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衝撃の事実

 下ネタがあります。苦手な方は回避してくださいm(__)m

 ここは199階層にできたルーファの屋敷、その一階部分である。

 現在ルーファ、ヴィルヘルム、ガッシュ、カトレアの目の前には赤と青の暖簾(のれん)が色鮮やかに揺れていた。そう、ここはお風呂場。それも10人以上が入れる大浴場だ。

  


『母様!ここがお風呂なんだぞ。すっごく気持ちいいんだから!』


 お風呂と言う名の楽園を知ってからというもの、是非とも母に紹介したかったルーファは、いの一番にお風呂へとやって来た。


『あっちが女湯なんだぞ』


 そう言って赤い暖簾(のれん)を前足で指し、自分はそのまま青い暖簾(のれん)をくぐろうとしたところでカトレアに抱きかかえられる。

 

「ルーファは妾と一緒じゃ」

『でもオレは男の子なんだぞ』


「え!?」


 ルーファの言葉に驚きの声を上げたのはガッシュだ。彼は以前ルーファと一緒に眠ったことがある。パジャマこそ着ていたが、確かに柔らか……ゲフン!ゲフン!

 訝し気に突き刺さる視線を無視し、ガッシュは無表情を作り上げた。バレたら死ぬ。確実に。


「ルーファは我と入る。邪魔をするな」


 視線が逸れたことでコッソリ安堵の息を吐くガッシュに気付かぬまま、ヴィルヘルムはルーファへ手を伸ばす。


(ぬし)らは2人で入ればよい。妾は1人……のうルーファ、妾と入ってくんなまし」

『うむす!今日は母様と入るんだぞ』


 寂し気に微笑むカトレアにあっさりと陥落したルーファはペシッとヴィルヘルムの手を払いのけた。


「ほほほ。では後ほど」


 憮然とするヴィルヘルムに艶然と微笑んだカトレアは、ルーファと共に暖簾(のれん)の奥へと消えて行く。残された男2人はお互いに顔を見合わせ、哀愁を漂わせつつ暖簾(のれん)をくぐっていった。


    

  


 魔力を通し汚れを落としたルーファとカトレアはそのまま湯船につかる。


「これは……気持ちが良いのう。妾の神域にも作ろうか」

『でしょ!でしょ!』


 はしゃいで泳ぎ回るルーファを優しく見守っていたカトレアであったが、とあることを思い出した。


「ルーファ、〈人化〉した姿を見せてくれぬかえ?」

『分かったんだぞ』


 カトレアが最も気になっていたのがルーファの年齢である。ずっと幼子だと思っていたのだが……冒険者となっているからにはもっと上なのだろう。



 どろ~ん!



 湯煙の中現れたのは白銀色の髪をなびかせる絶世の美少女。

 膨らみ始めた果実は未だ初々しい少女のものなれど、細く(くび)れた腰に張りのある臀部からは紛うことなき“女”を感じさせる。

 少女から女に変わる一時の危うい色香がその身を包み込み、多くの男を魅了するだろう。


「ルーファ!?女の子だったのかえ!?」


 ザバリ、と立ち上がったカトレアはルーファの身体をガン見する。そう、カトレアとヴィルヘルムは235年間ルーファの性別を間違えていたのだ。いや、正確には半分は当たっているのだが。


「男の子なんだぞ。ちゃんとおち〇ぽついてるし」


 ルーファの身体を確認したカトレアは、その肩に手を置きショックを与えぬようにゆっくりと真実を口にした。


「よいか、ルーファは両性具有……つまり半分は男で半分は女じゃ」

「え!?半分女の子なの??」


「そうじゃ。胸が膨らんでおろう?それが女の証じゃ」

「でもブルルのおっぱいも大きいんだぞ」


 ルーファはブルル(オス)を思い浮かべる。ぶるるんぶるるるんと揺れる暴乳を。ちなみにお腹もぶるんぶるんしている。


「あれはただ単に太っておるだけじゃ。女は痩せておっても胸があろう?」

「でもベティは胸がなかったんだぞ」


 ルーファはベティ(メス)を思い浮かべる。絶壁の胸をした見た目美青年なカサンドラ王女を。

 強敵(ルーファ)を前にカトレアは頭を抱えた。


「……ルーファ、男と女の身体の違いがわかるかえ?」

「おち〇ぽがついてるかどうかじゃないの?」


 カトレアは初めてルーファに性教育を施してこなかったことを後悔した。

 子狐姿のルーファはどうみても幼子であるため、彼女が教えなかったのも仕方のないことだろう。

 だが……このままにしてはおけぬ、とカトレアは意を決する。ルーファが男の子だと思っている今でさえ、ヴィルヘルムの執着は凄まじいものがある。もし(半分)女の子だと知れたら……考えるだに恐ろしい。


「よいか?女はここに割れ目が……」


 

 …………。



「本当にオレは半分女の子なの……?」 


 無言で頷くカトレア。


「そ、そんな……」


 俯きプルプルと震えるルーファを痛ましげに見つめ、カトレアは言葉を紡ぐ。


「よいか?このことはヴルヘルムに言っては……」



 どろ~ん!



