#44 最悪な雰囲気
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「私はお姉ちゃんのようにしか見られていなかった。
それでも彼の恋を応援する恋愛物語 」をどうぞ!
大川「それじゃあ早速案を出し合っていこうと思うけど……」
大川さんがそういったとたん部活の終了を告げるチャイムが鳴り響く。
大川「今日はいったんここまでにしようか。次回の部活からは
本格的に恋愛小説をみんなで書いて行こうと思うからそのつもりで」
一同「ありがとうございました!」
そう言って私たちは解散となった。
翌日の放課後、部室に行くとすでに大川さんと井口さんがいた。
私「あれ珍しいですね荒川さんがいないの」
井口さんが椅子でボーっと座っているのを横目に大川さんが
大川「荒君どうやらインフルエンザみたいで休みらしいわ」
だから井口さんがボーっとしていて元気がないのか。
大川「……瀬名もこんな調子みたいだしさすがにみんなで書き上げるのは
難しいから悪いけどしばらくは止めておこうか」
私「わかりました」
にしても井口さん結構彼氏に依存してるのか?
確かに好きな人が休んだりするとテンションが下がるがそれでも
ここまで露骨には下がらないだろう。いつものギャップといい井口さんも
結構読めない人柄をしているようだ。
大川「元気だしなって。たかがインフルエンザだよ?」
井口「……たっ、たかがインフルエンザって言ったって心配するでしょ!」
井口さんがむきになって大川さんに言う。
大川「まあ瀬名の気持ちもわからなくはないかもしれないけど
いつまでも落ち込んでいられないでしょ。もう少ししたらテストもあるし」
井口「瀬野にはこの気持ちわからないよね!いいよね、お気楽で!」
そう捨て台詞を吐いて井口さんは部室を飛び出してしまった。
私「えっ、井口さん!?」
大川「いいわ、佑月ちゃん。少しは一人にしてあげた方がいいわ」
こういう場面に何度かあったことがあるようで大川さんは静かに告げる。
しかし大川さんの顔色も少し井口さんを心配しているようだった。
井口さんが抜けて行った部室はとても重い空気が漂っていた。
大川さんは本を読んでいて何も話そうとしない……いや話してはいけないような
空気感が部室中に漂っているのだ。そのせいで私たちもなんか気まずい。
しかしこのままというわけにもいかないので私は自分の席に着いて
原稿用紙を数枚出して短編ものを考えてみる。
書き出しても井口さんがさっき言っていた"この気持ちがわからないよね"という
言葉が当事者でもない私に何か突き刺さるような感じがした。
それと同時に何か頭にひらめいた感じがした。私の脳内では次々と場面が
展開されていき恋愛によってこじらせた友情の終点が見えた気がした。
忘れないように急いで原稿用紙のマス目関係なくメモを取り始める。
井口さんや大川さんには悪いが今私が置かれている状況が小説の良いネタに
なりそうなのだ……確か少し前に弘樹が言っていたっけ。
"小説のネタは日常生活の中でいきなり湧いてくる"って。
聞いた当時はそんなことないでしょと思っていたが今になってわかった。
字は雑になっているがスラスラとペンが進む。
すると私の執筆音に気が付いたのか大川さんが目を丸くして私を見ていた。
大川「すごいわね佑月ちゃん。こんな状況でもそんなにスラスラと
執筆できるなんて。何書いているの?」
さすがに今の大川さんに見せるのは気が引けたので
私「なっ、なんでもないですよ。ただネタが思いついたので忘れないように
メモっておこうと思い書いていただけですよ」
と適当にごまかしてその場を切り抜けた。
それから数日後、いまだに荒川さんが体調不良のためお休みだが
井口さんはちゃんと部室に来ていた。しかし部室内の空気は最悪だ。
井口さんは大川さんに言われたのが相当頭にきたのかここ数日ずっと
口を聞いていないらしい。確かに大川さんも言いすぎてしまっていたところも
あったがまさかここまで剣かが続いてしまうとは思ってもいなかった。
これは当事者である大川さん本人も頭を悩ませている。
せめてここに荒川さんが加われば何とかなるのだが……
さらに数日後、やっと荒川さんが復活した。
それによって井口さんもいつものテンションに戻った。
そのおかげか自然といつも通り井口さんと大川さんは接していた。
やっぱり荒川さんがいるかいないかだけでここまで変わるのか。
荒川「悪いな二人とも。俺がいない間に二人の仲がぎくしゃくして部内の
雰囲気も悪かっただろう。これから協力して小説を作るってのにそんなこと
してたら絶対に終わらないよな。とにかく二人には謝っておくよ」
私「いえ、とんでもないです」
弘樹「そうですよ。荒川先輩が戻ってきてくれたおかげで無事に解決も
できたことですし!大丈夫ですよ!」
荒川「そうか、二人ともありがとな。二人がいると俺たちが卒業しても
この文芸部を安心して任せられると思うよ」
そう笑う荒川さんは純粋に先輩として尊敬したい気持ちが強くなった。
それからいつものように部活が進んでいき物語の方向性などが決まって行った。
一同「ありがとございました!!」
久しぶりの明るい声が部室に響いた。
読んでいただきありがとうございました!
コメント(感想)をくださるとうれしいです!
それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




