#48 二人の気持ちは最高潮へ……
皆さん、こんにちは!アオです!
今回の"話"は弘樹と大川さんの二人の視点で物語が進みます!
それではいつもとは少し違う「私はお姉ちゃんのようにしか見られていなかった。
それでも彼の恋を応援する恋愛物語 」をどうぞ!
弘樹視点
佑月「お疲れ様です~!」
僕も佑月に続いて部室に入る。
大川先輩にクリスマスデート(?佑月に言わせればデートらしい)に
誘われて気持ちの高鳴りが抑えられないほどだ。
でもいつものようにふるまわないと、片想いなんだから。
初めて異性を"好き"になった。初めてこんなにも"ドキドキ"した。
一緒に過ごしてこんなにも心地が良い人は初めてだ。
そんな初恋を胸に俺はいつも部室に来ている。
佑月「じゃあ最後、弘樹の番。しっかりよろしくね」
僕「うん、もちろん!」
佑月から何十枚と束になった原稿用紙を受け取りすぐに執筆作業を
開始させる。すでにストーリーは脳内にある。
あとはそれを文字に起こすだけだ。
恋愛小説……実は部活に入る前から小説自体は少しだけ書いていた。
主に異世界小説を。そのためもともと恋愛小説を書くことはなかった。
でも"恋心"を知ってから僕は時々恋愛小説を書くようになった。
自分で書いた恋愛小説を大川先輩に見られるのは少しだけ恥ずかしいが
それよりも感想を言って笑ってくれる先輩の顔が僕は好きだ。
大川「弘樹君でラストだね。いよいよ大詰めって感じかな~」
大川先輩の声に僕は少しだけ"ドキッ"とする。
"弘樹君"と呼ばれるだけで胸の鼓動がうるさくなる。
大丈夫だよな。変な行動取ったりしていないよな。
恋愛する前は全然気にしていなかったことも恋愛をすると一気に
様々なことに気を遣うようになった。これもある種の成長なのかもしれない。
そんなことを思いながら僕の執筆する手はどんどん進む。
こうやって考え事をしていても進むのだ。それから数十分後……
僕「できました!」
大川「お疲れ様、相変わらず弘樹君は早いね」
大川先輩にそう言われて僕の胸の内が暖かくなるのを感じた。
原稿用紙を渡すときに先輩と指先が触れ思わず耳が赤くなるのを感じた。
……でも先輩はいつも通り僕のことを"後輩"としか慕っていない。
片想い……何度も恋愛小説で使ったことがあるがこれほどにつらい恋愛は
ないと思っている。世界にありふれているのにつらいのは残酷だ。
それでも先輩にクリスマスに誘われて少し期待してしまっている自分がいる。
とにかくクリスマスまでの二週間、体調を崩さないようにしっかりと
部活も頑張ろうと心に誓う今日この頃であった。
大川視点
一同「さようなら」
帰りのHRが終わると私はすぐに荷物をかばんに詰めて部室に一番に到着する。
私はこの高校の文芸部の部長だ。部活とは言っても小さいから青春って感じの
ことはしない……地味だけど仲間とわいわい楽しくできる部活になればと
思って先輩の気持ちを受け継ぎながら私は日々活動している。
部活が楽しいのはそれだけではない……好きな人に会えるから……
でも彼と私は"ただの先輩と後輩の仲"。別に恋愛感情なんか私だけしか
持っていない……でも仕方がないと思う。あれだけ瀬名に言われると
意識しちゃうし、いつの間にか好きになってたし……
確かに私はつらい過去を持っているがそれ以上に今が生きていて楽しい。
恋愛する直後まで私はずっと過去のことを引きずってしまい
クラスでも男子とはあまり関わらないようにしていた。
でも部活は自分の好きなことが相手の好きなことでもある。
これが私にとっての一番のすくいだったのかもしれない。
瀬名や佑月ちゃん、荒君にいろいろなアドバイスをもらいながら
クリスマスに誘うことができた。正直、元カレともクリスマスなんかに
どこかへ行くということはなかったのでめちゃくちゃ緊張する。
大丈夫だよね私。いつも通り接しているよね?
そんなことを考えながら彼から原稿用紙を受け取ると思わず指先が触れる。
っ……目の前にいなかったら私はどんな状況になっていたのだろうか。
そう考えるほどぎりぎりのポーカーフェイスを保ったまま
何とか事なきを終える。やばいこんなに心臓がドキドキするなんて……
好きな人に目をやると佑月ちゃんと楽しそうに話している。
その様子を見る度に佑月ちゃんのことが好きなのかなと思ってしまう。
前に佑月ちゃんから聞いた話では付き合ってはいないと言っていた。
これだけ協力してくれているのだからその情報はまず間違いないとは思うが
それでも疑ってしまう私自身が私は嫌いだ。
佑月ちゃんも弘樹君もお互いに"ただの幼馴染"だと思っている。
それだけのことだ。それ以上でもそれ以下でもない。
時々、ほんの時々佑月ちゃんが弘樹君に向ける目が恋心を抱いている気がする。
私の大きな嫉妬心から来ているものなのか、はたまた本当にそうなのかという
見分けがつかなくてその様子を見る度に私自身の選択が本当に間違って
いないのかと思ってしまう。どんな時でも他人を優先してしまう性格
瀬名に言わせれば"優しいけどお人よしすぎる"だ。
他人を優先してしまったせいで私が損をしたことは何回もある。
もし佑月ちゃんの本当の気持ちに気づいたらそうなる可能性がある。
そんな疑い深い私自身が私は嫌いだ。
読んでいただきありがとうございました!
コメント(感想)をくださるとうれしいです!
それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




