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カラド村防衛戦 その2

 クエイン大陸の外に出るには周りを海で囲まれてるので海を渡っていくしかないのですがプレイヤーが来た時期は丁度毎年恒例クソデカ巨大怪魚こと海皇レヴィアタンとクソデカ巨大怪鳥こと空皇ジズがクエイン大陸の周りを回りながら超迷惑怪獣バトルを繰り広げてるんですよね

 だから今の時期に海に出たら死あるのみ


 まあ陸地に流れ弾やら被害が行かないよう配慮しているので収まるのを待つしかないですね。ちなみに陸地に配慮してるのは過去にクソデカ象さんに折檻を食らったからです

 クリオン三日目ローグ・イン!


「ん、起きたのねバロイル、リア。お爺さんとルリは少し前にお仕事に行っちゃったわよ」


 ログイン早々フローティアとリアの顔が映る。昨日は木工スキルLv2にまで上げて壁を作って張ってそれに隙間を作る作業を繰り返していたら夜になり暗くなってきたから宿屋に泊まろうと思ったら他のプレイヤーとNPC、いやもう人と大差無いし住人と呼ぶべきか。その冒険者によって全て埋まっていた


 野宿しようかと困っていたときにこの家の主ダルステンさんが畑の仕事を手伝うことを条件に部屋を貸してくれたのだ。実にありがたい

 それはそれとして自分達の分の宿屋だけ確保していたソーガとソロモ、特にソーガお前許さねえからな。まあソーガの奴が俺達の分を確保しなかった理由は何となく察しが付くけどさあ、それはそれ、これはこれ。今週末辺り女装させてやるからなお前


 そしてアイテムボックスの整理も兼ねてカロプラの肉やらモンスターだった人参やらでダルステンさんの孫娘ルリちゃんと一緒に晩飯を作ってその後現状を見れば分かるがリアとフローティアと一緒に俗に言う川の字に寝たのだった


 ……もし俺に子供が出来ればこんな風に一緒に寝たりするのかな。そう空想してみると少し心が暖かくなった

 さてさっさとクリオンでの朝飯食べてダルステンさんの手伝いに行きますかね!




「おお、ようやっと来たかお主等」


 カロプラの肉とキャベツを挟んだシンプルなサンドイッチを食べ終え徒歩約二十歩の牧場に着くとダルステンさんとルリちゃんが待っていた


「今日手伝ってもらうのは柵の補修と、隣の畑の種植えと、収穫じゃ。ワシは牛達の面倒を見なければならんのでの。何かあればルリに聞くといい」


「まっかせて!」


 ルリちゃんの特徴的な赤い三つ編みが揺れる。俺は木工持ちだから俺が柵の補修に当たってリアとフローティアには種植えと収穫を任すか


「んじゃ俺は柵の補修をするか。終わったらそっち行く」


「待ってるからね、お姉ちゃん」


 リア達と別れて見るからに所々ボロボロな柵の前に立つ。木工スキルLv1スキルにも【修復】があるんだよな、勿論木材を消費するけど


「直したい部分に【クロンヘル木材】を置いてこの【銀級のノコギリ】で叩けば良いんだよな」


 ノコギリなのに叩くのかと最初は呆れたがまあそう言う設定ならしょうがないと慣れてしまった。コーンコンと叩けばクロンヘル木材が見る見るうちに減っていてその分柵が直っていく


 木材を二十四個消費し終えた所でボロボロな柵は全て消え去った。ほぼほぼ新品みたいな輝き放ってるなあ


「おーいリアー、今どれぐらい終わってるー?」


「今は六割ぐらい終わってるよー」


 隣の畑エリアに移動するとリアが抱き着いてきた。やっぱりリアは世界一可愛いなあ~。一通り頭を撫でた後通報画面を消して丁寧にリアを引き剥がす


 それから十分程で収穫と種植えは終わった


「おお、もう終わったか。やっぱり人手があると早く終わって助かるのぉ」


「そういえばダルステンさん、今モンスターの群れが村を襲うかもしれないのにどうして怯えてないんですか?」


「ほっほっほ、それの答えは単純じゃよ。慣れじゃ。この村の者は皆既に二回、モンスターの大群による襲撃を撃退しとる。そもそこいらのモンスター程度に勝てんようではこの村は出来ておらんよ」


