拾壱《捜》
「本郷、行くけど行ける?」
「は、はい!大丈夫です、…弥代様?」
じっと見てくる本郷に、首をかしげて問う。
「なに、?」
「巫女服です、ね。」
上から下をまた見た、本郷はそう呟き不思議そうに首をかしげた。
「姫巫女様に仕える為に誂えていたものだけれど。今回、出してみたんだ。どっか、おかしいかな?」
「いえ、あのよくお似合いで」
「そう、ありがとう。早く見つけないと日暮れはあっという間だし、狭間にいたら本当に危険なのだから、ね」
そう答えた私に、意味が分からないままの本郷はけれど急がなければいけないことに気付いた。
「日暮れって、もう昼も過ぎてますよ?!」
「だーかーらー、本気でやるから。まじで」
巫女服の裾を翻し、私は先程姫巫女様より賜った御札に念を込める。
「尊き巫の御力を賜り、常世の狭間を開け放て。時を統べる神にこの祝を捧げ紡ぎし路を示す。我、百々依弥代の名において命ずる!ここに開きたまえ!」
ズズズッ、と引き摺るような音が響き赤色の大きな鳥居が現れた。その鳥居の向こう側は真っ暗でなにも見えやしない。
「本郷、これを」
チリン、と音をならすそれを本郷の手のひらに押し込める。
「弥代様、こちらは?」
本郷はそれをつまみ上げ、問うた。私は、ニッと笑みを浮かべて本郷に渡したそれと同じものを右の手首に結ぶ。
「礼鈴ってやつ。私の神力をこめてるから。本来は儀式とかに使うんだけど、今回は迷子にならないためにねー」
本郷は納得したのか、そそくさと腕に巻き付け結ぶ。それを見届けてから、鳥居の向こう側へと進む。けれど、決して真ん中を通ってはいけない。鳥居の真ん中は、神の通る道だから。
ちりん、ちりん、小さく鳴り響く鈴の音。それを頼りに真っ暗なココで本郷の位置を把握する。
「本郷、一個だけ。決して、負の感情を沸き起こしてはいけない。その瞬間、ココにのまれてしまうから。たとえ、その鈴を付けていても」
「はい、弥代様」
そういえば、姫巫女様が言っていたな。この言葉を、使ってと。
「此方に灯を」
言われた言葉を口にすると、
ほわりと足元を照らすように灯籠の光が灯る。
「わあ、姫巫女様の計らいね。本当にありがたき幸せ。」
祈りを捧げて、前を見た。ずらりと、道標のように伸びている。まるで、姫巫女様の神社の境内のようだ。
「すごい、狭間とはこんな風になっているのですね」
「違う、これは姫巫女様の計らい。本来は、ずっと真っ暗でわけも分からないハズ。これで大分楽に進める……けれど、これは最後まで続いているわけじゃない。いくら姫巫女様でも狭間全部を把握できないから」
最後は、この目印で探さないと。そう心で呟いて胸元に仕舞いこんだ紫の金平糖を撫でる。
情って怖い、だって見捨てられなくなってしまうから。
「……弥代様?」
「なんでもない、さぁ先を急ごう」
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