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重力魔術の試し打ち

前回のあらすじ

変わった本を借りて読んだらスキルが手に入ったりした(なお、使い所が今のところない)。

「おう、いらっしゃい。今日は何をお求め……ちょっとまて。」

「どうした?」

 次の日、配信開始してから武具屋へ寄ったが、店主が盾を見に来た。

「……まじで使っているんだな。結構傷も出来てるし、ちょっと手入れさせてもらっていいか?」

「おう、わかった。」

 どうやら手入れしてくれるようだ。と思ったらすぐ出てきた。


「あれを作った弟子に手入れさせてるよ。それより、あいつ今度はこんなもん作りやがった。」

 そう言ってカウンターに乗せたのは、短めの杖で、ステッキとも言えるものだった。先には結晶がついており、恐らくは触媒的な何かなのだろう。


「これの何が特殊なんだ?ただの短い杖にしか見えないが?」

「魔術の効果範囲を一人に強制するもんなんだよ。

 広範囲攻撃も味方全体のバフも全部一人に集約される。こんなの魔術師はすぐ使わんくなる。」

「作ったときお弟子さんはなんと?」

「『効果を一つに絞れればすごい威力が出るはずです!』だとよ。まあそうかもしれんが、流石になあ……、あんたは戦士だから持って行っても荷物になるだけだろ?」

《あの、そうでもないです》

《魔術もまぁまぁ行けるんだよなこの人………》

《タイミングがあまりにも良すぎるw》

「いや、ちょうど魔術に手を出そうかなと思ってたところだ。」

「え?!いや、でもあんた戦士だろ?」

「もしかして俺の種族知らない?言ってないから流石にわかんないか」

「よ、よくわからんが、持って言ってくれるのか?なら、これを使って魔術を鍛えてくれ」

「ありがとう。大事に使わせてもらう」

<コンセントレイト・ステッキを手に入れた!>

<コンセントレイト・ステッキを装備しました>

「盾の手入れ中に試し打ちしてくるよ」

「了解した。」

 ――――――

 コンセントレイト・ステッキ

 短杖

(要求ステータス:INT 10)

 魔術威力+INT×0.7

 スキル『一極集中』

 魔術の効果範囲が一体に固定されるが、射程や威力が5倍される。

 ――――――










 さて、ファストラクタ近郊の『風吹く平原』でまずはやって見るとしよう。

「我が体の負荷を取り除け、『フロート』」

 途端、鉄の大斧を装備しているにも関わらず、体が軽くなったように思えた。

「おお、結構いいなこれ。疲れない」

《見た目は変わってないな》

《走る速度も変わってない》


「ではジャンプして、おお?!」

 力強くジャンプすると、軽く10メートルは跳んだ。

 あまりの高さに落下ダメージを覚悟した。



「………あるぇ?まだ落下してる」

 したのだが、ゆっくりゆっくり落下していっている。

 どうやら落下ダメージを抑える効果もあるらしい。

 これは結構使えるのかもしれない。

 これだけゆっくりならば、高いところから降りるのに楽できそうだ。


「今度はこっちにしよう。我が体は不動なり、『シンク』!」

 発動すると、全く動かなくなった。足が。全然歩けない。たしかに不動だ、これは。

「ああでも、腕は動かせるのか。大斧も振れる。」

《向きかえられないのはちょっと……》

「いやでも、ほら、向き、変えられるぞ!」

《クルッと回ってて草》

《これ俯瞰で見たらどうなるんだろ》

「ん?

 ……………wwwちょ、これは…………w」

《草》

《草》

《www》

《クルクルクルクル回ってやがる》

《なんだこれはたまげたなぁ………》

《シュールすぎる………wwww》

「これで実質スーパーアーマーなのが余計に面白い………www」







 気を取り直して、今度は『グラビティ』の試し打ちだ。ちょうど良くラッシュボアがいるので、あいつを対象にする。

「敵を止める、重力強化、『グラビティ』」

 するとそのとき、ズシャア!と、ラッシュボアのいるところが沈んだ。経験値とラッシュボアの毛皮を手に入れたが、これは……


「うわ……」

《血溜まりが残ってるの怖》

《潰れたってこと?》

《えげつなくて草》

「ちょっとログ見てみるわ」

<アークスは『グラビティ』を唱えた!

