二人だけのパーティ、結成
前回のあらすじ
手入れされた盾を受け取り、鍛冶屋の弟子とも会った。
さらに、ツユちゃんと再会した。
「………そうかぁ、あの後そんなことがあったんだ……」
食事を終えて飲み物を飲みながら、俺はツユちゃんに起こったことを聞いていた。
まさかいわれのない噂を流されていたとは。PK共もクソみたいな連中だったが、パーティの奴らもかなりのものだとは。
「災難だったな、本当に……。もう少し俺が人付き合い良ければなにか力になれたのかも……。」
「そんな、アークスさんは何も悪くないですよ!あなたがいなければ、今頃、わたし…………。」
「…………………」
静寂が二人を包む。どう声をかけていいか見当がつかなかった。ただ、このまま放っておくのだけはナンセンスと思った。
だからあえてストレートに言うことにした。
「あのさ。俺とパーティを組んでくれない?」
「え?」
「俺、FAWを始めてからずっとソロで活動していたんだよね。でも、とんでもなく強いやつに会ってさ。あいつと対等に戦うには、一人で強くなるだけじゃだめだと思って。
最近は魔女の弟子になったり、ダンジョン攻略したりで、色々やってるけど、やっぱり限界があるじゃん?それで、魔術師の仲間がいればいいのでは、と思って声をかけたんだけど………どうかな?」
しばらく、ツユちゃんは考えていた。俺も口を挟まず注文したカフェオレを飲んでいた。
やがて決心がついたのか、ツユちゃんはストレートティーを一気に飲むと、俺の方を向いてこう言った。
「私で良ければ、よろしくお願いします。」
こうして、俺たちはパーティを組んだのだった。
「なるほど、お前さんの仲間か。私はエグリス、よろしく。」
「魔術師のツユと申します。よろしくお願いします。」
パーティ結成後、俺たちはエグリスさんの家にやってきた。ツユの魔術適性を検査してもらうためだ。
「まあ、お前さんの紹介なら問題ないさ。それに本職の魔術師ならなおさらね。
ほれ、この水晶に手をかざせ。」
「は、はい!」
少し緊張しているようだった。まあ、その気持ちは分かる、俺も緊張していたから。
ツユが手をかざすと、水晶は青色に輝いた。とてもきれいな青色に。
「おお?青色ってことは……」
「アークスもわかったか。水と風に強い適性……特に水の適性は最高レベルだ。」
「あ、いま水魔術強化(大)と、風魔術強化(中)が手に入りました!」
「大?!」
《明らかにやばくて草》
《ツユちゃんも強いのか………(困惑)》
《やっぱ適性検査って大事なんやな》
「あ」
「どうしました?」
「………今までずっと配信してたんだった」
「え、ていうことは………」
《お、気づいた》
《数分前に元パーティメンバーが運営に処罰されたことをお知らせします》
「え、運営の人も見てたのか?!知らんかった……。」
「すごいですね、『みたけさん』。」
「あれこんなところにもいた?!」
《リスナーだったの!?》
《え、嫌でも助けたときに走らんようやったけど……》
《助けてもらってから知ったんじゃね?》
「ごめん、みんなに聞かれていたみたい………。本当にごめんなさい………」
「いいですよ、次気をつけてもらえれば。それに、みたけさんのリスナーさんは優しい人しかいませんから。」
《え、なんか褒められた?》
《ありがとうな、二人で頑張ってな!》
「コメント欄で行っても分からんって……まあでも、それは間違いないな。」
「ツユちゃんは今レベルはどうなの?」
「レベル15です。なかなか沼地を探索できなくて……」
「あー、沼地だと泥に足取られるもんね。」
《尚この男、地形によるはデバフ無効である。》
《マジでパッシブスキル強い》
「じゃあ、沼地にあるダンジョンに行くか。あそこは狩り場みたいなもんだし」
「分かりました。」
「ハア、ハア、待ってください〜!」
「大変だなぁ………」
「やっぱりスキルで無効化できるの強すぎますって〜!」
「まあそういうスキル持ってこの世界に生まれたから。あ、ちょっと試したいことあるからやってみていい?」
「いいですよ………はあ、つかれる……。」
「ツユの体の負荷を取り除け、『フロート』」
「わわっ?!体が浮いていく?」
「なるほど、やっぱりフロートっていうだけあるな。地形を無視して移動できるんだな。」
「これすごいですよ!どうやって覚えたんですか?!まだ見つかってない魔術ですよ!」
「どうって言われても。本読んだだけだよ?」
「ええー!?」
さて、『死人の洞窟』に着いた。ここの死人はさくさく倒せるのでレベル上げにはちょうどいいと思ったのだ。
「ガァァア!」
「ひぃぃぃっ!」
「ファイアボール!」
「ギャァア……」
「さーて次行くか。」
「いや待ってください!今の威力は何なんですか?一撃じゃないですか!」
《めっちゃ驚いてるな》
《そりゃ驚くでしょw》
《相変わらずの火力の高さよ》
「ツユちゃんも水属性なら行けるのでは?」
「ああいうアンデッド系のモンスターには効きにくいんですよ?」
「まぁまぁ、試しにほら、あいつに」
「わ、わかりました。ウォーターショット!」
「ガギャア?!」
「え、あれ?倒した?」
「やっぱり一撃だったか。水魔術強化(大)って言ってたからそう思ったよ。」
《ツユちゃんもやばくて草》
《はえーすっごい》
《流石の一言しか出ない》
<ボスモンスター『デッドナイト×3』出現!>
「フレイムボール!」
「ウォーターショット!」
「「ウオォォオ!!」」
「やっぱり倒しきれなかった!アークスさん!」
「重力強化、『グラビティ』!」
「ガガガ……!」
「グギギ……!」
「ウォーターボール!ウォーターボール!後はウィンドバレット!」
「ウォーターショット!」
<ボスを撃破しました!>
<『死人の洞窟』をパーティで初攻略した!
魔術『ディスペル』獲得!>
「ゴリ押しでなんとかなったな!」
「重力を強化する魔術も持っていたんですね。それも読書で?」
「うん。それ以外にもスキルはあるんだが……」
「………あるんだが?」
「使い所がないんだよな、あれ……」
NPCと仲良くしないと使わなさそうなパッシブスキルだから。
――――――
名前:アークス
種族:ノームバトラー
職業:戦士(斧)
魔術『ディスペル』(NEW!)
パーティメンバー
名前:ツユ(NEW!)
種族:エルフ
職業:魔術師
パッシブスキル
『水魔術強化(大)』(NEW!)
『風魔術強化(中)』(NEW!)
魔術『ディスペル』(NEW!)
――――――




