カラド村防衛戦 その5
【鋼鉄糸】レッサーグリネタル鉱石とドンネタル鉱石で出来た糸のようなもの。見かけによらず頑丈
やっと、防衛クエストが終わってサービス開始記念イベント編が書けるんやな
カラミティスト・フォレストベアー率いる大群の最前列とプレイヤーと住人達が激突する
爆発や矢や魔法が飛び交ってはモンスター達が砕け散る。プレイヤーも何人か砕け散った。あ、フォレストウルフが打ち上げられた
ボスは悠長に歩いてきてるからちょっと大群のヘイト集めてソーガに擦り付けるか
「【パワーショット】!【スピアーショット】!」
一矢目は着弾地点にカスダメだが小規模な衝撃を発生させるパワーショットを、二矢目には貫通効果の高いスピアーショットを放つ。大群の一部の目が俺に向いたねえ
目の前に居るフォレストベアーの腕の振り下ろし攻撃を避けて腕を中継地点に頭上に飛び乗りその首を切り落としながら跳ぶ
「もっと俺を見やがれ!」
跳躍中に矢を一発射って着地先のモンスターの付近に比較的小柄なモンスター、例えば【フォレストゴブリン】等が居れば鋼鉄糸で首を絡めとりジャンプしたついでに上空に放り投げて落下死させる
これを十回程繰り返せば弓でヘイトを稼いだ時より多くヘイトが俺に集められた。もう良いかね
「へーいソーガくーーん!!!おっ届け物でーす!!!」
跳んで跳んで跳んで、最後にソーガの後ろに着地
「おまっ!!?擦り付けとかやめろよ!」
「えー?同じクラン所属なんだし助けてくれよクランマスタ~?」
「モンスターを集めやがった奴の言うことじゃねえなおい!」
と言いつつ真っ向からモンスター達の相手をしてくれる辺り優しさが窺えますね。それに俺も加わってモンスター達の首を切り落とす
フォレストベアーの凪ぎ払い攻撃を飛んで回避し首を落とし上から襲いかかってきたフォレストウルフの胴体を蹴り上げ浮いた所で首を斬る
次にフォレストゴブリンをボールみたく蹴り飛ばして他のプレイヤーを攻撃しようとしていたフォレストウルフに当てて硬直したところを二体とも斬首
「すまない、助かった!」
「どういたしまして、っと次が来るぞ!」
大群の第二陣に控えていた【フォレストウッド】が枝を触手みたいにうねらせてフォレストゴブリンやフォレストウルフを絡めては投げると言うちょっとシュールな光景が各地で広がり始めた
「あークソ!武器が壊れた!」
「武器が壊れた奴は後ろに下がって修理してもらえ!」
「MPポーション!誰かMPポーションを私にちょうだぐわー!」
「ああもふもふ、しあわ」
およそ五分経過した現在。敵のLvは36まで跳ね上がりDEFとHPもじわじわと上がっている。その上武器を酷使せざるを得ない状況の奴らから武器の破壊報告やらポーション枯渇報告やらが多数上がっている
俺は途中からヘイルブレイダーから昨日作っといた金級の片手剣に切り替え温存している。相手の数が多いから既に一本破壊してしまい二本目だ
一体倒すのにクリティカルポイントに四回当てないと倒せないほど敵が強くなってやがる。素のATKの低さが響いてきたな
ソーガを見てみろ、首を一撃で落として無双してやがる。ソロモを見てみろ、炎と水で構成された双頭の蛇が無双してやがる。リアを見てみろ、ソーガと同じく一撃で倒して無双している
これが生産職と戦闘職の悲しき差か。とは言えこの火力不足を補う事は出来るので早速やっていこう
まず片手剣を二本アイテムボックスから取り出します。次に鋼鉄糸を持ち手に絡めて持ち上げます。はい片腕フリーなまま三刀流の完成です。火力三倍!……これ限界まで鋼鉄糸伸ばして沢山剣絡めたら強そうだよな、トゲトゲしたモンスターの尻尾みたいな感じで
「うわ、バロイルお前それあのウネウネするキモい動きをする糸か!」
「キモい言うな!ヌルヌル動く糸と言え!」
フォレストベアーの首に三本の剣を突き立て倒し、フォレストゴブリンの武器を余っている鋼鉄糸で取り上げスラッシュを発動……お?鋼鉄糸で絡めてる武器からもスキルが発動してフォレストゴブリンの胴体を三つに切り分けた
ふーん?絡め持ってる武器でもスキル発動できるんだ。戦略の幅が広がるな?
