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第22話 襲撃

「うわぁ♪結構広いね♪ちゃんとしたお風呂、この姿で入るの初めてだなぁ!ちょっと緊張するかも!」


「うん?ああ!そっか!リンちゃんは竜だもんな!なんか、そのカッコが見慣れちゃって来てて、忘れちゃうよ。お風呂、好き?そいや普段はルイと入っていたのか?」


「うん。大好き!ホントは、竜はお風呂何て必要ないんだけど、身体洗ってもらうの気持ちよくってさ!温かいとか、冷たいとかはあんまり感じないんだけどさ。

 そう!あのね、ルイってさ、物凄く泡プクプクにして洗うんだよ!頭洗ってるとき、眼を開けてらんないしさ。おこちゃまだよね!」


「うふふ♪リンちゃんはルイがとっても好きなんだね!」


「うん!!・・・えっ?あっ!違って・・・好きって、そういうのじゃなくって、あっ!ほら!ずっと一緒に居るじゃん?だから、世話の懸かるオッサンだなぁ~って。そう、ほら、ボク竜だし、ヒトが好きとかないじゃん?ね?そうそう、うん、そう」


そう言いながら、真っ赤になっているのを感じる頬と耳を隠すように上着を脱いだ。下着は「窮屈だから」と着けていない。脱いだ上着をそのまま岩に引っ掛け、スパッツに手を掛け片足ずつ脱いでいく。それもやはりそのまま引っ掛けた。


「うん?リンちゃん、脱いだお洋服は、ちゃんと畳むもんだぞ?キチンとすることは大事なんだ。それから、ルイと一緒に入るときは、キミが畳んでやるんだぞ?どうせルイも畳まないんだろ?うん!デキる女にレベルアップだな!フフッ。

・・・うん??竜じゃ無理か!ごめん!」


セリセリは脱いだマントをきれいに畳み、ボディースーツの首元を前と後ろで掴むと「バリバリッ」と裂くようにして脱いだ。


「えっ?破っちゃうの??その服!使い捨てなの?」


「ああ、これ?これさ、両側に少し薄いとこがあってさ、ソコから裂けるんだよ。うん。で、着るときは合わせて薄いところを押さえてると、素材自体がくっ付くんだ!すごいだろ?

 ヒドラの首の皮なんだけど、まだ、活きてるんだよね~!身に着けた奴を絞め殺そうとしてくんだけど、私の方が強いからさ、ピッタリくっ付くだけ。これがイイ感じになるんだよね!うん♪」


脱いだ片側の一枚はマントの下に敷き、もう一枚は重ならない様にして置いた。下着の上は身に付けてはいないが、ほぼ只の紐にしか見えないパンツの、リボン結びにしてある部分をほどいて脱ぐとスーツの上に置いた。


「・・・ねぇ・・セッちゃん。それ、履くイミって、あるの?柔らかそうだけど・・・ヒモじゃん」


「ヒモ?・・・あぁ、これ?うん、イミはあるぞ?履いた時にお尻がキュッとして”さぁ!殺るぞ!!”って気分になるんだ。う~ん・・儀式、みたいなもんかな?

 羽衣トンボの尻なんだけど、やーらかいぞ?冷たくて、スベスベだし♪トンボの色で色違いが出来るんだ。私のは、ちょっとレアな薄いピンク♪

 リンちゃんも、いる?作ってあげよっか?」


「トンボの・・・ボ、ボクは、いいかな?ずっとこの姿でいられる訳じゃ無いし、それに戦うときは竜の姿に戻るしね。・・・この間さ、このまま何かできないかなぁ~って、色々やってみたんだけどさ、

 出来たのって、焔を噴くことだけだったんだよね~。それじゃ、ルイの足手まといになっちゃうもん。一応ボク達、竜飼いだしさ」



 風呂場で「リンちゃん、髪綺麗だね~」とか「セッちゃん、オッパイすっごいね!」とかのお決まりトークがなされているころ、ルイは旅館のテーブルの上に置かれた、二枚の呪符に悩まされていた。


「・・・参った。アイツらに風呂上がりのミルクと饅頭を買って来てやろうと思ったが、どっちが外に出る呪符だったっけかな。赤か黒か・・・。誰かが風呂入ってると結界貼られます。外へは呪符でしか出られません、って・・・便利なんだか不便なんだか・・・。風呂場行か、外か・・・え~~!どっちだぁ??くっそメンドクセェな!!出てくんの待ってんのもかったりーしよ!

よし!目覚めろ!オレの第六感!赤だ!お前に決めた!!」


赤いほうの呪符を丸めて結界に向けて投げつけた。


「いえ~い!お外、ゲットだ・・・ぜ・・・」


オレは投球フォームのまま、その場に凍り付いた。目と鼻の先で、あぐらをかいた素っ裸のリンが、セリの膝の上に乗せられて髪を洗われていたからだ。


「・・?うん?ルイ?どした?一緒に入るのか?」


「っっっ!!きゃぁぁぁぁっっ!!!」


リンがデッケェ悲鳴を上げ、右ストレートをオレの顎めがけて放った!オレの記憶はソコで途切れた・・・。



「・・・っていう訳なんだが、いや、マジで信じてちょ~よ!!覗こうとしたんじゃねぇって!!そんな事するぐらいなら、堂々とはいっていくっての!!だろ?」


意識の戻ったオレは、とりあえずその場に正座させられていた。


「んナァ・・・じゃあオイラ、丁度入って直ぐと、出て来た時に戻ったんだナァ。戻ってくんとよ、ぶっ倒れてんだもん。オイラ、ついにやったか、と心配しちまったんだナァ!

