壁フレンド
ねえ?しっかり想いを伝えるんだよ
分かってるよ
また逃げ出したりしないでよ
絶対逃げないよ
私が前に呼び出した時は何も言えないで走って逃げてきたよね
今度は大丈夫だから
[私はマネージャーをしている野球部の先輩を呼び出した]
[奈穂子が指定した人通りの少ない階段の踊り場に]
[先輩は小走りで現れて、私の後ろにピッタリと引っ付いた奈穂子を覗き込んだ]
[私は先輩に、奈穂子から伝えたいことがあると伝え、その場を去った]
[遠くから見守っていると、奈穂子は気持ちを伝えて、そのあと壁を抱いた]
[手を広げて、カラダの前面をピタリと壁につけて、恥ずかしそうにしていた]
[奈穂子は大抵私に抱きつくが、私がいないときは近くの壁に抱きつく]
[先輩がその場を去ったので、私は奈穂子に近づいていった]
どうだった?ちゃんと伝えられた?
うん。最後の大会が終わったら付き合ってくれるって
良かったね
はぁ。本当に疲れた
[告白が無事に成功して、奈穂子のもたれるカラダを受け止めていたのは、私ではなく壁の方だった]