13,終末への序曲。
冒険者としてのマオーが活動する街、ダーフォンにあるギルド。
冒険者ギルドの受付嬢は、専属である場合が多いがギルドによってはウェイトレス兼任もある。
その場合交代制で受付嬢を多く雇っているギルドの場合が多い。ダーフォンのギルドは後者で
ある。兼任なのは理由があり、冒険者ギルドの受付嬢はギルド正社員なのだが狭き門なのだ。
そもそもギルド自体が超巨大な企業のようなものであり、必然教養や容姿が求められるようになる。
いわゆる高学歴の女性が正規採用される場合がほとんどなのだが、この時代の学院を通えるのは
富裕層で一般庶民がいけるようなところではないのだ。
そんなエリートともいえる本社採用試験で合格した受付嬢がダーフォンのギルドにも
出向されてくるのだが。
容姿も端麗で学もあり、家柄も良好である場合が多いギルド受付嬢だが致命的なけってんがあった。
寿退社が多い。
まあ、上記の理由がそのままの理由で、そりゃあもてるだろと。それに政略結婚や貴族との縁談も
多いので、新人できてようやく仕事を覚えたところで退職するということも少なくなかった。
ダーフォンのギルド長はそのことを辟易としており、正直エリートじゃなくていいから
長く仕事を続けてくれる人がよかった。
冒険者ギルド、ダーフォン支部。ギルド長ルイーダ。
ドワーフ族特有の小柄な矮躯で、椅子にちょこんとすわってため息をしていた。
受付嬢がまたやめるからだ。
そんなとき、ギルド長は併設された食堂兼酒場スペースでせっせと働く青髪のウェイトレス
が目に入った。いつも笑顔で一生懸命、性格もよく冒険者からも人気がある。
思わず声をかけてしまう。
「なあ、メル」
「あーギルド長、さぼりですかー?」
「ちがうわ!いきなりだけどメルってギルド受付嬢をやれって言われたらどうする?」
「?私でいいなら頑張りますけど?」
このやりとりで心を奪われたルイーダは、さっそくギルド本部に連絡しメルを特例で
受付嬢に採用するように打診した。当然猛反発を食らったが本部にはルイーダと懇意
にしている上層部がいたのでそれでごり押しした。
結局折衷案として、準受付嬢という形にしてウェイトレスとの兼務が条件とされ
受付嬢としての仕事もいくつか制限がつくようになった。
給料も正規受付嬢より大分目減りすることになったが、メルにそのことを話して新しい
給与の額を提示したらめんたまが飛び出るように驚き
「こんなもらっていいんですか!?受付嬢ってすごいんですねー」
と、今までの安月給を嘆くこともなく喜んで引き受けてくれた。
それからというもの。
ギルドは準受付嬢がどんどん増えていった。まずウェイトレスで働いてもらって
その仕事ぶりをみてから受付嬢にさそう。とても効率が良いほうほうだった。
準受付嬢とはいえど、女性が普通に働くより破格の給料が貰えるのでみんな
よくはたらいてくれている。
そのかわりに本部からの正規受付嬢が出向しなくなったが、それはしかたない。
専属で配属される中で兼任でがんばれられたらいずらくなるのは必然だ。
ルイーダ的には正規とか準とか関係なく長くよく働いてくれればそれでよいのだ。
あとは正規受付嬢と同じ待遇に近づけるようにルイーダが努力することだ。
以上の事情があり、この日はメルが依頼受付をしていた。メイド服のような
ウェイトレス姿ではなく、ギルドの制服を着ている。
ギルドの受付は朝一が一番混む。基本的に条件がなければ早い者勝ちだからだ。
金額が高いものや、楽そうな依頼はどんどん取られていく。掲示板に貼られた依頼はあっという間に
なくなり、その後は落ち着く。その後は依頼にあぶれた冒険者がギルドでだべりながら急な依頼が
まいこむのを待つのが主流だった。
そんな比較的暇な午後。メルは受付をしながら事務作業をしていると、見慣れぬ冒険者が入ってきた。
漆黒のローブととんがり帽子、小柄で体の脇に本がふよふよ浮いている。帽子を目深にかぶっていて
