22,優しいキス。
ダーフォン。オーランド邸門前。
マオー以下4名とレイチェル、そしてレルゲンがいた。
「本当にお世話になりました。また何かありましたらその時はよろしくお願いいたします」
レルゲンが深く頭を下げた。
「いや、予想外に稼がせてもらったのでこちらこそでしたよ。お嬢様、まあ色々ありましたけど
それなりに楽しめました。今後ともチーム『雨四光』をごひいきに」
マオーがおどけるように執事の礼のような動作をした。
「ふ、ふん!…まあ?…次なにかあったら…またたのむかもね」
まんざらでもなさそうにぷいと顔をそむけながらいうレイチェル。
それじゃあとマオー以下四人がその場を離れようとすると
「ちょっと待って!」
とレイチェルが引き留める。
4人が止まる。
「…最後にちょっとだけ、マオーと二人で話がしたいの…駄目?」
レイチェルが若干赤らめながらそういうと、レニがなんで…といいかけたところをマオーが静止する。
「ちょっとだけだからいいだろ?じゃあ、行きましょうかお嬢様」
後ろでレニが騒いでいたが無視するマオーだった。
オーランド邸、庭園。
環境整備用用道具が保管されている小屋の裏で、まおーとレイチェルが二人でいた。
「さて、話とはなんですか?」
言いながら肩をすくめるマオー。
「別に敬語使わなくていいわよ。…あと名前で呼んで」
と、不満そうにするレイチェル。
「じゃあ、遠慮なく。君も見ていただろうけど、あんまり長く話しているとレニとローニャがうるさいからできれば手短にしてほしいんだけど」
と、ここでレイチェルが何か気づいたかのように、マオーとは違う方を注目した。
「あ!マオーあそこを見て!」
レイチェルがそう指をさす。さして興味もないマオーだったが首をそこに向けた。
そこにはなにもなかった。
なんだよ、何もないじゃんかと首を戻すと
「…!」
レイチェルが抱き着き、マオーにキスした。
マオーとは違う、優しいキス。すぐに唇は離れ、レイチェルが満面の笑みをみせる。
「やった!ちょっとだけだけどおどろいたでしょ!?絶対やり返してやろうと思ってたのよ!」
無邪気に笑うレイチェル。実に愉快そうだ。
「…驚いたのは認めるから、早くはなれようか。こんなとこ見られたらお互いまずいだろ」
…あ、ごめんなさいと今更気まずそうにマオーから離れるレイチェル。
「それで。話ってのはこのことかい?」
マオーがそう問うと、レイチェルはそれもあるけどと続ける。
「マオーって好きな人とかいるの?…ていうか恋人がすでにいたりする?」
気まずそうに頬を赤らめながらいうレイチェル。わざわざそんなことを聞くために
引き留めたのかと心の中でため息をしたが
「恋人はいないな。好きな人は…まあいるな」
と素直に答えるマオー。
「はあ…やっぱ好きな人くらいいるわよね…ちなみにあのふたりのどっちかだったりする?」
あの二人。ローニャとレニのことだろう。そう思ったマオーは違うと否定する。
「違うの?差し支えなければどんな人か教えてほしいのだけど」
なんでそんなこと言わなきゃならないんだと思ったが、このあと孤児院へ帰れるとウキウキしていた
マオーはま、答えてやるかと口を開く。
「アホほど強くて、アホほど美人で、アホほど仲間想いで、アホほど男に対して一途なやつだ」
マオーは思い出す、ケタケタとよく笑うあの女を。
「…その人はマオーの気持ちはしっているの?」
なぜか不安そうに聞くレイチェルだった。
「知っているけど中々振り向いてくれなくてね…まあ、じっくりやるさ」
おどけながらマオーがそう答えると
「…じゃあ、その人が結局振り向いてくれなかったら」
「私にもチャンスはあるかな?」
「……あるかもな」
マオーは話が終わったと思いレイチェルに背を向けた。
今度は引き留めないレイチェル。
「………嘘つき」
離れていくマオーの背中を見つめながらそうつぶやくレイチェル。
レイチェルはわかっていたのだ。
マオーが自分にはなんの興味もないと思っていたことに。




