#32 心の不安は執筆を止める
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「私はお姉ちゃんのようにしか見られていなかった。
それでも彼の恋を応援する恋愛物語 」をどうぞ!
大川さんたちの会話を聞いてから私はそのことで頭がいっぱいになった。
……私だけが空回りしているみたいでダメになっちゃっうかも……
知美「なんか今日一日中元気ないね。弘樹は復活したのにどうしたの?」
私の気持ちを悟ったのか昼休みに知美がそう言ってくる。
私「実はさ昨日の部活の時に……」
それから私は昨日の部活動の時に聞いた会話を完結に伝える。
知美「そっか~……それは辛いよね~。でもその様子だとやっぱり
先輩も弘樹に気があるような感じだよね~」
そう言いながら知美は卵焼きを食べる。
私「だよね~……でも私的にひいき目なしでお似合いなんだと思うんだよね」
知美「それが佑月の本音なのかわからないけどさ、でも考えるって
言っていたってことはそれだけ意識しているってことでしょ。
だから好きになるのは時間の問題じゃないかな?」
私「そう……だよね。よしっ!まだ確定はしていないけど両想いの
二人をくっつけるために頑張るぞ!」
知美「おぉ~珍しく佑月がやる気になってる。てっきりめちゃくちゃ
落ち込んでいるものだと思っていたけど」
私「確かに昨日の夜は多少落ち込んだよ。でもそのおかげで少しは
前に向けるようになったし何より好きな人には幸せになってほしいから」
知美「佑月のそういうところだけは見習いたいわ~」
すると廊下の方から少し背が高い先輩が知美の名前を呼ぶ。
知美「あっ!先輩!えっ、今日って仕事あったんですか!?すぐ行きます!」
私「もしかして生徒会の先輩?」
知美「うん!最近いい感じなんだよね!ちょっと行ってくる!」
そう言い残して知美はダッシュでその先輩の元へ向かう。
その様子からやっぱり知美は先輩のことが大好きなんだろうと思った。
知美が生徒会で抜けて一人でもくもくと食事をしていると……
弘樹「そういえば大川先輩から聞いたけど佑月、昨日の部活
行かなかったらしいけど体調でも悪かった?」
私「あっ……ああうん。ちょっとフラフラしていたから部活に行かずに
そのまま帰っちゃって……ごめん」
弘樹「別に僕に謝らなくてもいいけど大川先輩たちが心配していたぞ。
そのせいで部活は少し空気が悪かったらしいし」
私「えっ……そんなことが……後で大川さんたちに謝っておく」
あ~……やっちゃった。こういうところが私の悪いところなんだよね。
とりあえず今日の部活はしっかり行かないと。
でも大丈夫かな。いや今の私ならきっと大丈夫だ!
そして放課後、昨日のことがあり私は思わず部室の扉を開けるのをためらう。
しかし昨日とは違い後ろには弘樹がいるわけで……
弘樹「どうしたの?」
私「あっ、いやなんでもない。じゃあ行こうか」
いつもは言うはずのない言葉をつけ足して扉を開ける。
そこにはいつも通りの穏やかな文芸部が広がっていた。
私「こんにちは……昨日はすみませんでした」
大川「よかったぁ~……今朝弘樹君に聞いても"わからない"って
言うから心配してた……大丈夫だった?」
私「はい、迷惑をかけてしまいすみませんでした」
井口「何事もなくてよかったよ~。そういえば弘樹君は
昨日は風邪で休んでいたんだっけ?」
弘樹「はい。僕の方も迷惑をかけました」
荒川「顧問の先生が来たから聞いてみたけど昨日は佑月ちゃん
いたからびっくりしたよ」
先生が部室に来ていたらしくさっき弘樹に話したこととかみ合わなく
なってしまうと思ったがとくに違和感なく話を流してくれた。
大川「まあ何はともあれ、今日はみんなが揃ったから
小説の執筆作業を進めて行こうか」
弘樹「大川先輩!」
そう言って弘樹は自分のリュックの中から数枚の原稿用紙を取り出した。
もちろん弘樹なりのアピールだろう。しかしそれよりも私は大川さんの
行動に違和感というか何か別の感情を抱いた。
弘樹に話しかけられたときに大川さんの肩が若干跳ね上がったのだ。
普通なら"びぅくりした"程度で終わる話だが今回は違う。
昨日の話もあり、今の様子を見るとなんだか弘樹を気にしている
様子でもある……これは事が上手い方へ行っているのか……
間違いなく良い方向へ向かっているのだが私の心のもやもやはぬぐわれない。
このまま二人は結ばれて私一人が置いてけぼりにされてしまうのか……
長い初恋がこれで終わってしまうのか。そう思うと自然と執筆していた手が
止まってしまう。井口さんにそれに気づかれて"大丈夫?"とそっと聞いて
くれたがこれは私自身の問題だ。すぐに"大丈夫です"と言って
執筆を再開させる。しかし思うように良いネタが思い浮かばない。
どうしてだろうか……夏祭りや合宿のときにはあれだけ良いネタが
思いついて文字が踊るようにスラスラと書けたのに今はそのときと
全く逆で静止している。もしかして心の不安がそのままネタへ
直結しているのではないか……そう考えるとそんなことで
執筆が止まってしまう私が情けなくなってきた。
結局、その日は原稿用紙一枚分も進めることができず
少しくらい気持ちで学校を後にするほかなかった。
読んでいただきありがとうございました!
コメント(感想)をくださるとうれしいです!
それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




