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聖女、あらわる

よろしくお願いします(ㆁᴗㆁ✿)


私は、アトランテの国に住む(ごく普通の)庶民だったはず。


「はぁ、なんでこんなことに……」


私は、今、嘆いている。

この国の王宮で、軽く軟禁状態にされているからだ。


「あなたが悪いんだよ?聖女さん☆」


私を聖女さんと呼ぶこの男。

なんと、この国の第二王子だ。

典型的な金髪、そして、碧眼。

まさに、王子様のような風貌をした、見目麗しい青年。

あ、実際、王子様なのだけど。

王族って、皆がみんな、このように美しいんだろうか。


「だから、私は聖女じゃないですってば。何か勘違いをされているのでは?」


そう、私は聖女ではない。

だって、伝承に記されている奇跡の力なんて、使えないもの。

というか、魔力を持っているかどうかも怪しいし。


「そんなはずないんだけどねー。水晶に現れていたと聞いたし。」


「え?水晶」


水晶って教会で触れた、あの水晶のことだろうか。

司祭と呼ばれる人が、「この水晶に手をかざしなさい。」というから、かざしただけだし……。

でも、それ以外に思いつかないし。

やっぱり、教会の水晶のことかな。


「昨日、教会でみただろう?あれは、魔力を測るものなんだ。」


「そうだったんですか。」


何も知らずに手をかざしていた。そんな効果があったなんて。


「そういえば、何も説明してなかったね☆知らなかったのも無理はないさ」


説明してよ!

っていうか、この王子、適当すぎるんじゃ……。


「え~と、魔力のある水晶に手をかざすと、その人の魔力がわかるのは、さっき言ったよね。司祭から報告があったのさ☆君の魔力は、伝承のあの聖女とそっくりだってね。」


まじですか。

そんな事情があったんだ。


「それならその事をはやく言ってくれれば良かったじゃないですか。私の魔力が伝承の聖女と一緒というのは、信じられないけれど。」


「いや、僕も信じられないさ☆しかし、聖女は身分関係なくいるというからなぁ。数百年に一度現れるってくらいの奇跡の確率だけれどね。なにしろ、前に現れた聖女の時の記述がすくないからな。聖女について分かることは、ほんとんどないと言っていい。とりあえず……聖女について、分からないことが多い。これが僕の知っていることさ☆」


「す、数百年に一度?」


そんな確率で私は選ばれたのかもしれないんだ。

王族でさえ、聖女について分からないことが多いということは、やっぱりすごいことだよね。


「そうだよ☆君は選ばれたんだ、神様にね。光栄に思いなよ」


「何かの手違いでとか」


「まぁ、真っ先に疑うよね☆あそこの司祭が、魔力鑑定を行うと、魔力測定不可能だったんだよ。もしも、聖女じゃないとしても、国は手放さないから、その心配は無用だからね~」


「その司祭さんが調子悪かったかもじゃないですか」


「いや、そんなことないよ☆ねぇ、叔父さん」


叔父さんと言って、後ろを振り向く第二王子。

後ろに立っているのは、高貴なおじ様のような人。

第二王子の叔父さんだから、王族なのかな。

ていうか、いつからそこに居たっけ!?

急に現れた気がしたんだけれど。


「驚かせて申し訳ない。君たちの話は王子の魔道具をとうして聞かせてもらっていた。」


筒抜け!?何してくれてんの、王子。

王子の方を見ると、てへぺろ☆としていた。イラッ。


「魔力鑑定は、魔力が自分より下か同じの人にしか、行なえないんだ。水晶は、魔力が小さくても大きくても、測れるのだが。」


「言っとくけど、叔父さんは国1番の魔力保持者なんだ☆だから、叔父さんが鑑定できなかったという君は、この国で一番の魔力保持者になったんだよ。」


おめでとう☆と言って拍手をする王子。

いや、意味わからん。

おめでたくないだろ。


「で、そんな君に魔法学校へ行ってもらうからね~。」


「魔法学校?」


魔法学校って、聞いた事はある。

国が運営する学校で、貴族の子息子女しか入れないと噂で聞いた。

未来の国家を担う人材の育成に力を入れているため、最高の教育を受けられるらしい。

もっとも、ほとんど庶民には縁のない話だが。

魔力を持つのは、王族と貴族だけらしいし。

もし、魔力保持者の庶民の子がいたならば、養子縁組をくまれ、貴族として育てられる。


「私が魔法学校?無理です。だって、家族がいるし……」


「家族からは快く了承してくれたよ。言伝を預かってるから言うね。『魔力をもっているのね?驚いたわ。こんな機会、めったにないだろうから、しっかり学んでくるの。一番は、健康に気をつけて、元気で過ごすこと。とても心配ですが、頼りになる第二王子と司祭様がついているので大丈夫でしょう』」


なんということだ。

止められるどころか、後押しをされてしまった。

第二王子め、外堀を埋めてからとは…


「分かりました。魔法学校でしっかりと学んできます。その代わり、魔法学校を卒業したら、私の自由を保証してください。これは取り引きです。」


「……いいよ★」


黒い笑みが見えた気がしたが気の所為だろう。

こうもあっさり取り引きして貰えるとは思っていなかった。


「それ忘れないでくださいね!?」


「はいはい。分かったよ☆」


はいはいって適当な。なあなあにされないようにしないと。


「私は、養子縁組を組まれちゃったりするんでしょうか?」


一番不安なのはここだ。

ぶっちゃけ、養子縁組とか超嫌。

知らない人の家で(しかも貴族)、ゆっくリ過ごせない。


「ないない☆君は、特別だからね。他の貴族が君の力を悪用してしまうと、どうなるか分からないでしょ?最悪の事態を防ぎたいわけ。だから、国の庇護下で生活して貰うよ。」


「あ、じゃあ、この部屋に住み着いてもいいですか!?」


この部屋はなんだか落ち着くし。

こんな大きな部屋で、1人でくつろげるなんて、最高!


「いーよ☆ていうか、元から君の部屋だから。」


どういうこと?


「分からないって顔してるね。そんな顔もキュートだよ☆」


バチンとウインクする始末……。

この男、どうしてくれようか。


「変な茶化しとかいりませんからっ!本題を言ってください。」


「せっかちなお姫様だなぁ、まったく。」


やれやれと肩をすくめる。

まったくって……こっちがまったくって言いたいんですけど!


「この部屋はね、元々、伝承にある聖女の部屋だったらしいんだ。要するに、聖女の為の部屋ってわけ。今は、誰も使っていないし、好きなようにしていいよ。」


なるほど。分かりやすい説明、ありがとう。


「じゃあ、忙しい僕はもう行くよ☆あとのことは、叔父さんに聞けば、大体わかるから。アデュー」


全部、投げ出してどっか行ってしまった。

本当に自由人だなぁ。

イラッとするけれど、いっそ清々しいかも。



ありがとうございました☆

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