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シルヴィア、女官長と出会う。

「シルヴィア様!お声がけください」

「え?……ああ、」


ソフィアに急かされて、シルヴィアは声を上げる。


「ど、どうぞお入りください」


ソフィアのため息が聞こえた気がしたが、シルヴィアは聞こえない振りをした。


キキィ、と小さな音を立ててシルヴィアの部屋のドアが開く。

シルヴィアは息を飲んだ。



「ええーと、何歳?」


そこに立っていたのは……見た目10歳程の、どう見ても妙齢の女には見えない……少女だったのだ。




「……わたくしはこれでも二十を越えております」

「……えええ!?」



見えない。

どう見てもその2分の1に見える。


だって15歳のシルヴィアよりも背は10cm以上も低い。

童顔。

幼児体型。


あまりのショックでシルヴィアは失礼なことを考えてしまう。




「わたくし女官長を努めさせて頂きます。リリアンナ・ネルガでございます。……そこに居る馬鹿の」


と、リリアンナはソフィアを指さす。



「姉でございます」

「えええ!?」


またしても驚き、大声を上げるシルヴィア。




「……あれ?リリアンナが女官長ってことはさぁ……他にも女官が付くってこと?」

「そうですね、シルヴィア様が望めば人数を減らすことも出来ますが少なくとも4人は必要でしょう」

「そうですね」


リリアンナが言い、ソフィアが同調する。


う、とシルヴィアが顔を顰めた。


「どうされました?」

「4人も……?私自分のこと全部自分でできるわよ」



全然そんな事ないのだが、見栄をはるシルヴィア。

案の定、女官長と侍女は疑わしそうな視線をシルヴィアに送る。



「そういうわけには参りません。シルヴィア様には王族のしきたり、妻としてのつとめ、ダンス、マナー……覚えていただくべきことは沢山あります」


にべもなく言うリリアンナ。

うげ、と更に顔を顰めるシルヴィアだった。




「……眠いわ」

「ご就寝なさいますか?」


リリアンナは、寝かせる気などちっともなかったが一応聞いてみる。


「……そうしようかしら」

「そういうわけには参りません」

「なんで!?」



寝るかって聞いてきたのはそっちじゃない……とシルヴィアが文句を言う。



「まずお風呂に入りましょう。ソフィア。手伝って差し上げて。」

「はい」

「っちょ、お風呂ぐらい入れるわよ!?」


というシルヴィアの意見を無視して、続ける。


「わたくしは他の女官と共にシルヴィア様に似合いそうなドレスを見立てておきます」

「き、着替えるの!?」

「当たり前です」


シルヴィアが今着ているドレスには所々砂埃や土汚れが付着していた。



「馬車での旅に汚れは付き物です。体の汗を流し、新しい服に身を包む。……常識ですよ?」

「……なら仕方ないわね」



渋々、といった形でシルヴィアはソフィアに案内され、お風呂場に入っていく。



「っわぁ、ちょっ脱がさないでよー!」

「すみませんシルヴィア様!これがわたくしの仕事なのです!」



風呂場には終始シルヴィアの悲鳴が響いていた。




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