表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を詠う慈悲の魔女  作者: 『H∀Qqy∃ИD』
29/32

救済

ドスッ。


…………


……?


「ぅ、ぁ……?」

咄嗟に瞑った眼をゆっくり開きました。

刺されたお腹が、まるで傷みません。フェリスがクッションになってくれたのでしょうか?


そういうわけでもないようです。

フェリスの背中には一本も、槍が刺さっていませんでした。

どういうことなのでしょう?ゆっくりと辺りを見回しました。


そこには、不思議な光景が広がっていました。

私達を刺そうとした彼らが()()()()()()()()()のです。

「ぇ……?」

「……アルマ、どうしたの? ってえぇ!?」

私もフェリスも、何が起こったのか分かりませんでした。


……いいえ。

私だけが、何も理解していませんでした。

フェリス含め皆は()()()()()()()()()()()()()()()()()分かっていたのでした。



最初に口を開いたのはフェリスでした。

「……()()()()()、さん?」


その名前には、聞き覚えがありました。

あの男か女か分からない、たぶん男の化物みたいな人。

でも、あの人が何をしたのでしょうか?

フェリスの視線を辿り、私もそちらを見ます__



そこには、正真正銘の『化け物』がいました。


80センチほどに膨れた腕。

コートを羽織っているだけの、ムキムキの体。

腕よりもではないですが、筋肉により肥大化した足。


それは人というより、岩人形(ゴーレム)のようでした。

いや、岩じゃなくて筋肉? 筋肉人形(マッスルゴーレム)



「……お疲れ様、二人共♪」

ルディーノさんの声はいつもと変わりませんでした。

強いて言えば、少しくぐもっていた位です。

「ルディ、ィ、ノ、さん?」

「はぁーい、アルマちゃん♪」

必死に声をかけると、ルディーノさんは快く反応してくれました。体は化け物ですが心は人間のようです。


「……おい、何だ貴様は?」

「あら?」

アルマ達の安堵を遮ったのは、一人の男でした。

エティールノ、だっけ。フェリスの親。

噂には聞いていたけど、意外となかなか本当に酷い人でした。


そんな彼に、ルディーノさんは挑発するように向き合いました。

「私はルディーノ。長くて面倒だから名字は言わないけど、ルディーノちゃんって呼んでね♪」

「糞が。貴様も地獄に落ちろ!!」

悪態を吐きながら、彼は懐からあるものを取り出しました。


それは()()

私達を殺す、最悪のアイテム。

「ぁ……!?」

あれは、マズい。

私の本能が、そう訴えかけていました。一発受けたフェリスが、既に大怪我を負っているのです。

いくらルディーノさんとはいえ、耐えれるわけが……!!



「ふふ、大丈夫よ♪」


パァン!


(……あぁ)

撃たれてしまった。

反射的に、私は目を瞑ってしまいます。ルディーノさんが殺される瞬間を、私は、見たくなくて。




カァンッ!!


……?

『カァン』??


「……え、ルディーノさん??」

この場に不釣り合いな、気の抜けた声がします。

フェリスでした。

とはいえ別に、フェリスが変なわけではありません。もし声を出せたなら、私もそんな声を出していたでしょう。


「……なんだ?」

続いて、明らかに困惑したエティールノの声が聞こえました。

こちらも、エティールノが変なわけではありません。

おそらくそこにいた全員……ルディーノさんを見ていた全員が困惑していると思います。


「……うふ、うふふふふふ」

ルディーノさんの肌には、傷一つ付いてなかったのです。


確かに拳銃は……彼? 彼女? とにかくソレに向けられていたはずでした。

しかしその姿は__全く傷ついた様子がありません。

「貴様、どういうことだ!!」

顔を真っ赤にして、ふたたびエティールノが引金を引きました。


パァン!

カァンッ!!


パァン、パァン!

カァンッ、カキンッ!!


