ぼろきれの中で
もっと明確な何かがあると思っていた。
私を導いてくれる何かが。
それが私を夢へと、手を引っ張ってくれると。
そう思っていた。
ただ時は過ぎていく。
夢を置き去りにして。
夢が風化して初めて、私を包み込んでいた毛布は、向こう側が見えるほどに擦り切れてしまったのだと気づいた。
毛布と私の間にあった暖かい空気は、擦り切れたところから抜けていく。
向こう側の冷たい空気が、私に外に出るよう促している。
私はただ、ぼろきれをまとう浮浪者となり、輪郭さえ見えない夢を見ている。