2章@ao
「あお、あお!今日はさ何して遊ぶ?」
あまねくんが無邪気に笑う。
「んー、あまねくんは何して遊びたいの?」
「んーじゃ、ぼくはね、公園で遊びたい!」
あまねくんが勢いよくそういった。
そうだった、あまねくんは外遊びのほうが好きだった。
あおがカードゲームの話をすると、あまねくんは嫌な顔せず付き合ってくれる。でも、きっと外遊びのほうが好きだ。
やっぱり、あまねくんは優しい。
しばらく歩いて、公園につく。
さわさわと、涼しい風に揺られる大きな樹の葉っぱをじいっと眺める。
「あまねくん、公園で何して遊ぶ?」
そう聞くとあまねくんは、静かに歩き出した。
「あまねくん?」
声をかけてもひたすら歩いて行ってしまう。
そして、しばらくして立ち止まる。
あおがさっき見ていた大きな樹の前に。
「あお。」
優しく呼ぶ声は、いつものあまねくんだった。
「あおは、大きくなるのが怖くないの?」
不思議そうに、でも今まで見たこともないくらい不安そうに、あまねくんはそういった。
「僕はね、変化するのが怖いの。変わっていっちゃうのが、怖くなった。あおにはまだわからないかもしれないけど。」
あまねくんが何を言ってるのかわからなかった。
変わることが怖い?それって、例えばどんなことなんだろう。大人になる変化なら“声変わり”とか?
「例えばね。最近だと、気持ちがすぐ変わるの。晴れが好きだと思ってた。それなのに、最近は太陽がすごく眩しいなあ、とか。昔は外遊びのほうが好きだった。でも今はあおと遊ぶことのほうが楽しいな、とか。すごく些細なこと。でも、周りがどんどん変わったり、自分がどんどん変わったら、自分ってなんなんだろうなぁって。わかんなくなって、そしたら変わるのが怖くなっちゃったんだ。 あおは、ある?そういうこと。」
あまねは、いつもよりゆっくり、優しい声でそういった。それが、なんとなく不安そうで。あおに相談してくれてるのはわかるのに、あおはなにもわからなかった。
「あおは、今が好きだから。 あおは、今が楽しければなんでも良いよ。あまねくんが、あおと遊んでくれて、ときには悩みを話し合ったり、たくさんおしゃべりしたり。この間みたいに手紙を書いてもいいし、あおの大好きなトランプをやってもいいよ! だからさ、あまねくんも今を楽しもうよ。あおと一緒にたくさん笑って、たくさん、、、泣いたりしよう?それは、嬉し泣きでも、悲しくて泣いても。たくさん、、、いろんなことしようよ。」
こんなこと言ったの、初めてだった。
でも、あまねくんに一歩進んでほしくて、そんなことを言った。
泣きながら、笑いながら、少しずつ進めるように。
それはもちろん、あおとあまねくん、二人で一緒に。
あまねくんは、笑った。
あおらしくないって。
でも、良いんだ。
あまねくんがそれでいいなら。
太陽の光は、いつも暖かくあおたちを見守ってくれるから。