『大変だー!大変だー!大変だー!』


 止める間もなく子狐に変じたルーファは、換気の関係上繋がっている男湯と女湯の壁の上を飛び越えてヴィルヘルムのもとへと向かって行った……茫然とするカトレアを残して。






 一方男湯はというと……会話が弾むはずもなく、ただ無言で湯に浸かる男が二人。


 微妙な空気に耐えられなくなったガッシュが何か話題がないものかと頭を捻らせていた矢先、弾丸のごとく飛び込んできた白銀色の塊があった……言わずと知れたルーファである。


『大変なんだぞ!!』


 アワアワと話しだしたかと思えば、その場でぐるぐる回りだしたルーファにヴィルヘルムの機嫌が急上昇する。


「どうしたルーファ?何ぞあったか?」


 その言葉に待ってましたと言わんばかりにルーファが畳み掛ける。


『大変なことが起こったんだぞ!その件で2人にお願いがあるんだぞ!』

「我に任せよ。ルーファのためならどんな願いでも叶えて見せよう」


 力強く頷いたヴィルヘルムの姿に、ようやく落ち着いたルーファは一言告げる。


『M字開脚して欲しいんだぞ!』


「「…………」」


 沈黙が支配する中、爛々と輝いた金の目がガッシュを捉える。

 反射的に逃げようとするガッシュにヴィルヘルムの尾が素早く伸び、雁字搦(がんじがら)めに巻き付いた。


「ガッシュよ。分かっておろうな?」


 無表情に圧力をかけてくるヴィルヘルムに、ガッシュは僅かばかりの抵抗を試みる。


「いやいやいや!さっき我に任せよって言ってただろ!?」


 その言葉にうっすらと嗤ったヴィルヘルムの姿に、ガッシュは確信する。こいつ絶対オレを犠牲にする気だと。

 今までになくガッシュの脳みそがフル回転し、活路を見出すべく言葉を紡いだ!


「そもそも!何でM字開脚が必要なんだ!?」


 流石にヴィルヘルムも気になったのか、ガッシュに伸ばそうとしていた手を止めルーファに向き直った。


『じ、実はオレ……半分女の子かもしれないんだぞ!』

「何っ!!それは真か!!」


 クワっと目を見開きルーファに詰め寄るヴィルヘルムに、コクコクと頷いたルーファは真剣な眼差しで二人を見つめる。


『そうなんだぞ!だから二人におま〇こがないか確認させて欲しいんだぞ!』  

「なるほどそういうことか……暫し待て!」





 ~~暫くお待ちください~~



『ない!ない!ない!なーい!二人ともないんだぞ!ま、まさかホントにオレは……』


 ヨロヨロとよろめくルーファにヴィルヘルムは内心の喜びを押し隠し、真面目な顔で語る。


「……何を嘆くことがある。男でも女でもルーファはルーファ。我はどちらであろうとルーファを愛しておる」

『ヴィー……』


 潤んだ目でヴィルヘルムを見つめたルーファは、意を決して……



 どろ~ん!



「女の子かどうかもう一度確認して欲しいんだぞ!」 


 人化して足を開くルーファ。

 神速の勢いでその足を閉じ、ガッシュを振り返るヴィルヘルム。

 その視線の先には……何も見てませんよ、という風体で後ろを向いて佇むガッシュがいた。


「……見たな?」

「見てません」


 (ガッシュ的に)命を懸けた攻防が繰り広げられる中、ルーファの不満そうな声が響く。


「早く確認して欲しいんだぞ」   

「よいかルーファ。絶対に他の男の前で足を広げてはならぬ。分かったな?」


「何で?」

「何でもだ」


 首を傾げながらも小さく頷いたルーファに安堵したヴィルヘルムは、次いでルーファの身体を舐めるように見る。ここでそっと目を逸らすといった紳士的なたしなみなどヴィルヘルムには存在しない。彼は世界最高齢ではあるものの健全な雄なのだから。


 ムラムラとする本能を押さえつけ、一度目を閉じたヴィルヘルムは深く息を吐いた――荒ぶる熱を追い出すように。

 再び目を開いたヴィルヘルムの眼差しには、激情の片鱗は欠片たりとも浮かんではいない。

 ヴィルヘルムは優しく微笑む。それは今までルーファに見せていた優しい保護者としての顔だ。彼は自らの欲望を巧妙に隠す――果実が熟すその時まで。




「……確かにルーファは両性具有のようだ」

「じゃ、じゃあオレはヴィーやガッシュみたいにムキムキになれないの!?」


 むしろその容貌でムキムキになろうとしていたことが驚きなのだが……今にも泣きだしそうな潤んだ目で見つめられ、ヴィルヘルムはそっと視線を逸らした。


「……それは少し難しいだろう」

「ガーン!!」


 

 どろ~ん!



