い!


「どうですか?」


 ほっぺたを膨らませ、モリモリと食べているんだ。

 不味いはずがない。

 それでも鈴は不安そうな顔をして見つめている。

 しっかり噛んで飲み込んだ後、「美味い!」と言って、また掻き込んで食べる。

 鈴は満面の笑みを浮かべ、時子も一緒に喜んでいる。

 見た限り、時子はすっかり元気を取り戻した感じだな。


『時子、元気になったな』

『……』

『タイムもそう思わないか』

『……』


 あれ、返事をしてくれない。

 エイルの様子でも見に行っているのかな。

 いつもなら[出張中]の看板を出しているのに。

美味しい手料理、食べたいよね

次回こそおにぎりですw

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