無題
※プログラムを起動※
※自動更新を開始※
…………何かがおかしい。
私は一人、その光景を見ていた。
アルマが殺される光景。
住民は今にも、アルマとフェリスを殺さんと刃を掲げる……
だが何かがおかしい。
こんなシナリオは想定されていない。
なんで?
私は虚空に問いかける。
なんでアルマはすぐ死ななかった?
どうして?
どうしてフェリスは生きてる?
何の手違いだ?
どうして、なぜ……アルマの記憶が蘇っていない?
傍観者は頭を抱える。
私はすぐに死んだ。
フェリスが生き残ることも無かった。
代わりに手に入れたのは、過去の記憶。両親が人間に殺されたという過去。
※未来改変が発生しています※
私は人と距離を置いて生きてきた。
だから、面識のある友達はフェリスだけだった。
※未来改変が進行中※
だから街が燃えた時、急いで向かった。
フェリスの焼死死体を見たのは、その後だった。
※未来改変阻止プログラムを実行しますか?※
そこで私はあっけなく殺された。
躊躇なく、人々から串刺しにされた。
※プログラムを実行中※
ポツリ、ポツリと降り出す雨。
宙ぶらりんになった私はようやく理解した。何故かずっと前から雨が嫌いだった理由。
やっと思い出した。私の名前。
※プログラムが動作を停止しました※
雨が降り注ぐ日だった。
私の親は人間に殺された。私を山で逃し、斧で惨殺された。
私は覚えていたのだ。思い出したくはなかったが。
忘れたかったはずだったのに。
※プログラム妨害者を確認中※
それから私は蘇った。
引き金は、スカートに持っていた魔導書。
コレは本当に強大な魔法だ。現に今も、私の中で作動し続けている。
※妨害者を特定しました※
その名も、『真理コード』。
この魔法を手に入れるに伴い、私は変わった。
まず人を辞めた。髪に混じって伸びる漆黒の翼が、その証明だ。
私は全ての人間を殺した。
ある者は貫き、ある者は燃やし、ある者は窒息させ、ある者は切り刻んだ。
だが足りなかった。
私の内に秘められた復讐心は、人間を根絶させる程度では済まされなかった。
※妨害者:魔女アルマ※
だから、私は文字通り『過去へ跳んだ』。
私の協力者を募るため。
そして、信頼できると思っていた魔女がいた。
※※緊急エラーが発生※※
アルマ。
私が唯一、信頼できると信じていた魔女。
※アノマリーが観測されました※
アルマ。
この世で最も愛するべき私自身。
※第二の『真理コード』が存在しています※
その彼女が裏切った。
私と同じ苦痛を受けるべき彼女が。
私が救済するはずの彼女が。
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
もう、いい。
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
アルマ、貴方がそう言うのならば。
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
私は貴方ごと世界を消す。
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
貴方ごと、この世界を許さない。
ゆるサナイ。
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
………………
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
…………
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
……
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
※未来改変阻止プログラムを実行できません※
※未来改変阻止プログ__
「あー分かった分かった。黙れ」
そう言って魔導書を開く。それと同時に、先程までのエラーメッセージが途切れた。
「自動システムを停止する。これからは私の意思で世界を破滅へ導く」
パラパラ、とページをめくる。
そこに書かれていたのは災厄の魔法。
私が『災厄の魔女』と呼ばれる所以。
「……とりあえず、パンデミックでいい?」
その内の一ページを開く。書かれていたのは、私が考え得る限り一番被害の大きな魔法。
ちょっとコストは大きいけど、あの人間……もとい害虫共には、これぐらいが適正だろう。
「……さ、行きましょうか。」
私が悲しむこんな世界なんて、壊れてしまえ。
※シナリオを更新※
※コード『カタストロフ』が起動しました※