 『一極集中』発動!

 ラッシュボアへの重力が強まる!>

<ラッシュボアは重圧に耐えきれない!

 ラッシュボアの身体は崩壊した……>

「ええ……崩壊したって、えええ………」

《やばい》

《崩壊した

 ほ う か い し た 》

《これ射程はどうなんだろ……》

 鳥が飛んでいるけど、あれモンスターらしいな。

「大ガラス」だって。


「重力強化、『グラビティ』」

 100メートルほど先でドオオォン!!という轟音とともに、地面が沈下した。

「うわ……」

《おんなじ反応で草》

《あそこまで届くのか、やばい》

《これ巻き込まれた人いるんじゃね?》

 ログを確認するが、プレイヤーをキルしたというログはなかった。モンスターは倒してるけど。

「人は巻き込んでないみたい。ただ、ゴブリン5匹とラッシュボア二匹が犠牲になった」

 《人は巻き込んでないな、人は》

 《勢い良かったからね、しょうがないね》

 これは……雑魚的に使えるものではなさそうだ……



「なあ、そこのあんた」

「へ?」

 声の聞こえた方向を見ると、一人の女性がいた。

 ローブを羽織り、魔女の帽子を被ったその女は、杖を持っていることから魔術師であることに間違いはなさそうだった。

「この惨状を生み出したやつは知らないかい?」

「いや、なんというか……俺がやりました」

「はあ?」

《まあそう反応するやろな》

《お前だったのか……》

「いや、たしかにそのステッキからは魔力を感じる。

 だが、それでもこんな惨状にはならないだろう?」

 それはそうだ。このステッキのスキルがなかったらこんなことにはなっていない。

「まて。そのステッキのスキル。まさか、魔術効果を増幅させるのか?」

「まあ、そうですね」












「ほんとになあ、人が巻き込まれていたらどうするんだ!今回は特に被害がなかったとはいえ、もし巻き込まれていたら大変なことになっていたんだぞ!」

「はい……反省しております。」

今、ファストラクタの酒場で説教をされている。

まあ巻き込んでいたかもしれないので、甘んじて受け入れている。

まあ、酒飲みながら話してる分マイルドなんだろうきっと。


「しかし、ははは!あの蒼鋏と戦い生き延びたとは!とんでもないな、お前さん!」

「まあ首の皮一枚残っただけなんですけどね。」

「それだけで実力者と言ってもいいくらいだ。だがなぜ魔術に手を出そうと?」

「弱点属性を使えれば相当やりやすいだろうし、バフやデバフも使えるんだろう?それなら覚えていて損はないと思ってな。せっかくINTもあることだし。」

「なんというか。多芸だな、お前さんは。」

「今はまだそれだけですけどね。」

《酒飲み配信かな?》

《酒飲み配信だぞ》

《あっそっかぁ………》


飲んでいると、魔女さんがいった。

「あんた、私の弟子にならんか?」

「え?弟子?」

「そう。これでも魔術には自身があってな。初歩的なもの、そこから応用した魔術。上級と言われるものも教えられるぞ。

 どうだ?私の弟子にならないか?」

たしかに、独学で学ぶよりも確実に獲得できそうだ。

それに、NPCのコネを作っておくというのも悪くない。

「よし、わかった。とはいえメインで使うわけではないから、教えられても使うかどうかわからないが……」

「大丈夫だ、知っていて損はないからな。

 みっちり鍛えてやるから覚悟しろよ?」

「あはは、お手柔らかによろしく頼む。

 そういえば名前は?」

「エグリス。『爆熱の魔女』エグリスだ。」

――――――

名前:アークス

種族:ノームバトラー

職業:戦士(斧)


重力魔術

『フロート』(NEW!)

『グラビティ』(NEW!)

『シンク』(NEW!)


――――――

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