今のところ三体まで同時に攻撃出来るがスキル無しだとワンキル出来ないが処理速度は上がっている。さて鋼鉄糸の操作にも慣れてきたし剣追加するか!
「バロイル君、来たみたいだよ」
「だな。んじゃおちょくってくるかね」
視線の先、大群の最前列に遂にこの防衛クエストのボス、カラミティスト・フォレストベアーが到着した。悠々と余裕ぶって歩きやがってよォ!お前のその豪腕ぶった切るからな!ソーガが
「【パワーショット】!」
ボスに向けて放たれる他のプレイヤーや住人の攻撃に俺の矢による茶色の目を狙った狙撃を混ぜる
「グルゥ……」
わあ、魔法も矢も全部毛皮で止められたし目を狙った矢も瞼で止められた……いや固すぎだろその毛皮。まあ俺の役目はあくまでソーガ達が取り巻きを倒すまでの時間稼ぎだ
MPポーションを取り出して前方に放り投げると同時に走りだし飛び掛かってきたフォレストウルフをスライディングで躱しフォレストゴブリンは起き上がった勢いを利用し顔面に膝蹴りをかまし回し蹴りで吹き飛ばす
叩き潰そうとしてきたフォレストベアーの腕を足場に頭上に飛び乗りさらに跳ぶ。瞬間ポーション瓶が頭にぶつかって砕けてMPが回復
「【ソニックスター】!」
即座にスキルを発動する。狙うはカラミティスト・フォレストベアー、の少し上
さてここで少しおさらいの時間です。このスキル、ソニックスターのモーションは剣を高速で突き出し突進するモーションです。それを踏まえて
Q.滞空中にソニックスターを斜め上に向けて発動するとどうなるでしょう
A.剣を向けた方向にぶっ飛びます
よっしゃ実験成功!飛んだと言うより剣に引き摺られたとかそんな表現が似合うぶっ飛び方だったがまあ成功したのでヨシ!
無事、ボスの頭上に着地出来たので、合計五本の剣からなる五重ソニックスターを食らえ!
「グオアァ!?」
おー、ボスのHPバーが少しと俺のMPバーがごっそり減少した。それと同時に頭をブンブンと振り始め俺を落とそうとしてきやがった。だがしかし!残念だったなあ!左手に握る剣と鋼鉄糸で絡め持ってる剣が突き刺さったままだから振り落とされませーん!
でも揺れることは揺れるのでそろそろ止めて?
「止めろつってんだろうがよォ!!」
左手に握る剣を抜き出しボスの茶色の目を目掛けてソニックスターを発動させながら思いっきり突き刺す
「グオアアァッ!??」
おおっと赤色の目が光っ
「【アクアガード】!」
あぎゃあああああ!???あっつい!超至近距離での火の波メチャクチャ熱い!!すごく熱い!!しかもHPが一気に赤く染まってやがる。ソロモが水の壁を張ってくれなかったら死んでたかもな。現に俺と同じ軽装のプレイヤーが死んだし
にしても兆候出てからタイムラグほぼ無いじゃんねえ!!事前に言っとけやソーガお前!!女子制服着せて通わせるぞテメェ!!
「大丈夫バロイル君!?」
「ポーション飲んだから大丈夫ついでに食らえオラァ!」
飲み干して空になったポーション瓶をボスの頭上から飛び降りながら放り投げる。ソーガの頭上に向かって
「うわ何だ!?バロイル!何すんだよ!」
ちっ。やっぱ防がれるか。まあ良い。ボスからのヘイトは充分稼いだはずだ、なんせ奴の俺を見る目がすっげー血走ってるんだもん
それじゃあこれからはボスモンスターによるフレンドリーファイアパレードだヒャッハー!やり方は簡単!ボスからヘイトを稼いだらモンスターの大群に突っ込みます!ボスが追い掛けてきたら攻撃を誘発させて大群を攻撃させます、以上!
これディザクロの【ティール・グランゼロ】って言うボスに超有効な戦法だぞ!プレイヤーからのダメージ50%カットしてくる取り巻きはボスからの攻撃には特に耐性無いしな
「グオォアア!!!オオオオォォォォオオ!!!!」
「怒ってる怒ってるぅ~。その調子でどんどんフレンドリーファイアしてけ~」
茶色の目が光り即座にジャンプ、その間に地面が二秒ほど揺れて収まり着地狩りの如くボスの豪腕が迫る。がしかしジャンプ前にフォレストベアーに巻き付けた鋼鉄糸を巻き取りその豪腕はフォレストゴブリンやフォレストウッド等を巻き込みながら空振る
タイムラグほぼ無いって知ってれば躱すのは然程難しくないな。死界に居る【ヴォルグレストハザード】みたいに当たったら死確定って訳でもないし気楽なもんだ
「後少しで取り巻きの殲滅が終わりそうだな」
短剣と矢を同時にボスの両目に向けて放ちながら小さく呟く。だって大群はもう残り一割程しか居ないもんね
さてあともう一息!