表情が見えない。その魔導士っぽい服装の冒険者がつかつかと早歩きでメルのいる受付カウンターに
近づいてくる。
「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
高い声のせいで女性と判明した。そんなに目深にかぶって見えてるのかなとどうでもいいことをかんがえながら
「はい!依頼でしたらあそこの掲示板にありますよ」
と、メルは答える。
「別に依頼を受けに来たわけじゃないわ。ここのギルドに銀髪で、ショートソード二本装備している冒険者って出入りしている?」
魔導士の言葉に謎にテンションがあがるメル。
「ああ!それマオーさんですよ!ここのギルドで活動してます」
ふーん、マオーっていうのねと、メルと打って変わって不機嫌そうな反応を見せる魔導士。
「そいつの詳しい話が聞きたいわ。奥に案内して頂戴。ほらさっさとする」
当然かのように客室に案内することを要求する魔導士。
「あの、申し上げにくいんですがそういうことは事前にアポ…」
そう言いかけたメルに門番と同じように腕輪をみせる魔導士。周りに騒がれても面倒なので
メルにしか見えないようにした。
これでもう語ることはないでしょと改めて案内するように首で促すが、メルはよくわかってないかんじで
なんですかそれと聞いてしまった。
魔導士はここで初めて目深にかぶったつばを人差し指であげ、怪訝な表情をみせた。
「あんた私の事しらないの?新人研修でたしか見てるはずだけど」
?マークが浮かべて困ってるメルに助け船が入った。
「エレノア、久しぶりだな。メル、受付はほかのやつにまかせてこいつを客間に案内しな、あとお茶の用意もだ」
ルイーダだった。ギルド長の友人だったのかと慌てて謝り客室へ案内しようとするメル。
「ルイーダ。教育がなっていないわね。そもそも階級を示す腕輪もしらないとかギルド受付嬢としての自覚はあるのかしら」
「連絡もせず、いきなり乗り込んでくるお前が悪い。一応ねぎらってやるからさっさといきな」
はいはいと、ため息をつきながらメルのあとをついていく魔導士エレノアだった。
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「すいませんでした!!?まさかその腕輪が智天級の証だとは知らなくて!」
ギルド客室。
接待時に使う事が多い部屋なので比較的高級な家具がそろえられている。
そこにエレノア、メル、ルイーダの三人。
テーブルに差し向かいで座るエレノアとルイーダ。ルイーダの脇に立つメル。ようやくエレノアが
智天級の冒険者であることがわかり、何度も頭を下げるメル。それを鬱陶しそうにもういいわよと
やめるよう促すエレノア。
「ただ一応、あとでルイーダに証の種類くらいは聞いといたほうがいいわね。準受付とはいえギルドの顔なのは間違いないのだから、それぐらいは知っておかないと」
ありがとうございますと応えるメルにルイーダは謝ることはないよと再び否定するルイーダ。
「さっきも言ったけど連絡もせずいきなり来るお前が悪い。こっちにはこっちの事情があるんだ。確かにお前は智天級だ。だがこの子はこの子で頑張っている。お前にどうこう言われる筋合いはないよ、それに忙しい中こうして相手してやってんだからむしろ感謝してほしいね」
「へー、君が相変わらずで嬉しいよルイーダ。そろそろぼけてくるかなーと思ってたけどその様子じゃまだまだ大丈夫みたいね。わかったわ。この件は私が悪かったとして、本題と行きましょうか」
メルは驚いていた。智天級の冒険者に全く遠慮のないものいい。立場的には支部の一介のギルド長より
智天級の冒険者のほうが圧倒的に上だ。感じからして旧知なのだろうがそれは別としてエレノアがルイーダを認めているのが伝わってくる。
元々ギルド長としてルイーダを尊敬はしていたが、智天級にも一目置かれる存在だったとは。エレノアも