 意外とアグレッシブそうだなこの村……


「その時の襲撃ってどうやって終わらせたんですか?」


「二回ともモンスターを率いておった変異個体を倒して大群を瓦解させて終らせたのう。いやー、懐かしいもんじゃ。当時は向かいのドグの奴と討伐数で競ったりもしたのう」


 成る程。となると今回の防衛クエストの終わりも率いている変異個体を倒せば終わりか?ソーガにメッセ送って探して潰させ、いや何処に要るか少したりとも絞れてないんだ、そんな状況でソーガを動かしても時間の無駄になる可能性が高いな、止めとくか


 さて牧場の手伝いも終わったし壁は他のプレイヤーによって完成したも同然だしモンスター狩るか。……いや武具作れよ鍛冶師だろバカ。リアから【パライズスパイダーの牙】って言う素材貰ってるしこいつ使えば麻痺させる武器が作れそうだな

 ……一瞬ディザクロの麻痺PK全盛期を思い出してしまった。あの時はフィールドにプレイヤーのアバターが転がりまくる時代だったなあ


 魔窟の事はさっさと忘れてこの村に冒険者ギルドは有っても生産職ギルドは無かったので村の共有鍛冶場を借りて作った剣がこちら


【金級の片手剣

 ▷ATK45・STR10・AGI5・麻痺5%】


『鍛冶のLvが上がりました』


『【鍛冶設計図】を取得しました』


 素のスペックよりATKは+5しかされてないが注目すべきは麻痺5%だよな。確率は低いとは言え麻痺を狙えるのは強い。まあ装備可能Lvが25からだから俺には装備出来ないんだよな、俺には

 んでもって鍛冶スキルがLv5になった事により待望の鍛冶設計図を取得した。これはスキル名の通りオリジナルのアイテムを作れるスキルらしい。素材に金属を使うことが条件みたいだけど


「リア、確か今24だったよな?」


「うん、今Lv24だけど後少しでLvUPできるよ」


「んじゃ近くにダンジョン有るらしいしそこでレベアゲするか」


 クロンヘル森林の奥に推奨Lv20の【ヴァレスティア遺跡跡】なるダンジョンがあるらしく、出てくる敵は森の奴らと大差は無い、がたまにマネキンみたいな人型モンスターが出てくるらしい。これ全て昨日の夜にソーガが駆け回って集めた情報だ

 設計図で遊ぶのはダンジョン攻略後で良いだろう




 と言うわけでやってきたのはヴァレスティア遺跡跡入口前……なのだが辺り一面木しか見えない。しかしソーガは目印を刺してくれたらしく短剣を刺したこの木の下辺りが入口らしっ!??


「お姉ちゃん!?」


「大丈夫バロイル?」


 あぶねー!上手く着地できたから良かったが失敗したらダメージ受けてたぞ多分


 上を見てみると綺麗に穴が開いていてその穴からリアとフローティアが心配そうに見下ろしている。あそこから落ちたのか……。次に周囲を見渡すと風化してボロボロのレンガみたいな青色の建材で作られた空洞に扉が一つだけあった。罠は無さそうだな


「トラップとか無いから降りてきて大丈夫だぞー!」


 約三秒後にリアが降りてきたのでキャッチ。直ぐに下ろしてフローティアもキャッチ。最後に装備の耐久値とか矢の在庫を確認し俺達は扉を開け潜った




「ふうー、安全地帯に着いたか……」


 ダンジョン探索すること約十分。モンスターとエンカしまくって連戦に次ぐ連戦で大分疲れてしまった。装備の耐久値はまだ問題無いが気力ばっかりはな……


 休んでる間に設計図で遊んでみるか


 スキル画面から設計図を選択すると新たに画面が現れた。左枠にはマス目が画面一杯に敷かれていて右枠には俺が現在所持してるアイテム等が表示されている。3Dデザイン的な感覚でやっていくのか