豪腕が地を叩き土煙が巻き起こる。ひらりと余裕を持って躱した後短剣を投擲する。勿論瞼に拒まれるがヘイトを俺に向け続けさせるためのものなのでダメージは大して期待してないから問題無し!
お、遂に取り巻きが全部倒れたな。て事は
「待たせたなバロイル!」
遅れてやってくるヒーロームーヴ決まってるねえソーガ!でももっと早くに来てくれ、HPポーション全部飲み干しちゃったんだが
「まったく待ちくたびれたぜ、ソーガ!」
後はソーガのサポートしてボスを倒させたらおしまいだな!……ん?なんかボスの様子がおかしい、ってか力を溜めてるようなモーションしてるんだが?
「グオオオオオオオォォォォォオオオオ!!!!」
うるせえ!!至近距離で叫ぶな鼓膜が破れるだろ!!!それはそれとして。ボスの見た目が一変した。三つの目と同じ色のラインが全身に走り左腕は水を纏い右腕には炎を纏った異様な姿になった
こいつの発狂トリガーって残存HPじゃなくて取り巻きの全滅かよ
「取り巻き全滅させたのが裏目に出たなソーガ?」
「まあな。だが倒せなくはないだろ、何せここには俺とお前が居るんだ。だから遅れるなよ、悪逆?」
「ハッ、何が遅れるな、だ。お前こそ俺に遅れんじゃねえぞ!剣王!」
前言撤回。サポートなんざ止めて俺がこのボスを殺してやる!
一度軽く拳をぶつけ合って同時に駆け出す。右腕の攻撃を掻い潜ると同時にヘイルブレイダーで切りつけ即座に鋼鉄糸で絡め持つ剣で同じ軌道をなぞり追撃。ダメージはほとんど入ってねえな
「ソーガ!時間稼げ!」
短く告げてボスから距離を取り昨日鉱石を集めれるだけ集めて作った武器を取り出す。ドスンと重く地面に沈んだそれは武器と言うにはあまりにも大きく、ただのインゴットの塊と言うには剣の形を成していた
【パニッシャー
▷ATK210・超重量】
名前に特に意味はなく響きだけで名付けた武器だがその特徴は何と言ってもこのデカさ。STR50以上が装備条件に追加される特殊効果【超重量】がある通りめちゃくちゃ重い。少なくとも俺の腕だけでは持ち上がることすら無い
そう、腕だけなら
「ふぎぎぎきぎぎぃぃ!!」
柄を両腕で抱えるように包み込んで更に鋼鉄糸全てを使って漸く剣先が浮き上がる。よーし装備は出来ないが持ち上げることは出来るな
今はボスのヘイトをソーガや他の奴等が奪い合ってるから安心して隙を晒してパニッシャーを使えるわけだ
「いッ、刀!」
ゆっくりとパニッシャーの切っ先が天を指す
「なんだあのバカデカイ剣は!?てかこっちに振り下ろす気か!?皆逃げろー!!」
「両ッ、断!!」
パニッシャーの刃をボスに向けながら倒す。ただそれだけで空気を裂き大地に地響きを轟かせながら一直線の傷痕を付ける質量兵器になる。ついでに体が少し浮き上がった。重量イズジャスティス。物理法則がリアルとほぼ一緒だからまあこうなるよね
ちなみにボスは避けようとしたがソーガとソロモとリアが足止めしてくれたおかげで避けることができず右腕の切断に成功した
「グオアアァアァ!?」
右腕を切断したからかヘイトが再び俺に集まる。だが良いのか?余所見なんてしててよ
「片手間に処理できるほどソーガやリア達は弱くないぜ」
「【氷像】!【土塊の豪腕】!」
ボスがこちらに振り向いた瞬間、ボスの左腕が水ごと凍り更に土で出来た腕が二本現れガッチリとボスを掴んで完全にその動きを止めた
「ガウッ!?」
拘束を解こうと暴れるボスだが片腕を失った状態では一向に動けずその間に総攻撃を浴びまくってHPバーがグングンと減少している。お、ダルステンさんのスキル攻撃でガクッと減ったな
パニッシャーをアイテムボックスに戻して一直線に駆け出す
「ソーガ!俺を打ち上げろ!」
この普通なら訳の分からない指示もソーガは瞬時にその意を汲み取って双剣を水平に重ねて強く頷いた。ヒュー!さすが相棒!