 ・・・んナァ・・・でも確かにルイなら、堂々かは知らねぇけんど、そんなやり方はしないと思うナァ。やるならもっと姑息にやると思うナァ」


「だろ?前もって岩に化けとく、とかな・・・って、おい!」


「わかったけどさ!ふつーにビックリするじゃん!!それにボクだけならまだしも、セッちゃんも居たんだよ?セッちゃん!裸見られたんだからもっと怒ってもいいと思うよ!!」


「うん?私は別に構わないぞ?村じゃ皆で入っていたしな・・・。

 私としてはそれよりも、オマエを運んでるときに浴衣からチラっと見えたんだが、なんで、股の毛を剃らないんだ?

 私に股間を見せつけた時には確かに剃ってあったのに!若しかしてオマエ、エルドラの神に仕えてないのか??どうなんだ?そっちの方が大事だ!」


「エルドラ?・・・いや、そんなことオレはひとっことも言ってねぇし、そもそもなんも信仰してねえよ。勘違いも甚だしいぜ。毛が無かったのは・・その・・あれだよ。毛ジラミにな、ちょっとやられてて、痒くて仕方ねぇから剃ってたんだよ。

・・・なんだよ、皆してよ!イジメかよ!オレァお前等の為にと思って外に行こうとしたんだぜ?そりゃ、間違ったのは、悪かったとおも・・・」


   「ズドーーン!!」


 さすがにオレもアタマにきて、立ち上がろうとした瞬間、大きな炸裂音と共に地鳴りが襲い掛かって来た。急いで窓を開け音の方角を確かめると、悲鳴に交じり獣の遠吠えが聞こえた。

 

「魔獣の襲撃だ!それもどうやら群れで来てやがるな!くっそ!メンドクセェ~がいっちょ、返り討ちにしてやりますか!行くぜ!リン、セッちゃん、オイデ!!」


「・・・あだ名で呼ぶな。ふん」


コッチもこっちでメンドクセェな!なんなんだよ。まぁ、今はそれどころじゃねぇ。とにかく街の被害を最小限にすることが最優先だ。後手の戦いはあんまし得意じゃねぇがセッちゃ・・セリセリとオイデがかなり強ぇから、SSクラスでもねぇ限り何とかなるだろう。


「ルイ!!」


おぉ!さすがリン、相棒だけのことはある。素早く竜の姿に戻ると、オレの装備一式を投げてよこすのと同時に呪符を何枚か抜き取っていた。何を選んだのかは勘で解る。


「セリセリ!オイデ!傍に来い!!」


「ふん!お前の言う事なんか聞くもんか。な!オイデ」


ヘソ曲げにに付き合ってる時間がもったいねぇ!こっちから近づいて行くのと同時に、リンが呪符を破り効果を発動させていく。思った通り、単体ではなくメンバー範囲系の呪符だ。


「身体能力向上!物理耐性向上!攻撃魔法防御!耐性低下魔法反射!」


オレ達をキラキラとしたエフェクトが包み込む。程よい高揚感とともにステータスが上がて行くのを感じる。敵の魔獣が何者か不明の場合、不意打ちに合うのが一番恐ろしい。効果は薄いが幅広く備えておくのが吉だ。

しかしまぁ、しみったれたことを言うと・・・高くついたなぁ!ギルド勤め給料の平均三か月分が一気に飛んだぜ(泣)せめて、換金可能な魔獣であってくれ!


 外へ出ると、辺りは逃げ惑う者や装備で身を固めた者などでごった返していた。悲鳴が聞こえるたびに背中のアザがズキズキするが、今は戦闘に集中して忘れよう。

 護符の効果で上がった脚力で屋根の上まで飛び上がると、前方十一時の方向に黒い一筋の群れが見えた。


「ヘルハウンド??」


たしかに普段から群れで行動してはいるが、せいぜい5~6匹といったところだ。だがあれはざっと百頭は超えている。こんな群れ、見たこたねぇ!これは何だ?何かに憑りつかれているのか?これじゃあまるで、軍隊アリの大行進だ。


「数が、多いな」


作戦など立てる間もなくそろそろ街中、といったころで奴らの列が崩れた。


「マズイ!!奴ら散りやがった!! このまあじゃぁ手あたり次第襲われちまう!俺達も二手に分かれよう!」


 振り返ると、セリセリはもう飛び出していてそこには居なかった。くっそ、あのガキ!いい加減にしろよ?っと!こっちにも早速襲い掛かて来たか!!

「ギャン!!」「ギャウン!!」オレは左からの襲撃を切り伏せ、リンは右の奴を噛み殺した。ヘルハウンドは一匹に構っていると左右からほかの二匹が襲い掛かって来る。だから先に左右の二匹を片付けるのがセオリーだが、ソロの奴らには結構厄介な相手だ。

 実際、既に殺られているものが出始めていた。アイツらはハラワタしか喰って行かねぇから、まだ意識があり呻いている者がいる。おおぅ。ああはなりたくねぇもんだな。

 ヤケになって突っ込んできた一匹を軽く切り捨て、次の群れ、次の群れと倒していくが全くキリがねぇ!何とか一か所にまとめてぇとこだぜ!!このまま後退しながら街の中央広場まで引っ張っていくか!きっと、周りの奴らも同じことを考えているに違いないからな!

 奴ら魔獣に感づかれない様に、劣勢なフリをしながら広場を目指した。

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