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竜の血を浴びた樹は翼を得る

【属性結晶】内包されている属性によって色が変わる結晶。魔力を流すと内包されている属性の力を放出する。主に杖や防具に使われる


【新武器種命名権】既存のどの武器にも当てはまらない武器を作るとその新武器種の命名権が作った者に発生する


【劣化竜血樹】劣化竜種の血を浴びた樹木の総称。劣化種とは言え竜は竜。その血に宿る膨大な魔力は浴びた樹木を強固にする


 ゴッツい装備を使う男の娘、良いですよね

「さて月下草、か」


 攻略掲示板を見ながらそう呟いた


 フィールド【月見ヶ丘】のボス【クレイムーン・リーフプラント】から取れるアイテムらしいな

 そしてそのボスは夜にしか出現しないらしい。夜以外の時間帯に行くと【メルトサン・リーフプラント】になり【陽下草】が取れるらしい。こいつはこいつで攻撃力アップポーションの材料になるそうだ。……錬金術取得しようかなあ


 まあそれは後々考えるとして。何故月下草が必要なのか。事の始まりは約三十分前に遡る




「お、帰ってたのかリア、フローティア」


 ダンジョンから帰るとリアとフローティアがクッキーを食べていたので俺も一口頂いた。これはリアが作ったやつだな、甘さと口当たりが前に作ってくれたのと一緒だ


「うん、ただいま、お姉ちゃん!どう?そのクッキー美味しいでしょ?フローティアちゃんと一緒に作ったの」


「フローティアと一緒にか。よく出来てるよ、美味い!」


 にへへ、と笑うリアとフローティア。うん、今日も家の妹は最高に可愛いな!!!!!!


 わしゃわしゃとリアの頭を髪型を崩さない程度に撫でているとソーガからメッセージが来た。チッ、俺の楽しみの時間を邪魔しやがって


「あ?なんだこれ……記号の塊?いや、周りの壁から察するに古代文字みたいなやつか」


 メッセージには画像が一枚。ちょっとボロい石の壁に謎の記号が羅列されていた。次に送られてくるメッセの内容が何となく察せたよ


【ソーガ】〈これの解読するための本探し手伝ってくれ!


 でーすよねー、めんどくさー


「どうしたのお姉ちゃん、そんな顔して」


「明らかに面倒事に巻き込まれたって顔してるわよ」


「実際巻き込まれたんだよ、ほれ」


 ソーガから送られたメッセを見せると二人とも少しげんなりとした顔になった。分かる。解読するための本ってあれだろ、図書館だろ。三階建ての。棚にギッシリ本が詰まってる

 ファリア王国の図書館はある程度ジャンル分けされてたけどそれでも一ジャンル辺りが結構多かったし古代文字の解読書となると探すのはとても面倒そうだよなあ


【バロイル】〈OK、サファル王国にある【炊き込み亭】の【極炊き込み定食】を奢るなら手伝ってやる


【ソーガ】〈うっわ高そうなメニューだな。まあ多分払えるだろうしいいぜ、奢るよ。集合場所はファリア王国の図書館で


【バロイル】〈言質は取ったからな


 あれ一食15万Gするしそれがソーガ含めると六人分だから……90万Gか。うわ高い。ちなみに既にこの会話はスクショ済だから言い逃れはできないぞ☆


 逃 が さ な い ぞ ☆


「ソーガから奢りの言質取ったし図書館に行くぞー!」


「「お~……」」


 やる気無さげだなあ……2億3580万5475冊の蔵書の中からノーヒントでたった一冊を探す【深淵図書館】のクエストよりは簡単だと思うけどなあ。うっ、思い出したら頭が。忘れよう




「三階に入るには銀級のギルドカードが必要、ねえ」


 図書館の机に上半身を投げ出し静かに愚痴る。神殿に寄って【上級鍛冶師】に転職した後、図書館の一階から二階を探したもののファリア王国の図書館には無かった。と言うわけでブローイン、サファル王国の図書館も探したが見つからず後は各王国の図書館三階を残すのみとなった

 そしてここで三階に上がるには銀級のギルドカードが必要という事実にブチ当たった訳だ


「ギルドのクエストをこなしていけば上がるわけだし、パパッとやっちまおうぜ」


「クエスト三十回以上クリアってのがなあ、面倒だよなあ」


 んまあ最大五つまで同時受注もできるから時間はそんなに掛からないだろうけど……それでも数が数だけに面倒なんだよなあ!