「おおおおお!!らああぁぁああああ!!!」
重ねた双剣の上に乗ってボスの方に向けて打ち上げられる。遥か上空でボスを見下ろしながら右手の掌をボスに向けて左手でアイテムボックスからパニッシャーの実体化を実行する
これは昨日気になって実験して判明したクリオンの仕様だが、アイテムボックスからアイテムを実体化する際に出現位置と向きをある程度指定できるんだ。自身の背後に出すことや掌の上、頭上とかにも出せるわけで
そう、つまり。掌の先にパニッシャーを垂直に出すことも理論上可能な訳で
「これで終いだ」
パニッシャーが俺の制御下から離れて自由落下を始める。多分下から見上げたらすっごいアニメ染みた光景なんだろうな
「グオア!?」
おーおー、必死にもがいて逃げようとしてやがる。まあソロモの魔法による拘束と全員によるフルボッコ状態でまともに動けそうに無いけどな!しかしここに来て尚地震やら火の波を放たないのを見るに発狂モードに入ると使えなくなる奴だな?
そして自由落下を終え、パニッシャーは遂にボスのその首を怨嗟の咆哮諸とも絶ち切った。瞬間凄まじい量のポリゴン片が散らばってキラキラ煌めきながら消えていく。パニッシャーの柄に鋼鉄糸を絡めて落下速度を殺してからフワッと着地成功
『Lvが上がりました』
『特異個体カラミティスト・フォレストベアーの討伐MVPを選出します』
『MVPは同率でバロイル様、ソーガ様となります』
『そしてラストアタックボーナスもバロイル様となります』
【MVPボーナスとして【炎災豪爪】と【地災獣脚】を、ラストアタックボーナスとして【カラミティスト・フォレストベアーの覆面】を手に入れました】
地面に着地するとそんなアナウンスが流れて俺のアイテムボックスに三つのアイテムが配られた。とりあえずパニッシャーの柄の上に避難するか、他の奴等の目がギラギラ光ってるし。大方情報吐けとかそんなとこだろ。誰がタダで吐いてやるかバーカ
「ちょおまバロイル!俺も避難させろー!!」
「がんばれ~」
鋼鉄糸で柄の上まで避難して逃げるソーガを視界から外してアイテムの確認に移る
【炎災豪爪
▷ATK160・AGI15・VIT10・炎災】
【地災獣脚
▷DEF180・AGI20・VIT25・地災】
ふむ、炎災豪爪はナックル、地災獣脚は足装備だな。見た目は燃えてる獣腕と固そうな土で覆われた獣足、だな。怪人か何かか?
装備スキルの方は炎災はヒット時MP50消費して炎上付与(重ね掛け可)。地災はMPを10消費し続けている間、小範囲かつ低威力の行動不可状態付与の地震を起こすスキルか
両方とも中々使えそうな装備だな
装備の他にもSSランクの魔石や鍛冶に使えそうな素材も沢山ゲットしたし収穫としては上々だな。住人達には怪我人は居れど死人は出なかったようだし、良かった良かった
んじゃ早速地災獣脚を装備して、っと
「【地災】!」
パニッシャーを回収して着地後直ぐに装備スキルを発動。周りが動けない間にリアをお姫様抱っこして回収してさっさと逃走逃走
ダルステンさん家に着いたら借りてる寝室でログアウト
「やっぱたまにはディザクロにログインしないとなあ」
ギアを外して早々にそう溢す。四日、四日もディザクロにログインしてないんだ、そりゃ鈍るわな
「お姉ちゃん、ディザクロにログインする?」
「んー、それは昼飯食べてからにしよう、さすがに腹減ってきた」
そう言って朱里と一緒に一階へ下りた
【カラミティスト・フォレストベアー】特異個体。その能力は厄介ではあるのだが如何せん出現したばかりで時間が無さすぎた。まだLv二桁台の特異個体なんぞ特異個体界ではまだまだ雑魚
【モンスターの性質】モンスターにもLvの概念があり経験値の概念もある
次回は!サービス開始記念イベント編書きます!!待ってた!!!
眠い




