プロローグ@ao
「あお!今日は何して遊ぶ?」
大きな声で呼びかけてきたのは、仲の良い、あまねくんだった。
「あおはね、カードゲームで遊びたい!!」
あおがそう言ったら、あまねくんは笑顔で頷いてくれた。
あおと一番仲が良くて、だーいすきな友達だ。
「でも、その前にさ、未来の自分の手紙を書かない?」
あまねくんが、そう聞いてきた。
「突然どうしたの?」
突然でびっくりしてそう聞き返したら、あまねくんは
「未来の自分、気になるでしょ?」
といたずらっぽく笑った。
だからあおは、未来のあおに手紙を書くことになった。
『未来のあおへ
未来のあおは、元気ですか。
今、あおは楽しいです。
あまねくんと、今お手紙を書いてます。
未来のあおは、なんで今この手紙を読もうと思ったんですか。
未来のあおは、しあわせですか。
あまねくんとは、まだ仲が良いですか。
しつもんばっかりでごめんなさい。
10歳のあおより』
こんな感じで、書いた。
未来の自分なんかよくわかんないけど。
あまねくんがすごく楽しそうに鉛筆を走らせてたから、まぁいいのかな。
「よしっ!書けた!」
あまねくんが勢いよくそう言ってのびをした。
「あお、なんのカードゲームする?」
あまねくんがニコっと笑ってそう聞いてくれる。
「んーと、まずはトランプがいい!」
「おーけー。あおはトランプが好きだよねぇ。」
あまねくんがトランプを混ぜ始める。
あまねくんは、基本笑顔だ。
あおといるときは、よっぽど。
あまねくんとたっくさんトランプをしたあと、ボードゲームも少しして、家に帰ってきたときにはもう夕方だった。
部屋はしぃんとしてて、夕日が差し込んで壁はオレンジになっている。
「あおのだいじなもの」と書かれた箱は、鍵付きの引き出しに入ってる。
そこに、今日の手紙を入れた。
水色の封筒には、
未来のあおへとペンで書いてある。
「未来のあお、読んでくれると良いな。」
そう呟いて、あおは部屋の外を見た。
吸い込まれそうな大きな空には、絵の具を塗ったような夕焼けが広がっていた。