「ま、やらなきゃこの謎の文字は解読できねえし、ギルド行くかぁ」


 そうしてギルドで依頼を二十六回こなし残り三つという所で妙な依頼を見つけた


【納品クエスト:月下草 報酬800G】


 納品クエストにしては随分と報酬が低いな。下級薬草納品クエスト並じゃねえか


「すいません、月下草の納品クエスト何ですけどなんであんなに報酬が安いんですか?」


「あの納品クエストは依頼人が子供でして。どうやら貯金の全てを報酬に出しているのですが……採ってくるのが月下草ですから誰も受けようとは……」


「子供が依頼人か……。なら俺が受けます。後【ムーンウルフ】の討伐クエストとアイスウッド木材の納品クエストも受けます」


「はい。受注確認しました。この三つを達成すれば銀級へ昇格ですね、頑張ってください!」


 ありがとうございます、と返してギルドに備え付けられているイスに座って掲示板で月下草について探し始めた




 と言うわけで今に至る。夜になるまで時間あるしパパッと昼飯食って劣化竜血樹使って何か武器作るか


 はい自宅に戻って鍛冶設計図起動。今回は劣化竜血樹をナックルに……いやそれだと炎災豪爪と被るな。この素材はメチャクチャ固いから打撃系の武器が適してるだろうからハンマーとか棍棒とかが良いんだろうが……いっそ腕全体を覆う形で……腕全体を?

 これだ!ギミックに必要な素材は有るし行ける!行けるぞ!!ワハハハハハ!!!




 そうこうして武器を作ってるうちに夜になり俺、リア、フローティア、ソーガ、ソロモ、アルベルスの六人パーティーで目当てのフィールドに来た。カラド村以来だな、クランメンバー全員でパーティー組むの


 道中は特に面白味も何もなく気付けばボスエリア前に居た。出てくる敵のほぼ全てをソーガが直感で先読みして倒してくんだもん俺達の出番少なかったよ

 そして今はボスエリア前に机と人数分のイスを置いた簡易休憩所で夜ご飯中だ。フローティアは住人だからな、食事は必要だ。まあ俺達も食べてるんだけど。ソーガが持ってきた【シューターダッグ】の衣揚げとキャベツを挟んだサンドイッチだ。ちょっとパチパチ弾ける刺激的な味だな


「んで、ソーガとソロモとアルベルスは銀級に昇格したんだろ?解読本は有ったか?」


「有ったぞ。内容もスクショしたし【解読Lv1】ってスキルも手に入ったぜ」


 ほーん解読。今後も古代文字とか出てくるんなら必要になりそうだな、銀級に昇格したら取ってみるかあ


 さて食べ終わったし【竜血樹外装】装備っと


「うおっ!かなりゴツいな」


「だろ?ギミック仕込むのに必要なサイズってなるとこれぐらい大きくないと全部仕込めなくてな」


 竜血樹外装は武器種としては新種と言うことで俺に命名権が有るとお知らせが来たので【魔力式駆動外装】と名付けた

 サイズは俺の腕より二回りほど太く右肩から先全てを覆っている。チャームポイントは腕から生えている二対の翼だ。この翼は可動域が広く更に刃をそれぞれ三本ずつ仕込んであり展開時はこの剣が伸びてリーチが伸びるロマン仕様だ

 おまけに属性結晶も内蔵してるためMPを消費して属性魔力弾も撃てる


 ちなみにこの翼のモチーフは見れば分かる通りバルフ◯ルクだ。カッコいいよな、あいつ


「新武器披露もいいけど、そろそろボスに挑もう?」


「そうだな、行くか!」


 エリアを隔てる草のアーチを潜った。最後にアルベルスが潜った瞬間ボスエリア中心の地面が隆起してボスが、クレイムーン・リーフプラントが飛び出す


 ボスの見た目は足の様に蠢く六本の蔦に支えられた三日月型の土の塊に蔦やら枝やらが巻き付き触手のようにウネウネしている。そして土の塊の天辺には目当ての月下草らしき草が生えている


