#7 テスト期間
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「私はお姉ちゃんのようにしか見られていなかった。
それでも彼の恋を応援する恋愛物語 」をどうぞ!
放課後、誰もいない廊下を私たちは進んで部室に到着する。
中からは何か物事を言い争っているような音が聞こえる。
私たちは苦笑いをしながら部室の扉を開けるとそこには予想していた通り
井口さんが二人にしっかりと勉強を教えられている姿があった。
大川「この部分はこの式を使えば解ける!」
荒川「ここは単に計算をミスってる!それと符号ミスも気を付けて!」
会話からどうやら数学をやっているのがわかった。
弘樹「お邪魔します」
大川「あっ、二人とも来てくれたんだ。私たちは瀬名の勉強を教えているから
二人はやりたい教科の勉強していていいからね」
井口「……あ゛~、なんでこの長い公式を覚えないといけないのぉ~」
荒川「仕方ないだろう。でもそれを覚えちゃえば楽だぞ」
大川「そうよ。瀬名は計算ミスも多いからそこさえ直せばいけるって!」
テキストや教科書を広げながら大川さんたちの会話を聞いていると
私は苦笑いをするしかなかった。井口さん大変そうだな……
私も勉強を始めないとなと思い広げた教科書を見ながらテキストを
書き進めていく。今のところは何とか解くことができている。
井口さんの悲鳴を環境BGMにしながら勉強を進めていると
弘樹が伸びをしているのが見えた。それにつられてるようにして伸びをする。
私「結構疲れちゃった」
弘樹「だね。先輩たちって仲めちゃくちゃよさそうだよね」
弘樹の言う通り悲鳴を上げながらテスト勉強をやっているが
なんだかんだで三人とも楽しそうだ。
数分後、先輩が時計を見てみんなに声をかける。
大川「そろそろ帰ろうか」
荒川「そうだな、時間も時間だしな」
井口「やっと終わるぅ~!」
大川「帰った後でも瀬名の家に行って勉強教えてあげるからね」
そう大川さんに言われて井口さんはまた悲鳴を上げていた。
一同「ありがとうございました!」
一応、部活動終了のあいさつをして部室から去って行った。
帰り道先輩たちとたまたま方角が同じだったのでそのまま帰ることになった。
荒川「そういえば二人とも勉強ははかどった?
井口に教えていたからそれが邪魔だったかもしれないけど」
私「いえ、そんなことないですよ!自分のことはしっかり
集中できるので!」
大川「瀬名も佑月ちゃんを見習ってほしいわ」
荒川「瀬野は井口の親目線かよ!」
荒川さんの鋭いツッコミがさく裂する。
大川「でもまあそういうところが瀬名のかわいいところなんだけどね。
ねぇ~、荒君~?」
大川さんがにやにやした顔つきでそう言うと荒川さんは
荒川「ばっ……ばか……そんな同意を求めるな……」
耳を赤くしながら大川さんに反抗する。
……もしかして荒川さんは井口さんのことが好きで、それを見抜いている
大川さんが一人でに楽しんでいるってことなのか!?
大川「え~でもどこかの誰かさんが瀬名のことを」
荒川「あああ~なんでもないぞぉ~なんでもないぞぉ~」
ニヤニヤする大川さんとそれに慌てる荒川さん。
そのとき私は自分の考えに確信を持った。
一方、恋愛に関することは全くと言っていいほど鈍感な弘樹は
何のことかわからず一人でに困惑している様子。
私は何も言わず二人の会話をただただ微笑んで聞いていた。
大川さんのこんな姿を見るのは何気に初めてで最初のあの丁寧な感じからは
とても予想ができないからかい方だなと思った。
そんな下校をした二日後の放課後。いつものように部室へ向かう。
そしてこの土日をまたいだら、とうとうテストが始まる日程になっている。
井口「……いつまであたしはこの地獄を見ればいいんだ……」
大川「はいはい、そんなこと言っていないでさっさと始めるよ~」
荒川「そうだぞ。次は国語の古文だ」
井口「古文って昔の人が書いたただの日記でしょ……別に今の私たちが
呼んでも仕方なくない?」
大川「別に仕方ないわけじゃないよ。昔の人の知恵だったり武勇伝だったり
恋模様だったりが描かれているから小説のネタになるよ」
井口「えっ、瀬野っていつも古文読んで小説のネタ思い浮かんでるの?」
大川「そんなことないって。ほら早くやるよ」
そう大川さんに言われてしぶしぶ問題を解き始める井口さん。
それに合わせて私たちもテキストを解き進める。
井口「……あ~この単語ってそういう意味だったのね」
荒川「この部分、基本だから絶対にテストに出るぞ」
井口「たった今理解してわかったところだから大丈夫!」
やっぱりこの三人の会話を聞いていると面白いなと思う。
二日前に知った荒川さんの恋心を考慮するとさらに面白くなってきそうだ。
私もこんな脈ありの恋をしてみたいよ……
テスト勉強をしながら荒川さんと井口さんの二人を見ていたが
どう考えても物理的な距離が近い気がする。
それに井口さんも荒川さんに気があるような感じがするのだ。
そう観察しているだけで口元が二やついてしまうのは私の悪い癖だ。
でも私もこんな恋をしてみたいよ……そう思いながら隣にいる弘樹に目をやる。
そんな私の気持ちに気づかずにテキストを進めていた。
読んでいただきありがとうございました!
コメント(感想)をくださるとうれしいです!
それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




