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プロローグ@Sorano***
変わっていく自分が怖い。
そう思い始めたのはいつ頃からだろう。
「僕は、なにが楽しかったんだっけ。」
一人、呟いた言葉は、ただ、青くて広い空へ消えていく。
仲が良かった友達は、中学生になった途端、話さなくなった。一緒に遊ばなくなったし、一緒に居なくなった。
クラス替えをしたからかもしれないけれど、本当に、突然。
仲が良かった友達は、僕とは全く違う性格の男の子と話して楽しそうに笑う。ああいう子が、良かったのかな。
楽しそうに笑う彼を見て、自分と闘う僕の手を見る。
結局、変わってしまうんだ。人も、環境も。周りからどんどん変わっていって、いずれ、自分が変わっていってしまう。
いや、ちょっとずつ変わっていっているのかもしれない。
変わっていってしまうのが怖い。
でも、いつも「大丈夫」って言ってくれた友達は、もういない。
だから僕は笑う。
大丈夫じゃない自分を隠して。
明るくて優しい太陽が、だんだんと、雲に隠されていくのを、僕はただ見つめていた。