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シルヴィア、困り果てる。

「ふぅぅぅ」



薄いタオル地のドレスを纏い、シルヴィアは深呼吸をする。

ブルーメイン家のお風呂とは比べようもない程に広く、便利だった。


「さあさ、シルヴィア様。こちらのドレスを着用なさってください」


控えていたリリアンナと、女官と思しき女性達4人がかりで薄水色のドレスを抱えている。


そして、後ろにもう1人女性が居る。


「カミラ・リヴェールでございます」

「スーザン・ジャクンスキーと申します」

「ターニャ・ミドルトンです」


そして、箱を抱えた女性はか細い声で「フローレンスです」

と、名乗った。


「……フローレンス?お辛そうですね。お休みになったら?」

「……いい、え。これはわたくしの務め、です、から」



心配だと言わんばかりに眉を顰めるシルヴィア。

その様子に、リリアンナまでが顔を顰めた。



「フローレンス。シルヴィア様が気遣って下さっているのですから気楽になさいなさい。」

「は、はい……」



フローレンスが1歩下がり、壁に寄りかかろうとする、と。




「っわ、」



反動で、フローレンスの身体は傾き、床に倒れ込んだ。



「大丈夫!?」


慌てて駆け寄り、助け起こそうとするシルヴィアだったが、



「ッいや!」



パシン、という音と共にその手は振り払われる。



「……え、」



呆然とするシルヴィア。

その横をリリアンナの厳しい声が飛ぶ。


「なんて態度を!シルヴィア様に謝りなさい!」



フローレンスは、床にへばりつき、しくしくと涙を流しはじめた。



「フローレンス!」

「いいのよ、そんな!私はちっとも気にしてないから!ね?」

「ですが、」

「しつこいわ。私は気にしてない!」



と言うシルヴィアに、ソフィアは初めて上の者としての威厳を感じる。

いつもは何処か抜けているシルヴィアが取った言動に、リリアンナも、「でしたら……」と、引き下がる。





「フローレンス?どうしたの?私に話してくださらない?」



フローレンスは泣き止まない。

シルヴィアは困り果ててしまった。




「……シルヴィア様。ここは私共にお任せ下さい。」

「……でも」

「今から1時間後にシャルロット様からお部屋にお招きするようにと仰せつかってます」

「シャルロット様!?」



シャルロットとは確か……王様の妹で、私の一つ上だったはず、とシルヴィアは先ほどの会話を思い起こす。


「はい。ですからお着替えをなさってください。化粧も30分ほどあれば出来るでしょう」

「け、化粧!?」

「はい。妃たるもの人前に素っぴんを晒したりはしません。王の恥にもなるのですよ」


(私の行動が、王様の恥に……)


とんでもないことだ、とシルヴィアは身震いをする。



「わかったわ。でも私お化粧とかしたことないのだけれど……」

「わたくしがさせて頂きます!」


見た感じシルヴィアと同い年位の少女、ターニャがおさげ髪を揺らして答えた。


「ありがとう。じゃあ、よろしくね?」

「はい!鏡台の方へ参りましょう」



白粉などでドレスが汚れては困るため、化粧を先に済ます。

シルヴィアはリリアンナに、フローレンスをよろしくね、と目配せをするとターニャの後に続いた。





「……フローレンス、か」


彼女の瞳には暗い何かがあるような気がしてならなかった。

彼女だけファミリーネームを言わなかったのも気になる。



(私、何かしてしまったのかしら。)



助け起こそうとしたあの一瞬、シルヴィアはフローレンスに睨まれた気がしたのだ。



上手くやっていけるのかしら、という意味を込めてシルヴィアはため息を付いた。




またまた短くてごめんなさい

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