西暦4000年の戦争
「…ごめんね。本当にごめんなさい。」
彼女は必死に謝る。
浩二は動けないままだった。
「あなたは国籍が日本でしょ。私は日本に住んでるけど、アメリカ人なの。一応…。」
「…分かってる。」
浩二は力なく言い、ヨロヨロと反対方向へ歩いた…。
その時、日本はアメリカと戦争をしていた。
そのため、国民は苦しい生活を送り、なかには崖から飛び降り自殺する者もいた。
「ぜいたくは敵だ」
という看板がまちには目立ち、食べ物がないまま暮らしていた。
だが、日本は昭和時代ではない。平成も通り越し、西暦4000年にいた。
かなりの機械化が発達し、未来を期待されていた日本だが、それは違った。
不満を持つ国民だが、命令に背くと直ちに罰がくだされる。それを恐れて空襲などの被害に耐えていた…。
北川浩二はシクシクと泣きながら家に帰っていた。
「真理子…。」
浩二は高校2年生だ。
だが赤紙が来て、戦争にいかなければならない。明日新幹線に乗って戦場に行くのだ。
「真理子…。」
学校など行けるはずもなく、真理子は兵器工場で働いていた。
そこを通りかかった浩二は一瞬にして篠原真理子に惚れた。
大好きな真理子に今日告白したのだ。
だが、返事はむなしかった。
「国籍がちがっても別にいいじゃないか。」
つぶやく。
「何が戦争だ。なにが兵隊だ。なにが赤紙だ!」
うわあああああ、と叫び、浩二は走った。
「浩二さん…。」
真理子は浩二が走り去った方向をいつまでも見ていた。
真理子は浩二が大好きだった。工場で働いていると窓から浩二がこちらをのぞいていた。かわいい顔立ちで、優しそうな笑顔。
一瞬で惚れた。国籍がアメリカなんてウソだ。アメリカ人だったらこんなとこで働けない。
「浩二さん。」
真理子が断ったのは、他でもなかった。アメリカはこれから日本の各都市に核兵器を落とそうとしている。
それは外には言うなといわれた。そしてお前らはここで死を待つのだと。昔の戦争でおとされた、原爆の約10倍。指揮官がそう言った。
浩二と真理子が付き合えば、アメリカの戦争に行く浩二はいきたくなくなるだろう。
イコール、核兵器により無残な死に方をするのだ。
真理子だって不安でたまらない。もうすぐ死ぬのだ。核兵器によって…。
でも浩二にはそんな思いさせたくなかった。
死ぬなら核兵器なんかじゃなく、かっこよくお国のために死んでほしい。
核兵器が投下されて生き延びても、結局いたくて苦しいのだ。
「浩二さんのためなのよ。」
どうか、戦争が終わるまで死んでほしくない。
「私だって、にげたいよ。でも今の日本は変だよね。生まれた土地から離れたらいけないって…。核兵器が投下されるってのに!」
真理子は空に叫んだ…。