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第1種接近遭遇

前話より間が開いてすみません

少し普段よりも短くなっています


誤字報告、ブクマ、評価ありがとうございました

誤字については、前後と設定を確認させていただいて修正を反映させていただいています

本当にありがたいです。ありがとうございます

「へえ、じゃあご家族は何も言わなかったのね。大騒ぎになると思っていたのに」

「どういう事?」


 次の日の教室でリナニエラは、昨日の家族と召喚獣の顔合わせの話をしていた。

 ドラゴンにフェンリルというある意味過剰戦力である召喚獣をを問題なくリナニエラが紹介した事に、チェーリアは感心しきりだ。まあ、捨ててきなさいと言われても出来ないのだけれども。


「とりあえずは一山は越えたかな」


 ふうと息を吐いてリナニエラはふうと息をした。だが頭の中には新しくできた家族に喜ぶ面々を父であるエドムントは虚ろな顔をして見つめていたのをリナニエラは思い出す。

 おそらく、彼が一番今の現状を俯瞰でとらえていたのだろう。国内でのパワーバランス、諸外国との戦力のバランスそう色々な事が……。

 間違いなく胃も痛んでいるだろうなと思うと、リナニエラは申し訳なく思えてくる。きっと空気を読まない貴族が父に何か言う可能性もあるだろう。いらぬストレスを抱えているかもしれない。


『今日、父さんに胃薬でも買って帰ろうかな……』


 エドムントの胃袋を心配して、リナニエラはそんな事を考える。どこか良い薬屋はあっただろうか。そんな事を考えた。ふと気が付けば、他の面々も、家族に召喚獣を紹介したのだろう。あちこちから同じような話題が聞こえてくる。


「そっちはどうだった? エルクだったっけ?」


 そういえばと、リナニエラは自分の隣に座るチェーリアの顔を見る。彼女の家はどうだったのだろう。魔物との戦闘が尽きない土地だから、召喚獣を連れて行っても、それほど怖がられないだろうと尋ねてみれば、彼女は微妙な顔をして顔を寄せてきた。


「それが、エルクをみて、おとなしそうだなーって言われたわ。戦力として考えるなら、リナニエラのマロとトープが羨ましいって」

「はは」


 所変わればという事だろうか、常に魔物との戦いの最前線にいる領地ではやはり、ヘラジカではインパクトが少なかったらしい。きっと、カインの狼やマロとトープのような即戦力になる召喚獣が喜ばれるのだろう。


「でも、エルクとマロ達が仲良くなれて良かったわ。授業が終わるまであそこで遊んでいてくれそうだもの」


 遠い目をして、リナニエラは口にする。初めて知ったのだが、召喚した召喚獣はこちらに呼んでいる間召喚魔法の授業以外では教室の中に入れてはいけない事になっているらしい。そのため、呼び出した召喚獣は学園の裏手にある広大な土地(これは召喚獣を召喚した生徒のみが使用可となっている)に放してあるのだ。そう考えると、兄が廊下で見たという召喚獣はここから教室に連れていく時に見かけたのだろう。想像がついた。


「あー早く、マロとトープに会いたい……」

「あはは、すっかりマロとトープに骨抜きね」


 机の上に突っ伏しながら、リナニエラは小さくぼやくけば、チェーリアが笑ってそんな事を話しかけてくる。


「自分だって同じでしょう?」


 さっきからエルクの話しかしていないのにと返せば、『まあね』と照れた様子で返事が返ってくる。


「とりあえず、お昼はあの子たちと食べたいよね」

「そうね。ベンチもあったし、学食で何か調達してから行こうか?」


 お互いに話し合っていれば、授業が始まる鐘が鳴る。鐘が鳴るのと同時に、担当教科の教師が入って来た。とりあえず、自分の召喚獣の事は置いておいて授業に集中しようと、リナニエラは前を向く。そして、教師の言葉に耳を傾けた。


 授業が終了し昼休みに入るの同時に、チェーリアとリナニエラは学食に向かうと、学食で販売しているサンドイッチとドリンクを購入した。そして、召喚獣がいる場所へと向かう。よくみれば、同じように考えている生徒が多いのか、学食には自分達と同じように、外で食べられるような料理を買っている魔法科の生徒が何人もいた。

 リナニエラ達の意図も読めたのだろう。顔を見てお互いに苦笑しながら、歩いていればリナニエラの脳裏に電流が流れたような感覚が走った。


「ッ」

「どうしたの?」


 チェーリアが尋ねてくるのに、先ほど走った感覚をリナニエラはうまく説明ができない。

 頭の中に、召喚獣であるマロとトープの事が浮かぶから、おそらく彼らからの何かしらのメッセージだと思うのだが、確証がないのだ。

 一体どう説明しようと言葉に詰まっていれば、再び電流が流れたような感覚が走る。それと同時に湧き上がる言いようのない不安感。何があったというのだろう。

 訳が分からずに、リナニエラは自分の腕を擦る。そんな様子を見ていれば、不意に自分達が召喚獣を放している場所の方向からけたたましい音が聞こえた。


「何!」


 警報音といっても差しさわりのないその音に、リナニエラ達は反射的に音がした方向に目をやる。


「そういえば、許可されていない人間が入ったら警報が鳴るとかなんとか……」


 ふと、近くにいた生徒が思い出したようにそんな言葉を口にする。という事は――。


「侵入者がいるという事?」


 近くにいた生徒がそう叫ぶと、裏庭の方向へ向かって走り出す。それに倣うようにリナニエラ達も裏へと走り始めた。貴族の子女が廊下を走るのははしたないとは思ったのだが、自分の家族ともいうべき召喚獣を傷つけられたりしたらかなわない。そのまま、校舎の外へと向かうと他の生徒たちと一緒に、召喚獣を放してある場所まで向かった。無事でいて欲しい。けたたましい警報音が不安を掻き立てるのを抑え込んで、リナニエラ達は音がする方向へと向かった。


「これは……」


 リナニエラ達が裏庭へと到着すれば、けたたましい音の中、裏庭の中に人がいた。一人は見覚えがある。魔法科の女子生徒だ。確か彼女は子爵令嬢だったはずだ。彼女は目の前に立つ人物の顔を見つめながら、泣き出しそうな顔をしている。


「ここは召喚魔法を選択している生徒しか入れないんです。それに、今殿下たちが触っている召喚獣は人の召喚獣です。お放しください」


 目に涙がたまっているのに、はっきりと言葉を口にする彼女の胆力に関心しながらも、リナニエラはこの場所に侵入し、立っている二人の人物を見つめた。


 一人は、トープの足を掴んだまま、女子生徒をにらみつけてるジェラルド。そして、もう一人は暴れるマロを無理やり抱きしめて放そうとしないヒロイン、アリッサの姿だった。




読んでいただいてありがとうございました

もしかするとどこかでリナニエラ以外の視点をいれるかもしれません

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