カラド村防衛戦 その3
【〇〇設計図】戦闘系・生産系スキルLv5で得られるシリーズスキル。自由にスキルモーションを設定したりアイテムを作れたりするが相応に要求スキルLvは高くなる。ただし戦闘系設計図に限り代償を付けることで要求スキルLvを下げることが出来る他、特殊効果を付けれたりする。代償はHPからMP、特定アイテム種の消費、部位など様々
消費する割合・個数は任意。勿論全ても選択可能。HP全消費して放つ技ってロマンありますね
テラテックとダン墓が面白すぎて時間削れる~
「ど、どうなってやがる!?」
なんで村がこんなボロボロに!急いで村に入るとソーガやプレイヤー達が一ヶ所に集まっていた
「バロイルか。状況は見て分かる通りモンスター達の襲撃を受けて壁はボロボロだ。家も何件か壊されちまった。俺とソロモも戦ったんだけどな、この様だ」
ソーガのこの表情は何度か見たことがある。モンスターを仕留め損ねたり俺が悪戯でソーガの彼女のフリをした時とかにする苦々しい表情だ
「ソーガ、襲撃してきたモンスター達はお前が苦戦するほどなのか?」
正直ソーガが苦戦するほど強力なモンスターがこんな序盤も序盤の防衛クエストに出てくるとは思い難い。なんせソーガは過去に力試しとか言って初期装備の双剣で1ダメージを与え続けてLv100のフィールドボスをノーダメで6時間掛けて殴り殺した実績を持ってるからな
それに銃弾を見てから斬るとか馬鹿げた事を涼しい顔でやってのける奴だ。そんなプレイヤースキルと反射の化物みたいな奴が勝てなかった相手とか何かしらの特殊ギミックを搭載したモンスターと見ていいな
「ああ、襲撃してきた群れを率いてたのが特異個体だったんだよ。【カラミティスト・フォレストベアー】Lvは66。それが率いてたモンスターの名前だ。まあ村に居たプレイヤーと住人総出で何とか退かせることはできたが次は多分耐えられないな」
「そう、か。被害の方はどうなってる?」
「幸い怪我人数名程度だよ。プレイヤー以外は死んじゃいないから安心しろ」
良かった。ダルステンさん達は無事なんだな。プレイヤーの方は知らね。実質不死身だし大丈夫だろ
ソーガからカラミティスト・フォレストベアーの特徴や行動パターンを聞いていると数名のプレイヤー集団が俺達に近付いてきた
「お前、特別な武器を作れるって噂のバロイルだろ?俺達の武器を作っちゃくれねえか?」
リーダーと思わしき立派な髭を携えたおっちゃんが武器の制作依頼を投げてきた。本来なら俺の気分次第だがこんな状況だし受けてやるか
「武器を作るのは構わねえが特別製をお望みなら素材を貰うぞ」
こちとら慈善事業でやってるわけじゃないからな。ついでに良質な鉱石でも持ってれば万々歳かね
「それぐらいは構わねえが、っとそういや自己紹介がまだだったな。俺はクラン【グランガルムズ】のリーダー、【フェイルズ】って者だ。職業は俺とメンバー含めて全員【ハンマーウォリアー】。んで後ろのこいつらがクランメンバーだ」
グランガルムズ。そのクランメンバーは全員が立派な髭を携えたおっちゃんで構成されていた。もしやおっちゃん限定クランか?