横柄な態度をとることなくあっさり身を引くあたり、器量があるようにおもわれた。
「銀髪の…マオーっていったっけ?そいつの登録情報見せてよ」
いいながらエレノアはとんがり帽子を机に置いた。さらっと奇麗なうすい紫の髪が流れる。
ルイーダは一瞬怪訝そうな表情は見せたが、メルに書類をもっていくように手で促す。
本来であれば個人情報であるギルド登録情報を本人または所属ギルド長の許可なく見せることはできないが智天級以上なら例外となる。これは智天級は座天級以下の冒険者を供回りや露払いとして雇う場合が往々にしてあるからである。これは座天以下の冒険者にもメリットがあり、智天級に雇われたというだけでも箔が付く場合も多く、単純に依頼料も高い場合が多い。それゆえ雇う側である智天級もあらかじめ吟味できるようにする双方にとって得のあるギルド側の配慮だった。
「ふーん、座天級…ね。クラスは魔法剣士かー。自身と武器強化系の下位魔法を使用できる…と。
討伐したモンスターはオーガにサイクロプスとかか…まあ座天なら地味なほうね」
マオーの登録情報が書かれた洋紙をつまんで上に眺めるように読むエレノア。期待外れといった感じの
つまらない表情をみせる。その後、はあーとため息をつき
「メルって言ったっけ?このマオーってどんな奴?」
メルは自分が質問されると思ってもいなかったのでひゃい!?とあわてて返事をする。
「そんなに緊張しなくても別にとって食いやしないわよ。こいつが普段どんなかんじなのか評判とか
この紙切れにない情報を忌憚なく聞かせて」
つまんでいた紙を離すエレノア、ひらひらと紙がテーブルに落ちる。
「あーそれでしたらギルド長に聞いたほうがいいと…」
言いかけたとこで制止される。
「私はあなたに聞いてるの。あなたこのマオーってのに惚れてるんでしょ?」
エレノアの予想だにしない言葉に一気に顔が赤くなるメル。
「ちちちち違いますよ!!!何言ってるんですか!?」
全力で否定するメルにやれやれといった表情で脇でため息をつくルイーダ。
「最初にこいつのこと聞いたときのあなたの反応を見ればわかるわよ。まあでもどっちでもいいわ。
ともかく私があなたに抱いた感想がそれってこと。それが正しければこいつはそれだけ魅力があるって
ことじゃない?それをおしえてよ」
うう…と唸るメルにルイーダがフォローする。
「メル。言い方はあれだがこいつはお前は見る目があるっていってんのさ。話してやんな」
ルイーダの優しい言葉に少し冷静になっためるは口を開きだす。
「…えーと、一言でいえば不思議な人です。ここは座天級の方がそれなりにいますけど、なーんか同じ座天級でも一線を画すというか、余裕がある感じで」
メルの言葉にほうほうと頷くエレノア。
「かといって達観しているわけでもなく、仲間の人たちや私にもおふざけな態度をとることもあって
不思議とあの人の周りには人が集まってきます。依頼に関しては現実的かつ堅実にこなすのがモットー
らしく危険度の高い依頼はあまり受けませんね。個人的にはもっと高難度の依頼をこなせるとは
思っているんですけど、逆に言えば自分と仲間の力量を正確に把握しているゆえかもしれません」
と、ここでルイーダの顔が少しピクリとしたことを見逃さなかった。
「ルイーダ。この件に関して隠し事はだめよ?まあわかっているんでしょうけど」
ルイーダは目を閉じ、ふうと一息ついた。まだエレノアがマオーのことを探っている理由を聞いていない。
だが理由を聞かずにここまで素直に応じているのは、智天級であるのはもちろんのことエレノアの中で
確信めいた何かを感じ取ったからである。
懐から煙草を出し、火をつけた。エレノアに進めるがいらないわよと返される。
「なんだい。遠慮することないのに。…ああ、別に隠してるわけじゃないし口止めもされてないんだが。
