表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命銘の希鍵戦記  作者: 鹿々犬
「命銘を刻まれし者」
2/4

2話

「……うわ、マジで転生したっぽいな、これ」


気が付くと柔らかな草の上に寝転んでいた。空は青く、鳥の声がする。見渡す限り、森と丘が広がっている。


右手に何かの札が握られていた。カードのような、板のような、そこには『スキルカード』と書かれていた。


スキルカード:タクト


【筋力】C

【敏捷】C

【知力】C

【魔力】C

【精神】C


命銘:『情けは人の為ならず』

効果

「他者に与えた良い効果が自分にも適用される」


裏銘:『報恩』

効果

「行った善行の分を他者から取り立てることができる」


所持スキル:筋力強化【200秒】

効果

「任意の対象の筋力を強化する」


(前世では拓道でタクトだっだが、これがこの世界での俺の名前か。そして能力は全てCか……ま、平均ってところか?一応銘にあったスキルっていうのもあるのか。それに裏銘の文字だけ赤いのが気になるが)


起きようとしたその時、もう一つ、ポーチの中に薄い冊子のようなものが入っているのに気づく。


(なんだこれ……“マニュアル”?)


冊子の表紙には、こう書かれていた。

 

 「命銘世界マニュアル」


【目次】


1:命銘とは何か

2:スキルとスキルブック

3:裏銘とその運用

4:希鍵について



(ご丁寧にどうも…)


取り敢えずページを読み進める。


【1:命銘とは何か】

命銘とは、君の生き様に与えられた“意味”であり、この世界における君の本質的な力である。

銘はスキルや属性に影響を及ぼし、唯一無二の能力をもたらす。


【2:スキルとスキルブック】

スキルはレベル上昇または、この世界の各地に存在する「スキルブック」に触れることで習得できる。

スキルブックに触れると、内容に応じたスキルがスキルカードに自動的に刻まれる。

スキルには階級があり、使用には魔力や精神などのパラメータが影響する。


【3:裏銘とその発現】 ※裏銘保持者のみ記載、閲覧可

裏銘とは、命銘に込められた意味に反発・懐疑・矛盾を抱いた者のみに発現する。

裏銘は、命銘と対を成す存在であり、通常の命銘者には存在自体が知られていない。


【4:希鍵について】

この世界には、“どんな願いも叶える”という希鍵が存在する。

命銘保持者の最終目的は、この希鍵を手に入れること。

願いなき者も、いずれ必ず希鍵を求めることになるだろう。


あれこれ書かれちゃいるが要するに”希鍵”とやらを手に入れろってことか。あいにく特別叶えたい願いなんて思い浮かばない。前の世界に戻りたいとも思わないし、まあ、無いなら無いで、


「ただ漠然と生きてみるのも悪くないか」


一度死を経験したからこその達観かもしれないが、そう思った。


――と、その時だった。


木々の向こう、森の方から微かに人の叫び声が届いた。


(……誰かいる?)


マニュアルとスキルカードを仕舞い、立ち上がる。


「早速善行を積んでみるか」


森の奥へ、風が揺れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