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命銘の希鍵戦記  作者: 鹿々犬
「命銘を刻まれし者」
1/4

1話

目を開けると、そこは真っ白な空間だった。


地面も空もない。自分の身体すら曖昧で、まるで夢の中のような感覚だった。


「目覚めたか」


声が降ってくる。目の前に現れたのは、人とも神ともつかない、存在。


「君の魂は、死を迎えた。けれど、その最期の行動が選ばせた。――第二の生を、与えよう」


(……死んだのか、俺)


そうか。そうだった。あの時、咄嗟に体が動いて、誰かを助けようとした。そのせいで、俺は――


「君の生き様に、ふさわしい『銘』を授ける」


神のような存在がそう言った瞬間、頭の中に一つの言葉が刻まれる。


『情けは人の為ならず』


(……は?)


「人に施した善意は、巡り巡って自分に返ってくる。君の行動にふさわしい銘だ」


(……皮肉、だな)


思わず笑ってしまった。


(巡り巡って自分に返ってくるだって?でも俺は、他人を助けようとして死んだんだぜ?とんだ仕返しが返ってきたもんだ。それもまあ、自業自得だが )


神は一瞬だけ、目を細め、口元を緩めた。


「嘲笑するか――まれに、そう感じる者がいる。“銘”に対して心から皮肉を吐く者。己の行動を肯定しながらも、与えられた意味に抗う者」


「君のような者には、二つ目の能力も与えよう」


(能力?)


空気が震える。胸の奥が熱くなり、一つの言葉が刻まれる感覚。そして視界に文字が浮かび上がった。


命銘完了『情けは人の為ならず』


効果

「他者に与えた良い効果が自分にも適用される」


そして


「与えた善意の分、奪う力を持て。“裏銘”アヴェンジスキル――君に与えられる第二の力だ。名を報恩と呼ぼう」


裏銘『報恩』

「行った善行の分を他者から取り立てることができる」


(与えて、奪う……)


「君の目的は、この世界に存在するどんな願いも叶える希鍵を手に入れることだ。他の命銘者と競い合え。『銘』を手にした者は、必ず希鍵を目指す。――与え、奪い、進め。己の“生”の意味を、探しながら」


そして、世界が――開いた。



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