カチッ……


カチッ、カチッ……


「なっ!?」

銃から弾が出なくなり、エティールノはさらに困惑します。

全弾命中したにも関わらず、弾はすべて()()()()のですから。

「あらあら、手詰まりねぇ……♪」

傷付いたようすのないルディーノさんが一歩、また一歩と、エティールノに近づいていきます。


……その見た目はまさに鬼の形相。

ルディーノさんが味方で、本当によかった。


「く、来るな!来るんじゃない、化物が!!」

「フフ、ふふふふふ……」

エティールノも一歩、後ろへ下がります。それに合わせてルディーノさんもまた、一歩。

本人はジリジリ後ずさってるつもりなのでしょうか、既に十メートルは離れています。



次の瞬間、ルディーノさんが叫びました。


「ヴェルニスちゃん、ニーミアちゃんっ!!」

その声に合わせ、上から二つの人影が現れました。


……そう、上からです。

人混みを掻き分けることをせず、ジャンプで私達の下まで来たのでした。


「わあぁぁぁぁぁーーっ!!」

「……ヴェルニス、うるさいわ。」

そして予想通りというか、その正体はヴェルニスとニーミア……なのでしょうか?

声と雰囲気は、紛れもなく二人でした。


では何が違ったのかというのか。体です。

まるで現在のルディーノさんのように、二人の体は筋肉で膨張していたのです。

筋肉人形(マッスルゴーレム)が三体。なかなかシュールな光景です。


「ねえ、この体使いにくいんだけど! キモいし!!」

「諦めなさい、今だけだから♪」

「そうよヴェルニス。お姉ちゃんはもう諦めたわ」

ズシン! と重々しい着地音の後、二人は私達をひょいと()()()()()()

どうやら、筋肉は見た目だけではないようです。

「……二人共、どうしたの?」

「ふふ、驚いたでしょ?」

フェリスから聞かれ、ニーミアは笑います。この変化に対し、そこまで嫌ってないようでした。

「……へん、な、感じ。」

「私だって分かってるわよ!な によこのキモい体!!」

「諦めなさいヴェルニス。私もそう思ってるから」

一方、ヴェルニスはとても嫌っているようでした。私が言及しただけでこの反応です。


呑気に会話してると、また声がかかりました。

「ほら二人共! 話してないでアルマちゃん達を運ぶの!」

「やってるって! いちいち指図すんな!!」

ヴェルニスは犬が吠えるように返事したあと私に訊いてきます。

「アルマ、走るよ! 準備いい!?」

「ぅ、ん……??」

走る?

いや、私は無理ですよ? 体が焦げて全身が痛くて、自分の足では……


「フェリスさん、ちょっと失礼」

「え、何__」

一方、フェリスも私のような顔をしていました。



そして、次の瞬間。

「「とうっ!!」」

「ぁ、っ……!?」

「キャアアアアアアッ!!??」

……私達は、空を()()()()()


飛んだのではなく跳んだ。二人がそれぞれ私とフェリスを担ぎ、跳び上がったのです。

「「なんだっ!?」」

「おい、逃げたぞ!!」

「「ばっ、化物だー!!」」

当然、現場は大騒ぎです。

肝心のエティールノは、ルディーノさんに威嚇されてて行動できません。


人混みを抜けると、二人は跳躍から走行に切り替えました。

「フェリスさん、アルマさん、このまま街を抜けるわ!」

「というか、山にも戻らないよ! アイツが用意した隠れ家があるの!」

走りながら、二人が話してきます。表情こそ分かりませんが、声色は楽しそうです。

「かく……れ、が?」

「あ、アルマは無理しないで! ……いいよね、フェリス!」

「えっ、あ、うん大丈夫!」

フェリスが頷くと、二人はさらにスピードを上げます。

……というかこれ、人の速さじゃありません。時速五十キロは出てます。



こうして、色々ありましたが……私達は、街から抜け出すことができたのでした。

※その全てが、小さなものの積み重なりで※



※その全てが、奇跡となって※



※マスターと周りの人間は、幸せを築く※



※奇跡コード 始動※



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