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配信外「図書館で本を借りよう」

 一旦配信を終えて、宿屋のベッドに寝そべる。

 レイドモンスターと銘打っているだけあって、本気でやっても全く歯が立たなかった。


 こうなれば色々手を出してみたくなった。AGIに振るつもりはないが、INTなら「泥濘奔流」を使ってみたいと思うこともあって、あの戦いで貰ったステータスポイント5をすべてINTに振ったのだ。


 例に漏れず、このゲームには魔術が存在する。

 魔術専門のプレイヤーは基本的に職業が魔術師なので、戦士で魔法を使おうとする人は少ない。

 だがしかし、俺はノームバトラー。魔術と両刀で戦うことは不可能ではない。

 それに、近接職で固まっている場合、遠距離から攻撃できるというのは貴重だと思う。


 となれば、魔術を学ぶのも悪くない。早速図書館にでも行って、本を借りて読もう。







「え、ないんですか?」

「はい、最近は魔術師の方が多くなって……現在すべて貸出となっております。」

「あ、はい……分かりました。」

 出鼻を挫かれてしまった。まさかそこまで魔術師が本を借りに来ていたとは……。

 でもこのまま手ぶらで帰るのもあれなので、なにか良さげな本がないかぶらついてみる。


 絵本だったり小説だったり、結構しっかりとした書物が多くて驚いた。何かしら役立ちそうな本もありそうなものだが………。




「ん?『いわくつきの本棚』?」

 図書館の奥、隅の方にあった一つの本棚にそう立て札がおいてあった。

 性的な表現がある小説だとか、地域振興されている神様をまとめたものだとか、まあ確かにいわくつきとも思える本が多数あった。

 その中でも、気になった本がいくつかあった。

「『星星を観る』、ねぇ。星に関する本か。」

 かなり分厚く、図鑑と言っても過言じゃないほどだ。

「『古代文明レポート』!これ、解読できたりするかな?」

 もしあの石板と同じ文明ならできるかもしれない。

 その期待を胸に取り寄せた。

「えっと。『真珠の愛で方』?なにこれ。」

 そこまで厚い本ではないので借りてみる。









「あのー、これら借りたいんですけどいいですか?」

「はい、では本人確認できるものをお願いします。」

「じゃあこれで」

 ギルドカードを提出する。

「かしこまりました。期間は2週間になります。」

 2週間はゲーム内の時間でのようだ。

 宿屋に戻って読んでみよう。








 まず、『古代文明レポート』を開いた。

 著者は古代文明について調べている学者さんであり、調べてわかったことをこの本に書いたという。

 古代文明人は今よりも高い技術を有しており、モンスターを改造していたという。そしてそれを超える圧倒的な戦闘能力を誇る武装を製造していたらしい。


 しかし、その技術で神を越えようとしたことが神々の逆鱗に触れ、結果滅びてしまったらしい……。

 今は各地にその名残として建物の跡地が残っており、各国で保全されているらしい。


 著者はその跡地を調べていたとき、とある石板を手に入れたらしい。そこには、現在の文字に翻訳すると文字になる象形文字が描かれていたという。その翻訳表も乗っていた。思わずスクショした。


 著者はあとがきにてこう綴っている。

「もし、この本ででてきた石板と同じようなものがあれば、それは古代文明につながるものだ。

 各地にあるダンジョンのボスは、石板の鍵を守っているという仮説も立てた。どうかこの仮説を検証してみてほしい。私に戦えるすべはないのでな。」


 なんというか、かなり参考になったな。それに面白かった。著者はすでに故人だが、もし石板を解いたならば、お墓参りにでも行きたいと思う。



 続いて『星星を観る』を開いた。

「夜空に輝く星は、遥か遠くの太陽の輝きである」とか、「昼にほぼ見えないのは、太陽が地球に一番近く、光を多く当てられるためである。」とか、まあ現実の学校で習うようなものばかり書いていた。


 しかし最後の方に書かれていたものはまるで違った。


「このように、重力は星星と密接な関係にある。

 その重力を扱う魔術を研究するものもいた。私もそのうちの一人である。

 この術式は、その初歩的なものであり、己の体にかかる負担を軽くするものである。」


 その書かれていた術式を読み終わると、なんと重力魔術『フロート』を獲得した。

 自分にかけて、ジャンプ力を上げる魔術だった。

 更に読み進めていくと、『グラビティ』、『シンク』を獲得した。


 グラビティは相手の重力を強くしてスピードを現象させる魔術。

 シンクは自分にかけることで吹き飛びにくくなり、強風の影響を受けなくなる魔術だった。


 初歩的なものとはいえ、ついに魔術を手に入れた。



 最後に『真珠の愛で方』だが………内容がアレだった。

 小説だったので一応最後まで読んだが、パッシブスキル『なでなでの心得』とか言うスキルをもらった。いやもらっても困る。どこで効果あるんだよこれ。


 でもまあ話自体はかなり面白かった。どうして読むだけでスキル獲得なのか理解に苦しむが。

 著者は………『リリーフィルド』ね、覚えておこう。





 何時間も本を読んでいたので、今日はこれで終わるとしよう。

 明日は本を返して魔術用の杖買って、重力魔術の試し打ちだ。

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