メルが今言ったように私もマオー殿は座天級止まりがもったいないとかんじていてだな…そろそろ昇級に向けて色々手回ししようかと彼にいったら『ああ、僕は座天で十分なので。その心遣いだけで十分です』とはっきり断れたよ。まあ、この手の出世欲がないのはいるっちゃいるんだが、主天以上の冒険者って少なからず野心というかそういうものがあるから昇級できる実力が付くものだからな…。私が感じるマオー殿の不思議というか違和感はそれぐらいかね?とはいえ、依頼はそつなくこなしてくれるから、深堀するつもりがないって話さ」
一介のギルド長のルイーダにとっては着実に実績を重ねるマオーはぜひ昇級してもらいたいし、その手助けほ怠らないつもりだ。だが本人が必要ないという以上、これ以上は余計なお世話だろうしなにもいう事はなかった。
つまるところ人それぞれというところではあるが、改めて考えなおすと確かに疑問ではある。
「ふむふむ…。繋がってきたわねえ…、メル。あなたは他に何かないの?別になんでもいいのよ」
メルはここで少し戸惑う。なにが繋がってきたのだろうか?このエレノアという魔女はマオーを最終的に
どうするつもりなのだろう。その様子を察したのか
「どっちでも同じことよ」
といい、続ける。
「あなたがここでなにを隠そうと、結局私は答えにたどり着く。ルイーダもそれをわかっているから
何も聞かず答えてくれるのよ。それに安心なさいな。そのマオーってやつが、あなたの想う人通りだと
わかれば…特に私は何もしない」
ここまでくるとメルにも理解できる。このエレノアという魔女はマオーがただの冒険者じゃないと
疑っている。疑った経緯は不明だが、マオーとなにか絡みがあったのだろうか。
だが、それは。疑いが晴れればなにもしないということであれば、隠す理由もない。下手に隠せば
逆に疑われかねない。今日会ったばかりの人を信用するのはどうかと思えるが、智天級でありギルド長
が認めているのであれば問題ないであろう。
「と言ってもですね…あとはそうですね…、変わったところ…、あとは他の冒険者さんとは違うところは
定期的にいなくなるところですかね?」
メルの言葉にぴくりとし、目が鋭くなったエレノアが詳しく聞かせて頂戴。と身を乗り出した。
メル的にここまで食いつくとは思っていなかったので動揺しながらもこたえる。
「ええと!?なんかひとしきり稼いだら行方くらましちゃうんですよ。大体三か月ここに滞在したら
三か月いなくなるって感じで」
「紙に書いてあったけどマオーってパーティーの頭なんでしょ?そいつの仲間なら行方を知ってるの?」
ルイーダがそれに関しては私が答えるよ。と、新たなタバコに火をつけた。
「彼の仲間も行方は知らないと言っていたね。まあ、口止めされてるって可能性もあるだろうけど。
多分本当に知らないと私は思うかな。マオー殿が不在で用があった時にそれを聞いたらすごい不機嫌
そうに『そんなんあたしらが知りたいぐらいだわ!』って切れられたしな」
そういい、煙をふかす。
「仲間にすら言わないで行方をくらますか…恐らくはそこがカギ…」
エレノアは得心したようにふむと頷いた。
「ありがとうね。大体わかったからあとは自分で調べるわ」
そういってもう話すことはないと言わんばかりに、席を立とうとするエレノアをみておいおいと引き留めるルイーダ。
「流石にどうしてマオー殿の事を探っているのかくらいおしえてくれてもいいだろう?話せる範囲でかまわんから」
やれやれとタバコを消す。理由があって訳を言ってないのかも知れないが、それでもこれはやや理不尽である。
「聞かないほうがいいと思うから話さなかったんだけど…まあこれだけ言っておくわ。『ここであったことは忘れてマオーってやつとは普段通りすごすことね』。あなたならこの説明で大体理解できるでしょ?それにあなたたちはそいつのことを信用してるっぽいし、それならしってもしらなくても問題ない」
聞かないほうがいい。それはエレノアが街であったことを話せばマオーに今度会った際、違和感が生じてしまうかもしれないからだ。