「俺はバロイル。クランは無所属で職業は鍛冶師だ。さて武器だが全員がハンマーとなるとそうだな……フェイルズ達が今持ってるなかで一番頑丈だと思う素材と良質な鉱石を沢山くれ」
フェイルズがこれに快く了承するとグランガルムズのメンバー間でアイテムトレードらしき動きが何回か繰り返され最後にフェイルズからトレード申請が来た。素直に受けてトレード画面を開く
俺の方は特に出す物無いし直ぐOKボタンをタップ。フェイルズ側は……【リアクティブ・ロックタートルの甲羅】や【バイネルコン鉱石】等のアイテムをトレードに出してきた
「結構あるな。そういやデザインとか要望はあるか?」
これは聞いておいた方が良いだろう。相手の要望を聞かず勝手に装飾パーツを付け足したりするのはダメだろうしな
あ、ディザクロで勝手に俺の装備にドクロとか付けやがったあのド変態鍛冶師を思い出してしまった。次ディザクロにログったら五回くらいリスキルするか
「デザインか。ならピンクだとかハートだとかの可愛らしいのは止めてくれ、俺達の見た目には合わなさすぎる」
「ん、了解。じゃあ完成したらこの広場で立札持って待ってるから」
互いに手を振って別れ俺達は共有鍛冶場、の前にダルステンさんとルリちゃんの様子を見るべく家の玄関をノックして開けた
「おお、お主らも無事じゃったか。良かったわい」
「異界の旅人だから無事も何も実質不死身なんだけどな。そう言うダルステンさんとルリちゃんも無事そうで良かった」
「ううん、おじいちゃん怪我しちゃったの、あの大きいモンスターと戦ってるときにグラスウルフに隙を突かれて」
「こんなもん怪我の内に入らんわい。冥界の守護竜と戦ったときより遥かにマシじゃよ」
「もう!それって昔のことでしょ!おじいちゃんもう若くないんだから!」
おおう、容赦無い口擊だな。重症ってわけでも無さそうだしポーションを二つ置いて今度こそ共有鍛冶場に向かった
共有鍛冶場に来て金床の前に立つ。まずは最初に作るのは依頼されているハンマーからだな
「ねえお姉ちゃん、素材が余ったら武器の強化してもらってもいい?」
「勿論良いぜ。何なら新しく作るか!素材は沢山貰ってきたしな。ついでにフローティアの装備も強化するか」
グランガルムズは気前良くモンスター素材と鉱石と結晶を提供してくれたしな。代金代わりの製作料ってことでありがたく使わせてもらおう
「悪いけどこの魔槍もドレスも強化できないわよ。魔槍は強化しようとすると弾くしドレスは強化限界に達してるもの」
「なるほどなあ。ならお守り代わりにアクセサリー……そうだな、ネックレスを作ってやるよ」
ならさっさと依頼品を作らねえとな。まずは設計図起動。素材は【リアクティブ・ロックタートルの甲羅】と【レッサーグリネタル鉱石】、【バイネルコン鉱石】、アクセントに【炎結晶】を少量使おう。まるで料理みたいだな?今回作る料理の材料はこちら、的な
素材を選定したら次はバイネルコン鉱石をハンマーの形に設計して打撃部分に甲羅とレッサーグリネタル鉱石を付けて柄に炎結晶で装飾をして完成!これで叩いた時に甲羅が反応して小爆発を起こしつつも使い手には炎結晶が爆発を吸収しダメージが行かないはずだ。……フレーバーテキスト通りならな
そして最終段階だ。この設計図と素材を使用してこのハンマー【グランボムハンマー】を作る!金床に置いた素材達を叩いて叩いてはい完成
スペックはATK90・STR30・VIT25・攻撃時爆発(小)・火属性吸収(微)。中々だな
さて次の武器製作に移るか。グランボムハンマーを人数分は甲羅の数上無理なので純粋に密度が高いらしい【ドンネタル鉱石】を使用してはい完成
【ドンネタルハンマー
▷ATK80・STR30・超重量】
超重量……試しにドンネタルハンマーを持ち上うわ重いっ!!?これ金床にくっついてるんじゃないだろうな?
あー!どれっだけ力込めても持ち上がらねえ!!俺の貧弱STRじゃ持ち上がらねえ!!
