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クレイジー登山野郎

 世界観の作り込みやらボス戦のギミックやらを考えるのは難しいですね

 炎氷山脈ギヌンヘイム。推奨Lv80以上のフィールドで決してLv11が行っていい場所では無い。ならなぜそんな場所に俺が突撃するのか?理由は簡単、葉や鉱石等の魔力鍛冶に使う素材を求めてだ。高Lvのフィールド程高品質・レア効果を持つアイテムがあるのはゲームあるあるだ


 ギヌンヘイムの麓少し手前で街で買った防寒着を着てっと。気配隠蔽は常時発動が基本だな、ギヌンヘイムのモンスターに絡まれたら余裕で死ねる。アイテム良し魔力視認よし防寒着良し。ステータスもAGIに5ポイント、DEXに3ポイント注ぎ込んで良し!意を決して未開の領域ギヌンヘイムの麓に踏み込んだ


 ギヌンヘイムの麓は雪が降り積もっていて真っ白なフィールドだ。雪だるまとか作れるかな。その白い世界にサクサクと小さい足音を立てながら素材採取しながら歩くこと数分。遠くに猪型モンスターの姿が見えた。スキルオーブで取得した【鑑定】を使用っと


【ブリザードクレイジボア】


 うひゃー、Lvが表示されてないってことは少なくとも俺とLv差が30以上あるってことじゃん。遠回りしよ


 それから数十分ぐらいだろうか。四回目ぐらいの気配隠蔽のLvUP通知が消えるのを見ながらザクザクと深くなった雪に足跡を刻みモンスターと遭遇しないように躱しながら採取しつつ進んでいると段々と周囲が熱くなってきたような気がするのは


「──!だ───て!!」


 ん?いや気のせいか。プレイヤーなんて俺以外居るはず無いだろ。ここ推奨Lv80だぜ?


「誰かー!助けてーー!!!!」


 ……今度はハッキリと聞こえちゃったなあ。それに付随するようなドシンドシンと言う重い音も聞こえるなあ!?


「あ!丁度いいところに!こいつどうにかしてー!!」


 涙目になりながら走ってきたのは薄い銀色の髪に蝙蝠みたいな羽根を背中に付け左手に槍を持ち後ろに燃え滾るような赤い水晶群を甲羅から生やした巨大亀を引き連れた少女だった。……これもしかしてモンスタートレインか?


「【鑑定】!」


【フローティア・ヴァンスLv38】


【マグマ・クリスタルタートル】


『特異個体マグマ・クリスタルタートルと遭遇しました』


『プレイヤーが初めて特異個体に遭遇しました。ヘルプに特異個体・変異個体についてを追加します』


 ──よしあの少女連れて逃げるか!


「脇に抱えるが我慢しろよ!」


「ええっ!?ちょ!?」


 ダッシュで少女に近付くと同時に回収して反転して全速力ダッシュ。ああもう雪が邪魔!そのせいか巨大亀との距離が少しずつ無くなっていく。ここで別のモンスターと遭遇したらどうすっかな


「前!ブリザードクレイジボアよ!それに奥は崖!」


 フラグって怖いね。木々の先に出現したブリザード・クレイジボアと崖をどうするか考える。瞬殺は無理。横に逸れる、今と対して変わらねえ。巨大亀の討伐、自殺志願者かな?


 大人しく死ぬか諦める以外道が無い正に詰み。しかしたった一つだけ対処できる方法を思い付いた


「少しの間喋るなよ舌噛むぜお嬢様!」


 俺を見て嘲笑ったブリザードクレイジボアだが木々をブチ抜いて現れた巨大亀に気付くと直ぐ様逃げ出そうとしやがった。おう待てや!!


「ぶっっっっとべえぇぇぇぇぇ!!!」


「きゃぁぁぁぁぁぁ!!?」


 逃げ出すブリザード君の背中に飛び乗り一瞬力を溜めて全力で前へ飛び出す。崖底に落ちていくブリザード君の悲鳴を聞き流しながらギリギリ対岸へ着地!ブリザード君の高さが無ければ崖底に落ちてたな。ありがとうブリザード君!


「さすがにこの崖は越えられないだろ」


 ざまあ!と笑ってやろうと振り返った俺の表情は凍りつく。いやいやお前亀だろ?なんで前足にそんな力溜めて振り上げてるんですかね!?