『大変だー!大変だー!大変だー!』


 周囲を巻き込んだ豆台風(ルーファ)は再び叫びながら母のもとへと戻っていった。

 


   

 

 



 ところ変わってここはルーファの私室。

 淡い緑と黄色であつらえられた室内に2人の人物がソファーに腰かけている。


「うう……ううう……ムキムキ……ムキムキ……」

「ほほほ。例え男でもルーファはムキムキにはなれぬわえ」


 テーブルに突っ伏し、不気味な声をあげるルーファをカトレアはバッサリと切って捨てる。


「なんで!?」


 ガバリ!とお起き上がりカトレアに食って掛かるルーファに、笑いながら答えを教える。


「マサキはスレンダーな体つきをしておったからのう。身長も妾と同じ位であった。小柄なところはマサキに似たのではないかえ?」


 ルーファは見た目はカトレア似であるが、身長は彼女より頭一つ分低いのだ。

 きょとんと目を瞬き、次いでルーファは嬉しそうに破顔した。


「父様に!?そっかぁ、それならムキムキじゃなくていいんだぞ!!」


 ルーファがムキムキになりたかったのは強いヴィルヘルムに似たかったためである。だが、尊敬する父であるマサキに似たのだと思えばそれも悪くない……どころか嬉しいルーファであった。



 コンコン



 ノックの音と共に扉が開き、自分の部屋を見てくるように言われて追い出されたヴィルヘルムとガッシュがルーファの部屋へと戻って来る。 


「中々良い部屋であった。礼を言うぞルーファ」

「オレもだ。こっちにいる間はあの部屋を使っても構わないか?」


 メイゼンターグのガッシュの部屋にはヴィルヘルムの空けた大穴があるのだ。その言葉も当然と言えば当然である。ちなみに、趣味が良いのはラビであってルーファではないことをここに記しておく。


「勿論なんだぞ!ラビちゃんにも伝えとくから」

「助かる」


 席についたヴィルヘルムとガッシュにルーファは紅茶をいれる。

 

「時にヴィルヘルム、まだ調査とやらにはいかぬのかえ?(ぬし)が仕事に行くなど一体いつぶりのことか……早う行きなんし」


「えーもう行っちゃうの?」


 追い出そうとするカトレアに引き留めようとするルーファ。だがここで、良いことを思いついたと言わんばかりにカトレアがニンマリ嗤った。


「あまり我儘を言うものでわないわえ。折角、引きこもりニートの穀潰し竜が働くと言っておるのに」

「カトレア……貴様」


 サララ、と砂が崩れる様な音を立ててヴィルヘルムの持っていたカップが消滅し、金の目がカトレアを睨みつける。


「ほほほ、本当のことではないかえ。お金はセルギオスに用意させ、住居は妾の神域。ああ、これでは穀潰しではなく寄生竜よなあ」


 手に持った扇で口許を隠しながら上品に笑う悪意100%のカトレア。

 能面のように表情が抜け落ちたヴィルヘルムの身体から終焉ノ神の力がゆらゆらと立ち昇り、それを見たガッシュはカップを持ってガタガタと椅子をルーファの方へ寄せた。流石は英雄王、素早い判断である。

 

「母様、ヴィーに酷いこと言わないで」

 

 珍しく空気を読んだルーファがカトレアを(たしな)めるかに見えた……が、そこは安定のルーファである。


「心配しなくても大丈夫なんだぞ。ヴィーとオレは家族なんだから。例えヴィーが金をたかる寄生()だろうとオレはヴィーが大好きなんだぞ!」

 

 寄生竜から寄生虫に更なる転落を果たしたヴィルヘルム。最早彼の頭の中は真っ白である。


「それにオレには迷宮があるんだぞ。ヴィー1人ぐらい余裕で養えるんだから!さあ!安心して我がヒモとなるがよいぞ!」


 善意100%のルーファが慈愛に満ちた眼差しでヴィルヘルムを見つめる……が、肝心なヴィルヘルムの目の焦点が合ってないように見えるのは気のせいだろうか。

 

「ほーほほほほほ!さすが妾の子!優しいのう。良かったではないかヴィルヘルム、これで将来安泰よなあ……クフッ!」


 ガタン……と立ち上がったヴィルヘルムは全員の顔を見渡しポツリと呟いた。


「……仕事に行ってくる」


 フラフラと歩き出したヴィルヘルムに、立ち上がったルーファが走り寄りぎゅっと抱きつく。


「ヴィーお仕事頑張ってね。いってらっしゃい」


 ちゅっとキスをしたルーファは上目遣いでヴィルヘルムを見つめ、はにかむように笑う。その愛らしい姿に感動したヴィルヘルムは完全復活を遂げ、意気揚々と調査(しごと)に向かうのだった。

 嗚呼……男の性の何と悲しきことか……。

 




 底辺まで落として上げる、それがルーファ流小悪魔テクである! 












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