「まずは属性弾発射!」


 腕の二翼と五本の指先をボスに向けてよく燃えそうな火属性と風属性の魔力弾を放つ。全弾命中したボスのHPがグングンと減っていき……減って……


「えー、あれで死ぬの……?」


 そのままHPバーが空になり砕け散った。えぇ?脆くない?いくら推奨Lv20のフィールドボスとは言え魔力弾の連射ぐらいは耐えてほしかったなあ……


「バロイル、もう一回行くか?」


「月下草は手に入ったからやる必要は無いんだが……いいのか?」


「そりゃそんな消化不良な顔してれば、なあ?」




 それから五周程、先端を尖らせた鋼鉄糸で相手を突き刺し巻き取ることで高速接近しぶん殴るパイルバンカーみたいな技や翼に仕込んだ剣で切り裂いたりしてボスマラソンをしてからギルドに帰還した


「はい、クエスト三十回の達成を確認しました。おめでとうございます!バロイル様、リア様、銀級に昇格です!こちら、銀級のギルドカードになります!」


 受け取ったギルドカードは目立たない程度に銀色に輝いていた。これで三階に行けるわけか。現時刻は十時半。図書館行って解読を取得する時間ぐらいはあるな


「早速図書館に行って解読取得してくるかあ」




 サクッと解読を取得した翌日。レイドイベント開催の二日前。俺達は例の古代文字が書かれた壁がある場所までやってきた

 推奨Lv65のダンジョン【レスティレント遺跡】そのボス部屋の壁に古代文字が書いてある。ん?ボスはどうしたって?竜血樹外装で殴ってソーガがトドメ刺したよ。んなことより古代文字だ


「『太陽と月を隠せ』……?え、これだけ?」


 スキルのおかげで古代文字が読める!読めるぞ!となったのはいいがなにこれ。さっぱり分からん


「あれじゃないか?ほら、通路の壁に壁画が画かれてるだろ、あの中に太陽と月が画かれててそれをどうにかするんじゃないか?」


「あっ、それかあ!じゃあ一旦ベアで別れてダンジョン内の壁画から太陽と月を探すか」


「私はお姉ちゃんとペアになりまーす!」


「私はソーガ君とね。残ったアルベルスさんはフローティアちゃんとペアになるけどいいかしら?」


「ん、問題無いよ。フローティアちゃんが前衛を勤めてくれるから」


「任せなさい。この魔槍に誓ってアルベルスは守るから」


 少し貫禄が出てきたな。まあこのダンジョンのモンスターがソーガより弱いってのもあるんだろうけど




【バロイル】〈太陽と月は……見つかりましたか?


【ソロモ】〈さっぱり。二周ぐらい回ったけど全然見つからないよ


【アルベルス】〈こっちも同じ。ここまで探して見つからないとなるとあの古代文字は直接太陽と月を指す訳じゃないのかも


【バロイル】〈俺もそう思います。つーわけでそろそろ合流しようぜ。ボス部屋前で待っとく


 クランメッセージでやり取りした約十分後、全員揃った


「では第一回レスティレント遺跡の謎解明の会を始めます!議題は古代文字が指す太陽と月が何を指すか!」


「はい!」


「どうぞ、リア君」


「ノーヒントなので諦めてレイドイベントに備えた方が良いと思います!」


「その通りだな。よしじゃあ解散!」


「待て待て待て!?諦めるの早すぎるだろ!!」


 えー、そんなこと言われてもなあ


「ヒントが全く無いんだぜ?どーしようもないだろ」


「そうだけどさあ……ここまで来て謎が解けないってのはなんか後味悪いよなー」


 等と文句に近い愚痴を溢しながらレスティレント遺跡を後にした

【上級鍛冶師】武具を五十個以上作成かつ鍛冶スキルLv5以上かつLv40以上で転職可能になる鍛冶師の上位職。転職時【即席鍛冶】と言う品質は下がるがどこでも鍛冶ができるスキルを取得する


【魔力鍛冶】鍛冶スキル未取得または鍛冶スキルLv1かつスキル経験値0の状態でランクC以上の魔石を使いパーフェクト判定で鍛冶を成功させると取得


 バルファル◯って格好良いですよね。翼からレーザー撃ったりするの。ただし襲撃は許さない


 孤高系ヒロインが主人公君と交流を重ねる内に孤独に耐えられなくなって主人公君を求めて捕まえて監禁または軟禁しちゃう展開、性癖に刺さりすぎる。お前のせいで私は!とかクソデカ愛憎向けられると尚良い

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