「グルゥ……オオオァァァァ!!!」


 思いっきり地面を叩いた勢いを推進力に跳びやがった!?


「あいつ亀だろ大人しく帰れよぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 巨大亀が着地する前に急いで離れる。おっと左側に洞穴があるじゃんラッキー!急いで洞穴に避難した数秒後に亀も突っ込んできた。だがあの巨体は入りきらず顔だけが入ってきた


 暫くの間どうにか洞穴に入ろうと足掻いた巨大亀だったが遂に諦めたのかトボトボと去っていく


「一先ず助かったのか……?おいお嬢様?もしもーし、起きろー」


 いつの間にか気絶していた少女をそっと地面に置いて頬をつんつん突っつく。あ、起きた


「あれ?ここは……私、確か追いかけられて……」


「その通り。俺が助けてやったんだぜ?まあお嬢様を連れて逃げただけなんだけどな」


 改めて少女を見てみるとどこかお嬢様っぽいな。赤色のドレスっぽい服とかそう


「そう……だったわね。崖を飛んだときに気絶しちゃったみたい。ありがとう、礼を言うわ、えっと……なんて呼べばいいのかしら?」


「バロイルって呼んでくれ、俺の名前だ。ところでお嬢様はなんであの巨大亀に追いかけられてたんだ?」


「分かったわバロイル。そうね、それを話す前に私の事情から話しましょうか。私はフローティア・ヴァンス。一国を治めた偉大なる吸血鬼ガルティア・ヴァンスの一人娘よ」


 ほーん吸血鬼。ってことはフローティアも吸血鬼か?


「ま、国を治めてたのも今じゃ昔の話。今はもうその国は無いのよ。……あの憎きメガスタム・グラムによって滅ぼされたのだから。私はそいつに復讐するために旅をしてるの。だから貴女、私を強くしてくれないかしら?こんな場所に居るんだもの、相当強いのよね?」


 ふーむ、確かにプレイヤースキルには自信があるがLv的にはなあ……


「悪いが俺のLvは11だし職業は鍛冶師だ。だから今はお嬢様の力に成れるほど強くはない」


「は?か、仮にそうだとしてなんでこんな場所に居るのよ!?ここ推奨Lv80よ!?貴女バカなの!?」


「見事なブーメラン飛ばすなよLv38。それに今はって言ったろ?これから強くなってお嬢様の手伝いをしてやるよ」


 ニヤリと笑って右手を差し出す


「そう……。それじゃあこれからよろしく頼むわ」


 ガッチリと握手が交わされる


『ワールドクエスト【穢れ続ける死者の群れ】を受注しました』


 んえ?ワールドクエスト??って確か公式サイトで存在が示唆されていただけの特別なクエストじゃねえか!?サービス開始から一日も経ってないのに見つけちゃったよ……


 詳細は後で確認するとして今はやるべき事をしないとな


「さて、これから鉱石掘るからお嬢様は休んでて良いぞ」


 武器を銅級のツルハシに切り替える。鍛冶師たる者鉱石ぐらい掘れないとな!


 フローティアの呆れた視線を受けながら洞穴の壁を掘ること数十分。取り敢えず満足できる量の鉱石とアイテムが取れた。代わりにツルハシがボロボロになったが


【氷塊鉱石

 ▷氷属性を帯びた鉱石】


【氷結晶

 ▷氷属性を内包している結晶】


【悠久氷結晶

 ▷悠久にも等しい時を過ごし膨大な氷属性を内包した氷結晶】


 等々。最初はただの石しか採れなくて苦労したなあ。採掘スキルを取得してLv5になった辺りから石以外が採れるようになったんだよな。特に悠久氷結晶なんて一個しか採れてないから慎重に使い道を決めないとな


「やっと終わったのかしら?」


「ああ終わったぜ。早くこの鉱石達を武具にしたいしとっとと降りるか」


 洞穴の外に敵無し、ヨシ!下山開始!




「はあ……はぁぁぁぁ……。やっと撒けたか」


「そうみたい、ね。ほんと酷い目に合ったわ」


 モンスターの大群に追い回されながらも無事麓入り口まで戻ってこれた。生きてる、俺生きてるー!!


