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始める前のプロトプロローグ
ただの前書きです。
早く物語を読みたい方はどうぞ読み飛ばしてくだされ
人は誰しも他人を見て、比べ、自分より劣っているところを自覚なしに探しては心の奥深くで安心している。
それ例えば、身長。
それは目に見えて人の優劣を決め、覇気があるかどうかに関わる。
それは例えば、財力。
ある人は地位は金で買うものだといった。
ある人は勉学も金で変えるものだといった。
この世の殆どは金でどうにかなる。
ただの紙切れが人を狂わせる。
それは例えば、健康。
それは例えば、容貌。
それはどんな小さなことでも当てはまる。
ただ、その少年にとっては魔法だった。
魔法の世界に生まれて、魔法が使えないこと。
それだけで蔑みの対象になる。
人はそんなことで軽蔑したりはしないと思うだろう。
だが知らず知らずのうちに彼と接しているすべての人物の心に、安堵感、優越感が湧き上がらないはずがない。
世界の理から外れた少年。
魔法を使えることが当たり前のこの世界で…………。
この少年は剣に頼るしかなかった