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魔物、襲来

 「おいーっす」


 片手を挙げながら、俺はクラスに居る奴等に声を掛けながら教室に入る。

 三年の高校生活の中で一度も顔を合わせない奴もいれば、あいつ等みたいにしょっちゅう絡んでる連中も居る。

 高校ってのは不思議だなぁって、改めてしみじみと考えながら。

 このクラス、三年4組は全体的に仲がいいから、こんな風に挨拶するとそこらへんから返ってくる。

 なんか嬉しいね。


 「あ、春人!おはよー!」


 「お、おう!おはよう!」


 そしてコイツ、生徒会長にして全校生徒の憧れである俺の幼馴染。


 茶に近い黒髪をなびかせながら駆け寄ってくる。

 近くで見るとまつげとか長いし、肌白いし、目が若干たれてぽややんとしてるのもまた・・・・。


 って落ち着け俺!

 

 心の中で葛藤しながら、幼馴染と軽く談笑。

 クラスの連中も、俺とコイツが昔からの仲良しで幼馴染だって知ってるから、いらんちょっかいは出してこない。

 他クラス、もしくは他学年の男からは、ラブレターを渡してくれって頼まれたりするが。

 却下だ馬鹿ども!!


 「お前、今日の言葉とか考えたの?」


 「うん!もうバッチし決まったよぉ~。春人に夜聞いたおかげー!」


 「そりゃよかったわ。頑張れよ!」


 「ありがと~。緊張するけど頑張るよぉ!」


 この語尾が延びる感じもコイツらしい。

 か、可愛いとかそういうんじゃないからな!勘違いすんなよ!


 「お前たち!時間だぞー、ならべ」


 「「はーい」」


 こいつと話してるうちに時間になってたようだ。

 二人して返事すると、ハモッたことが面白かったのか、二人して笑う。

 なんかいいなぁと思いながら、俺たちは講堂へむかった。




 


 講堂


 「春人よぉ、結局どうなのよお前らって?」


 「あん?なにがだ?」


 既に式は始まっていて、まずは部活の表彰が行われている。

 夏樹はバスケ部の部長にしてエース、もともと強かったうちのバスケ部を率いて、なんと全国出場なんて大それたことをやってくれた。

 公立の進学校としては、物凄い快挙だ。

 

 だが、俺の横に居る馬鹿は、どうやらその凄さが分かってないらしい。

 夏樹が報告しに来たときも、へー凄いなといって殴られていた。

 因みに俺も一撃くれてやった。


 クラスが隣で、男子一列の後ろに女子一列が並ぶ方式なので、隣のクラスの奴と話す機会は意外と多い。

 並び順は適当だからな。


 「だから、会長さんとはどうなってんのかだよ」


 またそれか、と俺は心の中でため息を吐く。

 コイツは自分の事に関しては相当鈍感なのに対して、人の心の機微には敏感というわけ分からない特性を持っているのだ。

 それで、しょっちゅう俺とあいつの仲を聞いてくる。

 正直、要らぬお世話なのだが、コイツのアドバイスはなかなか為になる。

 恋愛未経験者の癖に、なんなんだ?と以前聞いたら、いざというときの為にあらゆる本を読破したといっていた。

 ほんとうに馬鹿だ。


 「なんとも。・・・なんともないって」


 「でもよぉ、お前の進学に態々付いてきてくれたんだろ?それって脈ありってことだろ!」


 「それはそうだけど、そんなんじゃねぇんだよ」


 そう、アイツが俺に着いてきてくれたのだって、最初は嬉しかったさ。

 でも、後から気づいたんだ。

 俺の力をあらかじめ知ってしまっていたアイツも、俺と同じで周りから避けられていたってことに。


 だから、俺のせいなんだ。

 アイツがここに来なきゃいけなかったのも。


 「ったく、この話は終わりな。そろそろアイツが話す番だぞ?」


 「お!本当か!?よしよし、早くこーい!」


 大樹がそういって前を向いたと同時に、俺も前ヲみる。

 どうやら丁度良くアイツが壇上に上がってきたところだったようだ。


 生徒会長であるアイツが話す事と言えば、休み期間中の注意くらいなのだが、本人の希望により少し別な話も混ぜていたりする。


 会長として精力的に活動するアイツは色んな行事を開いたりして、生徒を楽しませることを生きがいにしてるようなところあるから。


 今回もそれの表彰とかしたりするんだろ。


 そう。ここまではいつも通りだったんだ。

 なんてことはない、ただの休み前の集会。

 でも俺は、ここで忘れちゃいけなかったんだ。

 あの、中学校のときの悲劇を。



 「うそ、だろ・・・・」


 “奴”はアイツの直ぐ後ろにいた。

 それこそ、あのときの校長と同じタイミングで、同じ位置取りで。


 なんだよ、なんでだよ!“奴”はあの時死んだはずじゃ!


 って、んなこといってる場合じゃねえだろ!!


 「後ろだ!!逃げろ!!」


 俺はめいっぱい叫んだ。そして走った。

 このときばかりは、自分の選択を恨んだ。どうして最前列に居なかったのか。どうして面倒くさいという理由だけで後列に並んだのか。どうして・・・・!!


 アイツも俺の声に気が付いたのか後ろを振り返る。

 そして、その表情は恐怖に染まった。


 間に合え!!


 心の中で叫びながら思いっきり走る。

 だが、そんな俺をあざ笑うかのようにこちらへ一度顔を向けた“奴”は笑った。

 牛のような顔をゆがめて、確かにさげすみのような笑みを浮かべたのだ。


 “奴”の両手が振り上げられた。


 「や、やめろぉおおおおおおお!!」


 「は、春人っ!!!」


 後、一歩のところで、アイツの指が俺の伸ばした手に触れたのに、俺はそれを引き寄せることは出来なかった。


 グシャッ。


 「ごぉっ!?」


 拳が振り下ろされた衝撃で吹き飛ばされた俺が見たのは、俺のほうへ飛んでくるアイツの右腕とぐちゅっと潰されたアイツだったもの。


 そして、地獄が再び始まった。

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