「まったく、何してるのよバロイル。こんなハンマーも持ち上げられないなんうわ重い!?」
「だろ?」
仕方ないのでアイテムボックスに収納っと。このドンネタルハンマーを人数分作ったら次は余ったレッサーグリネタル鉱石を細く長く変形させて表面にドンネタル鉱石を薄くコーティングした糸状のアイテム【鋼鉄糸】を作成っと
レッサーグリネタル鉱石はフレーバーテキスト曰く魔力を流せばある程度動かせるらしいから躁糸術要らずでスパイ○ーマンごっこが出来るぞ!多分
それに糸はサブウエポンとして使いなれてるからな。相手の口と指を縛ればログアウトを封じて他界他界したり輪切りにしたり糸に武器を持たせたりできるから何かと便利だ
次に糸を収納するための指輪を【アイアンインゴット】と【鋼鉄糸】を素材に五個作成っと。指輪の中が空洞になっていてそこに糸が収納されていて上部の穴から出したり戻したり出来るわけだ
「ん、強度も問題無いな」
天井に向けて糸を射出し柱に絡めて少し巻けば宙に体がブラーンブラーンと浮く。よし糸を解いて全部回収っと
「お姉ちゃん、段々ディザクロでのお姉ちゃんっぽくなってきたね」
「使い慣れたバトルスタイルってなると自然とディザクロでの俺に近付くからなあ。いっそのこと防具も真似て作るか」
全体的に黒いデザインで顔を覆うフードが付いたプレイヤーネームまで隠蔽できる暗殺特化装備【ヘイルアサシンコート】を。ネックなのは隠蔽効果だよな。この大陸だけじゃなく他の大陸の攻略が進んでいけばもしかしたら最適な素材が見つかるかもしれんが……さて何年後の話かね
「よし、依頼品と俺の装備は終わったし次はリアとフローティアの装備だな」
リアは一撃離脱型だからAGI高めが良いんだよな。とは言えAGIが上がりそうなのはこの【風結晶】しかねえしなあ。これに【ロックゴーリアン】の素材使って作ってみるか?
いや、どうせならリアが今使ってる武器の麻痺効果も付けたいな。インゴットに分解しても麻痺効果付かねえかな。実験してみるか
まずは炎結晶を素材に金級の片手剣作成。からの即分解
【スクラップインゴット
▷火属性吸収(微)】
ん、ちゃんと効果が継承されてるな。これならリアの武器をインゴットにしても麻痺効果が継承されるだろう
「リア、武器を」
「うん、分かった」
リアから武器を受け取ってインゴットに分解。そして風結晶とロックゴーリアンの素材、ついでにさっき分解したインゴットも使って片手剣【風火剣】作成っと
性能はATK50・STR12・AGI7・VIT2・火属性吸収(微)・移動時加速(微)・麻痺5%。メチャクチャ盛れてる気がする。特に移動時加速とか絶対強いでしょ
さて最後にフローティアのネックレスだが素材は……昨日倒したカロプラフォレストベアーの魔石と風結晶、それに色合い的にレッサーグリネタル鉱石を使って作成っと
【風と新緑のネックレス
▷DEF10・移動時加速(微)・HP自動回復(小)】
菱形のレッサーグリネタル鉱石の中央に明るい緑色の宝石みたいな魔石が埋め込まれた綺麗なネックレスだ
「綺麗ね……。ありがとう、バロイル」
うんうん、良く似合ってる。それとリアルの方で何か埋め合わせするからそんな悲しそうな顔しないでくれリア……
完成したハンマーをフェイルズ達に渡した後、俺達は新装備を早速使うのとギルドで発行されてた緊急討伐クエストを達成するためクロンヘル森林に移動した
「これで丁度十体目っと」
鋼鉄糸で捕らえた【フォレストベアー】の首を切り落とす。これでこの討伐クエストはギルドへの報告のみとなった。いやー、鋼鉄糸のおかげで楽に封殺できて助かる助かる。Lvも2上がったしな
鋼鉄糸を操作して減ったMPを回復させるべくMP回復ポーションを飲んでいると背後から【フォレストウルフ】が飛び掛かってきた。まあ居たのは察してたしポーションが入った瓶を加えたまま抜刀して切り落とす。狙い通りクリティカルポイントに入りワンキルできたようだ
「あ!お姉ちゃん!フォレストウルフ来なかった?」
「さっき襲いかかってきたんで倒したぞ」
木々の間から顔を出したリア達にそう返すとそっかー、と返事が返ってくる
「まあ討伐数は越えてるし別に良いんだけどね」
そして少し話し込んでからギルドに達成報告をすべく森の出口を目指し歩みを進めた
◆
「ここがカラド村……ふふふ、楽しみ。早くバロイルと戦いたいな」
【カラミティスト・フォレストベアー】それぞれ赤青茶色の目を持つ三つ目の巨大熊。火災・水災・地災を引き起こす力を持つ特異個体
本音を言えばとっととカラド村防衛戦終わらせてサービス開始記念イベント編を書きたいんだよなァ!