 とりあえずディザクロでの相棒の一つ、拳銃の【ヘイルヴェスター】を作ってみた。ま、今は皮だけだが必ず内部機構含めて全部作ってやるからな相棒


 それからヘイルヴェスターの設計図を保存して次に片手剣の【ヘイルブレイダー】を設計した。まあヘイルヴェスターと同じく装飾が少し足りないし素材も良くない。もっと良い素材が集まってから作ろう

 ヘイルヴェスターはソーガへのドッキリ用に一丁作るけどな


「あ、終わった?お姉ちゃん」


「ん?あー、悪い待たせちまったか?」


「ちょっと待ったかな。でもお姉ちゃんの凛々しい顔を見てたから平気だよ」


 嬉しいこと言ってくれるなあリア。さてそろそろダンジョン攻略再開しようか。だからさっさと起きろフローティア




「あの安全地帯ってボス部屋前の休憩場所だったのかよ……」


 フローティアを起こして奥に続くドアを開けると四角形の広い部屋の中央に俺より少し高い程度の背丈に左手には大剣を、右手には槍を握ったマネキンが立っていた。そしてそのマネキンの最大の特徴と言っていいだろう、背中にトゲトゲした物が付いていた

 あれは道中で苦しめられた【フレファイラット】のデカイ版か!?うっ、通路を埋め尽くすトゲミサイルのトラウマが!


「先手必勝ァ!トラウマ刺激はやめろ!!」


 マネキン【ヴァレスティア・ガーディアンLv25】の背後のトゲ(トラウマ)を折るべく大振りな大剣による斬撃をスルリと潜り抜け剣を振るったが槍で防がれる

 んじゃトゲは任せたぞ二人とも


「【ファンエルム】!」


「【ボマーランス】!」


 リアの幻影と本物の剣とフローティアの爆発する穂先が一発でトゲ全てを抉った。次は俺のターン!


「縦に【スラッシュ】!」


 マネキンが怯んだ直後に左肩を狙って放ったスラッシュは見事断ち斬る、とまでは行かなかったが深く切り裂き使用不能にしてやった

 マネキンの意思が無いのに敵意に溢れる瞳と数瞬見つめ合う


「「【ソニックスター】!」」


 槍を突き出す前動作のマネキンの心臓と頭にリアと俺の剣が突き刺さる。それと同時にマネキンは完全に動きを停止させ砕け散った

 ダンジョンボス撃破だ


「お疲れ様二人とも」


「おう、フローティアもリアもお疲れ様さん。にしても驚いたな、まさかファンエルムを使うとはな」


 ファンエルムはリアのディザクロでの異名【幻影】の名を知らしめる一端になった幻影スキルだ。幻影で作られた偽物の剣が相手を攻撃してそれを防いでしまうと本物の剣が敵を切り裂く、と言うスキルだ

 しかも幻影の剣にはデバフ効果があるので幻影だからと受けたりしたらデバフが付与される中々に酷いスキルだ。だから避けるのが正解なんだよな


「えへへ、このダンジョンを攻略中に片手剣術が5になって【剣術設計図】をゲットしたから作ってみたの。要求スキルLvを5以内に納めるために最大MPの七割を消費しちゃうけど作って良かった~」


 ニコニコ顔のリアを撫でてついでにフローティアも撫でる。顔を背けられたがまあ撫でる事を拒絶されない辺り照れ隠しなんだろうな

 満足するまで撫でたら部屋に出現した魔方陣に乗ってダンジョン入口前まで戻った。ご丁寧に空洞の方じゃなくて地上の方に出た


「あのマネキンの素材とか色々手に入ったし今から楽しみだな!」


「私もディザクロでの技を再現するの楽しみだよ」


「それじゃあ早く村に戻りましょう。お腹も空いてきちゃったわ」




 上機嫌で村に戻ると木の壁はボロボロになり一部は砕けている箇所すらある程壊され村全体に漂う雰囲気はどこか暗くなっていた

 武器系・生産系スキルはLv5以降獲得できるスキルが無いのでLv5で獲得できる【○○設計図】を使って作っていくことになります(ただし魔導スキルだけはLv5以降も獲得できる。使える属性の追加のみですが)

 武具もスキルも君達が作ってくんだよスタイル


 それはそれとして人外ヤンデレ娘って良いですよね

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