マオーのことを信じていると言ってもどうしても表情や態度に出てしまうものだ。
そこを感ずかれれば二人に危険が及ぶかもしれない。エレノアはマオーを人外だと疑っているから。
ルイーダもそこは理解していたようで
「だとさ。メル、お互いこのことは忘れよう。なに、マオー殿となにがあったが知らないがエレノアの
調査は徒労に終わる」
メルはそもそもエレノアが何を言おうがマオーのことを疑う気がなかったものの、ルイーダもそういってくれると正直ほっとした。
「そうね。私もそれを願っているわ。取り越し苦労ならそれはそれで十全と言える。平和が一番よ」
とんがり帽子を深くかぶり席を立つ。
「冒険者でありながらお前さんのそういう考え方は好きなんだけどな…出口まで送ろう。今日はここに宿泊すんだろ?久しぶりに今夜酒でもどうだ?」
ルイーダも席をたちメルがドアを開け、お辞儀をする。
「お、いいわね。『さざ波亭』ってまだやってる?あそこ静かで好きなのよね」
「やってるよ。あそこは老舗で太客がおおいからそう簡単につぶれんさね」
客室から離れ、ギルドの受付までくると
「あー!!!腹立つわー!!!!」
とギルド入口をバタンと荒々しく開け、三人組が入場した。
「あ゛~?見せもんじゃねーわよ」
ルイーダ、メル、エレノア他、他の冒険者も3人に注目していた。こんな入場をしたら注目されるのは
当然だが理不尽に注目してるほうを睨みつける。
荒々しく睨みつけてきたのはエルフで斥候の装備をしている。美少女といえる見た目にはんして
態度はすごい荒い。
「もー、レニさーん。まるで輩みたいで恥ずかしいからやーめてくださーい」
レニの隣にいる間延びしたしゃべりをする美女。踊り子のような恰好をしている。ナイスボディ。
「まあ、気持ちはわかるわ。あいつ『通信』つかって連絡してまでぶっちしたんだからな」
もう一人。大柄の男で重鎧を着ている。グレートアックスを背負っている。
「ザインの言う通りよ!ローニャ!あんたむかつかないの!あいつ普段『くだらないことで通信カード使ったらぶんなぐるからな』とか言ってたくせに!」
怒りが収まらないレニにまーあまーあとなだめるローニャ。お酒でも飲んで落ち着きましょと
ギルド酒場のほうに促す。
ここでメルは不思議に思いルイーダとエレノアに一礼してから二人から離れて三人組に近づいた。
「どうかしたんですか?レニさん」
メルがそういうと、少し落ち着いたのか深呼吸してその後ため息をしてから目を閉じ理由を話し出すレニ。
仲間内ならともかくギルド受付嬢にそういう態度のまま話すのはあんまりだと悟ったのだろう。
「どうもこうもよ。今日はギルドで次の依頼について話す予定だったのに、マオーのやつ今日は
やっぱなしだってさ」
メルはここまでならそこまであれるようなことでもないのにと不思議そうな顔をした。
それを察してかレニは続ける。
「その理由がくだらなすぎてむかついてんのよ!『街で黒ずくめの縁起のわりー女にであったから気分悪い。だから今日はキャンセルな』だって!しかも緊急連絡用のマジックカードつかってまでよ?あたしたちがそんなことをしたら滅茶苦茶怒るのに!」
メルは苦笑いしながらそうですね…と答える。エレノアは3人がマオーのパーティーであることは知らなかったが、あまりの大声でレニがマオーと言っていたので既に察しているだろう。
黒ずくめの女。
メルは後方で遠巻きに立っているエレノアを思い出した。
ルイーダも隣にいる魔女を連想した。
絶対にエレノアの事だ。なぜなら気のせいかもしれないが彼女から負のオーラが感じられたから。
「ねえ。ルイーダ。マオーって奴は本当に君の信頼に足るやつなの?」
エレノアの表情を見るのが怖かったので横を見ず答えるルイーダ。
「いや、まあ…人間駄目なところもあったほうが魅力的なもんだろ」
適当なこたえだった。




