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アル☆ドル ~アルバイトでアイドル?~  作者: 渡里あずま


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10/29

SMnow(ソング・ミュージック・ナウ)

「立ち止まっていられない、君の為に強くなる……」


 弁当を食べた後、十和はデビュー曲の歌詞を口ずさんでいた。

 事あるごとに聞いていたおかげで、歌詞は頭に入った。だが、どうも今一つ感情移入出来ないのである。

(君の為とか、わざわざ言っちゃうのって重くないか? 男なら不言実行だろ)

 更に、そんな身も蓋も無いことを考えてしまう。

 すると、休憩時間だからとマナーモードを解除したスマートフォンが鳴った。

 この着信音は、コミュニケーションアプリのものだ。画面をタップすると、梨香からのメッセージが届いていた。


『頑張ってる?

いよいよ来週、ソンナウね。

直接、話聞くの楽しみにしてるわよ♪』


SMnowソンナウ』とは今度、十和達がデビューを飾る歌番組だ。正式名称は『ソング・ミュージック・ナウ』で新人からベテラン、更に外国のアーティストまで出演する有名な番組である。

(次の日、入学式だからな)

 梨香からのメールを見て、十和は頬を緩めた。レッスン中だから、と電話ではなくメールをくれる辺り、優しい彼女らしい。


「……彼女?」

「えっ、アユ、心読めるのか!?」


 そんな時、歩に声をかけられて驚いた。それから、きょとんとしている相手を見て、自分の勘違いに気づく。


「いや、ど……じゃなく、幼なじみ」


 同級生と答えかけて、英達との会話を思い出し言い直した。梨香とは幼稚園の時から一緒なので、嘘ではない。

(そっか、男が女の子とメールしてるとそう思われちゃうのか)

 考えてみれば当然だが、そもそも恋愛の話題が歩の口から出たのに驚いた。今は年下らしい一面も知っているが、何しろ第一印象が『天使』である。言葉は悪いが、こういう俗っぽい話をするとは思わなかったのだ。

 そんな十和の視線の先で、歩が言葉を続ける。


「もしカズの彼女なら、その娘に言うつもりで歌えば、気持ちが入るでしょ?」


 ……反省しよう。やっぱり、歩は立派な天使だ。

(名前とか顔とか、スタイルが聞きたい訳じゃないんだ)

 歩を同級生達(しかも女の子)と同じに考えてはいけなかった。十和が歌で悩んでいるのに気づいて、力になろうとしてくれたのだ。


「ありがとな。だけど梨香に言ったらきっと、余計な気使うなって笑い飛ばされるから」

「……男前な子なんだね」


 笑顔で礼を言った十和に、返されたのは微苦笑だった。

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