表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

2章@ao

「あお、あお!今日はさ何して遊ぶ?」

 あまねくんが無邪気に笑う。

「んー、あまねくんは何して遊びたいの?」

「んーじゃ、ぼくはね、公園で遊びたい!」

 あまねくんが勢いよくそういった。

そうだった、あまねくんは外遊びのほうが好きだった。

あおがカードゲームの話をすると、あまねくんは嫌な顔せず付き合ってくれる。でも、きっと外遊びのほうが好きだ。

やっぱり、あまねくんは優しい。


しばらく歩いて、公園につく。

さわさわと、涼しい風に揺られる大きな樹の葉っぱをじいっと眺める。

「あまねくん、公園で何して遊ぶ?」

 そう聞くとあまねくんは、静かに歩き出した。

「あまねくん?」

 声をかけてもひたすら歩いて行ってしまう。

そして、しばらくして立ち止まる。

あおがさっき見ていた大きな樹の前に。

「あお。」

 優しく呼ぶ声は、いつものあまねくんだった。

「あおは、大きくなるのが怖くないの?」

 不思議そうに、でも今まで見たこともないくらい不安そうに、あまねくんはそういった。

「僕はね、変化するのが怖いの。変わっていっちゃうのが、怖くなった。あおにはまだわからないかもしれないけど。」

 あまねくんが何を言ってるのかわからなかった。

変わることが怖い?それって、例えばどんなことなんだろう。大人になる変化なら“声変わり”とか?

「例えばね。最近だと、気持ちがすぐ変わるの。晴れが好きだと思ってた。それなのに、最近は太陽がすごく眩しいなあ、とか。昔は外遊びのほうが好きだった。でも今はあおと遊ぶことのほうが楽しいな、とか。すごく些細なこと。でも、周りがどんどん変わったり、自分がどんどん変わったら、自分ってなんなんだろうなぁって。わかんなくなって、そしたら変わるのが怖くなっちゃったんだ。 あおは、ある?そういうこと。」

 あまねは、いつもよりゆっくり、優しい声でそういった。それが、なんとなく不安そうで。あおに相談してくれてるのはわかるのに、あおはなにもわからなかった。

「あおは、今が好きだから。 あおは、今が楽しければなんでも良いよ。あまねくんが、あおと遊んでくれて、ときには悩みを話し合ったり、たくさんおしゃべりしたり。この間みたいに手紙を書いてもいいし、あおの大好きなトランプをやってもいいよ! だからさ、あまねくんも今を楽しもうよ。あおと一緒にたくさん笑って、たくさん、、、泣いたりしよう?それは、嬉し泣きでも、悲しくて泣いても。たくさん、、、いろんなことしようよ。」

 こんなこと言ったの、初めてだった。

でも、あまねくんに一歩進んでほしくて、そんなことを言った。

泣きながら、笑いながら、少しずつ進めるように。

それはもちろん、あおとあまねくん、二人で一緒に。

あまねくんは、笑った。

あおらしくないって。

でも、良いんだ。

あまねくんがそれでいいなら。

太陽の光は、いつも暖かくあおたちを見守ってくれるから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