物語は過ぎ去って
物語は過ぎ去って
華やかで支離滅裂な夢は
疲れで降りた帳の向こうに
沈んでいった
物語は過ぎ去って
ガラスの向こうの輝きは
コインと紙幣を手にすることで
ただのモノと化してしまった
物語は過ぎ去って
宙を見上げ耽った空想は
”現実”という地獄に
薙ぎ払われた
物語は過ぎ去って
何にでも変身できた少年少女は
心身共に時を経て
”大人らしさ”に追いやられてゆく
あれほど誰もが夢中になり
肌身離さず
潰れてしまうほどにきつく抱きしめていた
あの物語たちは
一体どこへ行ってしまったのか
物語は
過ぎ去って
人に残されたものは
死という先無き崖だけなのか