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第27話 再会

「うーん。今日もいい天気」

『貴様は緊張感がない』

起きて第一声からルーベルトに嗜まれるのも慣れたものだ。

「僕は、フローに何をすべきなのかな」

『さあな』

ルーベルトは相変わらず冷たい。

しょんぼりすると続けて声を掛けられた。

『私よりもカサンドラ侯爵令嬢もルーファスもお前に懐いている。フローの件も、私が何かするよりもお前がそのままでいた方がいいのかもしれん』

「それって僕を信じてくれてるってこと?」

『それはない』

冷たくピシャリと言い閉じられてしまった。

『それはそうと、気付かないのか?』

「何を?…て、あ!手枷!自由になってる!!」

久々の自由に嬉しくてベッドからぴょんと飛び跳ねた。

足を待ち構えていたのは自室のふわふわのカーペットではなく冷たい床だったけれど、そんなことは気にしている場合じゃない。

「フロー…」

きっと、昔のことを話してくれたことも分かり合えたからだ。

フローはやっぱりフローだ。

「ふふふ」

嬉しくてにこにこしてしまう。

『だらしない顔だな。これからどうするかも決まっていないというのに』

ルーベルトが溜息を吐くと扉を叩く音が響いた。

このリズム、フローだ!

「どうぞ!」

予想通りフローが朝食を持って入室してきた。

「随分とご機嫌ですね」

パンケーキとオレンジジュース。

優しいフロー。

囚われて数日経って、きっとみんな心配しているはずなのにここだけはいつも通りだ。

「フローは優しいね」

「そうでしょうか?」

手枷がなくなったから自分で食べる。

とても甘い。

「フローはこのパンケーキくらい僕に甘い」

「そんなことはありませんよ。そうそう。エイリッヒ様をお連れしたので後程お会いしてください」

「エイリッヒが!?」

うわぁ!なんだか久し振りだ!

食事は甘くて美味しいし、フローはにこやかに微笑んでいるし、エイリッヒとは会えるし、僕はとても幸せな気持ちだった。


「ルーベルト様。エイリッヒ様とお会い出来る準備が出来ました」

朝食から少し経った頃、ベッドの上でごろごろしているとフローに声を掛けられた。

「本当!?」

「ええ、ご案内します」

ここに連れられてきて初めて室外に出された。

てくてくと廊下を進んでいくと、一室の前でフローが止まった。

「こちらになります」

フローの案内に、僕は満面の笑みで扉を開けたが、それもすぐに凍りついた。

「エイリッヒ!……エイリッヒ?」

『エイリッヒ!!』

ルーベルトも叫んでいる。

エイリッヒは椅子に座らされて縛られて、暴力も受けたようだった。

「フロー、これは?」

背後を向くのが怖い。

それでも向き合わなくちゃ。

「フロー、君は何をしたの?」

「申し訳ありません。あまりに暴れましたので少々手荒くなってしまいました」

「そういうことじゃない!エイリッヒに何をしたんだ!」

「ルーベルト様。以前お伝えしましたよね。もし、私が幼い頃にルーベルト様にお会いしていたら違った人生があったかもしれませんね、と」

「つまりは?」

「遅すぎたということです」

その言葉に続けて、ナイフをサシャ嬢の首元を突き付けた男が奥から現れてきた。

「サシャ嬢!」

「落ち着いてください、ルーベルト様」

「フロー!なんで…」

信じさせてよ、フロー!

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