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1「わたくしを誰だと思っておりますの?わたくしはツウィンバルク公爵家の娘、アイリーン·ツウィンバルク!わたくしの家の財力を使えば造作もありませんわ」
2「あらあら、随分と薄汚いネズミが学園に増えましたこと…。チューチューチューチューとわめきたてて目障りだわ。庶民の馴れ合いはよそでやってくれませんこと?」
3「あら?おかしいわねぇ…庶民であるあなたが私の婚約者と話しているなんて…誰が話して良いと許可を与えましたの?庶民は庶民同士でひっついてればいいのよ!」
4「あら、ご覧になって皆さん!彼女のドレス…ふふふっ、一昔前に流行した型のドレスですわ。庶民の流行は遅れてるのね」
5「あなた、邪魔よ。そこをお退きなさい!庶民風情がわたくしの道を塞ぐなど何事ですか!」
6「あの子さえ…あの子さえいなければわたくしがこの国の王妃。幼い頃より受けていた王妃教育に比べれば簡単よ。この毒を飲み物に仕込めば良い話だもの。私はできる…私はできる」
7「わたくし、今まで欲しいものは何でも手に入れてきましたの…。そうできていたのは家の財力や地位もありましたけど、そのために迅速にそして狡猾に行動していたから。あなたも手に入れたいのなら、自分の精一杯の力で欲しいものを手に入れてご覧なさい!」
8「お可哀想…今まで平民として育ったのにいきなりパーティーに参加させられ、恥を晒す。最悪の社交会デビューですわね?」
9「あら?人聞きの悪いことをおっしゃらないでいただけるかしら?私はただ見たまんまのことを言ってるだけですわ。婚約者のいる位の高い殿方に近づいてはかどわかす。それが平民のやりかたなのでしょう?」
10「わたくしが彼女を階段から突き落とした?ふふふっ…なんのことかしら?わたくしがやったという証拠はありまして?わたくしがそんなことをする動機はなんでしょう?これは冤罪ですわ…平民が公爵家の娘を貶めるなんて、明らかなる下剋上ですわ。これがまかり通れば貴族、または王家のバランスを崩すことに繋がります。よって!わたくしは公爵家の全てをかけて徹底抗戦いたします」
11「何を騒いでいるの?…あぁ、テスト結果の貼り出し?見に行かないのですか?って、そんなの必要ないわよ。結果はわかりきってるもの。私はいずれこの国の王妃となる身、座学やマナーで皆のお手本になれるよう常にトップの成績を修めていると自負しているわ。」
12「たかが平民生まれの男爵家の娘が、公爵家の娘である私に歯向かう気?…ふんっ。あなた後悔するわよ。この学園は表向きには身分に関わらず平等と謳ってはいるけども。身分の高い生徒はそんなこと思ってない。自分が身分の低い奴らと平等なんて許せない!だから学園にバレない範囲で陰湿ないじめをするの。先生に言ったって根本的な解決にはならない。何故なら握りつぶされるから。」
13「いった!…あなたどういうつもり?ろくに髪の毛をすくこともできないの?こんな無能なメイドいらないわ!お父様に言って解雇させるから。今日中に荷物まとめて出ていきなさい」
14「わたくし、何か間違ったことしたかしら?わたくしは平民感覚が抜けない令嬢に貴族社会の厳しさを教えて差し上げただけでしてよ?わたくしは心が広いんですの、だから元平民の貧乏くさい令嬢に指導してあげたのです。あとあと社交界で困らないように」
15「この契約は公爵家と王家が交わした契約、普通の婚約ではありませんわ。それを破棄すると?こんな王子が未来の国をまとめるトップ。この国の未来は大丈夫なのでしょうか?私情により契約を守らないものに外交、税、戦争の舵を任してもよろしいのでしょうか?私は王様からの委任状を賜りまして、この場をもって王子の廃嫡を宣言いたします!」
16「ふっ…バレてしまったのなら仕方ありませんわ。そう…彼女に怪文書を送ったり、彼女に不満を持つ者を差し向けていたのはわたくしです。彼女のような者が今後出てきた場合、貴族または王家の在り方に疑問を覚える低位貴族がいるでしょう。貴族の大半は低位貴族が占めているのです、反乱が起こったら抑えることは難しいでしょう。その最悪の事態を防ぐために私はこのようなことをしました。あいにく、高位貴族の方は恋に溺れ周りが見えてなかったようですが…。彼女は貴族になる前は平民でしたから、罰するのは可哀想だと王様に請い、処罰が免れるようにと頑張ってきましたが…。この者を国家反逆罪を犯したとして捕まえなさい!」
17「まずいですわ…紅茶もまともに淹れられないの?使えない!役立たず!あなたはねぇ、私の家に借金のカタとして売られてきたのよ?なのに全然使えないとなると返品するしかないわねぇ。でも家に帰ったら帰ったで冷たい目で見られるでしょうねぇ。だって借金の代わりにもならないただの穀潰しですものねぇ?それか奴隷商に売り渡しましょうか?元貴族のお嬢様をいじめるのが好きな金持ちの商人、売り先はいっぱいあるわ。ここにいたければ完璧な仕事をなさい。」
18「気に入らない、気に入らないわ!このドレスは色が。こっちのドレスは形好みじゃない!他にないの?この私に似合うパーフェクトな美しいドレスは!」
19「その汚らわしい手をどけなさい、この無礼者!わたくしは公爵家令嬢にして、この国の未来の国母。気安く話しかけないでちょうだい。あなたとわたくしでは住む世界が違くてよ!身の程をわきまえなさいな」
20「あら、随分と貧相なドレスですこと…あまりにも地味で給仕のメイドかと思いましたわ。あぁ、でもメイドのほうがマシな格好ですわね?ふふふふっ」