 ってかモンスターに追い回されたのは隠蔽系スキルを持ってないお前が十割原因なんだよなと言う言葉は飲み込んで代わりに疑問を口にする


「そういやなんで羽根仕舞ってんだ?」


「これから人間族の国に行くのでしょう?なら私が吸血鬼ってことは隠しておいた方が良いのよ。モンスター認定されて追い回されるなんて私嫌よ」


 成る程なあ、ちゃんと考えてるんだなと感心しながらソーガ達にメッセージを送り防具を駆け出しシリーズに戻しながらファリア王国に戻る帰路を行く


 無事にファリア王国の門を通過してそのまま生産職ギルドへ。中の待機所にはイスに座って俺を待つ三人の姿が有った


「あ!お姉ちゃん!その子は誰?」


「こいつはフローティア、あまり大きな声じゃ言えないがとあるクエストの鍵を握る奴だ。それ含めて後で纏めて説明してやるよ」


 ソーガもソロモも聞きたげな目をしてたが無視して受付のおっさんに一言言ってから鍛冶の作業場へ。前と同じ金床の前に立ち素材を取り出す


「おお!見たことない鉱石やアイテムばかりだな」


「だろ?苦労してギヌンヘイムまで行った甲斐があったぜ」


 あ、ソーガが固まった。まあいいか


 装備を鍛冶槌に切り替え金床に氷塊鉱石と【万年氷結樹の枝】を置いてっと。前より難易度が上がったモグラ叩きをパパパッとこなして出来上がったのがこちら。【アイスインゴット(INT5・氷属性与ダメージ5%UP)】


「これを銅級の杖に使うのは勿体無い気もするがやるか」


 このインゴットと万年氷結樹の枝を素材に銅級の魔導杖制作っと。はい完成。見た目は魔法使いの杖っぽく先端はアーチ状になっていて持ち手の部分は少し青っぽくなってるな


「INT20に氷属性与ダメージ7%UPか。作る時にも万年氷結樹の枝を使った影響か更に上がってるな。これはソロモにやるよ」


「いいの!?ありがとう!わっ、スゴい!まさか初日でこんなスペックの杖が手に入るなんて!」


 出来上がった杖を渡したら大層喜ばれた。鍛冶師冥利に尽きるね。さて次は斬属性が上がりそうな【氷斬草】を混ぜてっと。【アイスインゴット ▷STR5・斬属性与ダメージ5%UP】の完成。予想通り斬属性とおまけでSTRが上がったのでこれを後二つ作ってそれをリア用と俺用の片手剣とソーガ用に双剣制作っと


『鍛冶のLvが上がりました』


『魔力鍛冶のLvが上がりました』


「これで今まで以上に敵を倒しやすくなったな」


「ああその通りだ。さて武器作りは終わったし次は盾と防具だな」


 氷塊鉱石は無くなったので普通の鉄鉱石にVITが上がりそうな素材混ぜてインゴットにしてそれを素材に鍛冶Lvが上がったことで作れるようになった銀級の盾を制作っと。次は軽鎧だな


 AGI上がりそうなの有ったかな……うーん、無いな!代わりにVITが上がる素材を使って銀級の軽装を三つ、万年氷結樹の枝を使って銀級の魔導ローブを制作っと。ついでに銀級のツルハシも作っとくか


「取り敢えず装備はこんなもんで良いだろ。んじゃ宿屋行くか」


 帰り際にも受付のおっさんに挨拶して適当な宿屋へ。部屋取った時の店員少女の何か言いたそうで言わない顔はちょっと面白かった。あの店員少女、ソーガがハーレム築いてると勘違いしてるな。面白そうだから解く気は無いが


「それじゃあ話すわね。お父様の国を滅ぼした仇敵メガスタム・グラムについて」

【魔導ローブ】魔力の不思議なパワーで鉄製なのに動きを阻害しない程度には柔らかく出来ている。裁縫スキルで作った場合はINT・DEXが上がるが鍛冶スキルの場合はINT・VITが上がる


 バロイルに踏み台にされた挙げ句巨大亀にも蹴り飛ばされて落下死したブリザード君かわいそう


 ワールドクエストとは。ぶっちゃけクリアしなくても良いがしないと国か大陸が滅ぶ。世界各所にワールドエネミーは封印されてるので割とヤバい

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