初めてのお茶会
視点が戻ります。宜しくお願いします。
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セシルは何もリードに説明してくれてなかったらしい。何をって?私が聖なる回復薬を作れるようになった事ですよ。
何て言ったら良いでしょう。自分で説明するのって、自慢しているようで凄く恥ずかしいんです。そんな風に思う人なんて、実際は居ないんですけど。
そんなこんなで、かなりの時短でアッと言う間に100個単位で作れちゃうけど、今度は薬草が間に合わない。と言う事で、今は温室に居ます。
リードからどの薬草が必要か、どこまで成長させるか、を教えてもらったが薬草によって成長させる度合いが違うので、ちゃんと覚えるまではメモを見ながらだ。力の調節もコツを掴んで来た気がする。
目に見える成長が感じられて充実してはいるが、目下の心配は明日のお茶会だ。
デイジーは忘れてないでしょうね?
ロイとの事も聞いてみたいと思ったが、あれから会っていないので、それは叶っていない。
「ミナ。ちょっと、良い?」
リードが温室に入って来た。
「はい。大丈夫ですよ。丁度きりが良いんで」
しゃがみ込んで作業していたが、一旦作業を止め立ち上がる。
「今度の魔物討伐にミナも同行する事が決まったよ」
「ふぁいぃ?!」
実菜が振り向きざまの、心の準備も出来ぬ内にリードが衝撃的な事実を告げる。
「え、えっ?私が?いつから?!」
「そんなに遠く無い所だって、1日で着く距離の領地らしい。5日後に出発だって」
「い、5日後〜?!」
何で、いつもそんな急なのよー!!
「昨日、急遽決まったらしい。浄化を試してみるのが目的みたいだけどね。ミナ、急成長してるから」
急なのは私の所為みたいですね……すみません。
5日程の日程で討伐に行くらしい。王都よりも北の農業を主にしている領地だそうで、討伐隊は師団長、師団長補佐、副師団長、他師団員5名と実菜の9名と言う事だ。討伐隊として、これが少ないのか多いのか分からないが、回復薬は50個用意した。
「はぁ〜」
「どうされました、ミナ様?」
お茶会の今日、ボサボサ頭では不味いと思い、図々しくはあるのだが、王宮のメイドにヘアメイクをお願いしていた。
緊張により無意識に溜息が出てしまっていたのを、メイドに聞かれてしまったらしい。
「いえ、少し緊張してしまって」
「ふふ、初めてでいらっしゃいますものね。それにしても、ミナ様の御髪は本当にお綺麗ですね。つやつやで」
元々、髪は肩甲骨辺りまであった長さで召喚されて来たのだが、その後切ることもなく半年近く経とうとしている。気付けば腰辺りまで伸びていた。
その黒髪を今日は丁寧にブラッシングされ、高級であろうオイルを付けて貰い、ハーフアップにして貰っている。
確かに天使の輪が出来た今は、黒艶で綺麗だと言えた。
「有難う。貴女のお陰です。あんなにボサボサだったのに、貴女も魔法を?」
メイクの腕も凄い。自然に見えるのに、いつもより目が大きく、唇もぽってりしている気がする。
可愛らしい御令嬢がドレッサーの鏡に映っているのだ。
「残念ながら、私は魔力持ちではありません。ですがお褒め頂き光栄ですわ。しかしながら、土台が良くなければ、出来ませんので、やはりミナ様の元々がお美しいのですわ。出来れば毎日このようにお仕えしたいのですけれど……」
何やら不穏な空気になり始めたので曖昧に笑って「そろそろ、部屋を出ますね。今日は有難う御座いました」と言って、部屋を後にする。
お茶会とはザックリ言うと、皆でオヤツタイム!!っていう事らしい。アフタヌーンティーと同じなのかしら。やった事無いけど。
今日は王宮のサロンをお借りしているそうで、外に出なくて済むのは正直助かる。只、サロンも幾つもあるので迷わないかが不安だが。
程なくして、警備が入口に立っているサロンに辿り着いた。
「実菜!」
後ろから声を掛けられ、振り返ると青い花が笑っている。
「デイジー……可愛い!!」
彼女もいつもしていないメイクをしていて、頬に赤みが指している。唇もピンクに色付いて愛らしい。目も、元々クリッとしていたのに、更に大きくパッチリしている。何より、いつも片側に三編みにしていたストレートの長い銀髪をハーフアップにし、緩い縦ロールになっている。
お人形さんみた〜い!!!兎に角、超可愛い〜い!
「コスプレみたいで恥ずかしいから、あんまり見ないで」
「こすぷれって何?」
「へっ??」
照れるデイジーも可愛い。と、デイジーしか目に入っていなかったのだが、その後ろから発された声に瞬いた。
「セシル…何でここに居るの?」
「デイジーのエスコートだよ」
そういうものなの?
実菜はよく分からず眉を顰める。「勝手に付いて来たんだよ」と、デイジーも眉を顰めた。
「ようこそいらっしゃいました」
その時、可愛らしい声が掛かる。サロンからこれまたお人形の様な可愛らしい御令嬢が姿を現した。この方がウォーター侯爵令嬢なのだろう。
幼さの残る顔をしているのに、醸し出している雰囲気は上品を絵に描いた様だった。
「あら、クリスフォード師団長もいらしたのですね」
「ウォーター侯爵令嬢、本日も見目麗しく。今日はデイジーのエスコートです。王宮は詳しくありませんので」
「まあ、有難う御座います。流石ですわね師団長、お優しい事ですわ」
ホホッと小さく笑うと、実菜とデイジーをサロンの中へ促す。とても自然で上品だ。
これが、淑女!!!
「では、師団長、デイジー様はお預かり致しますわ。こちらで失礼致しますわね」
と言うと、彼女はセシルの鼻先でサロンの扉を締めた。見事である。実菜は心の中で拍手していた。
セシルのペースに呑まれないなんて!
「ご挨拶が遅れてしまいましたが、私はジル・ウォーター侯爵が娘、リリー・ウォーターと申します。本日はお会い出来て光栄ですわ。聖女様。デイジー様」
そう言うと、彼女は美しい礼を取った。
うわぁお!ちゃんと出来るとこんなにも美しい挨拶の形なのね。という事は、リリー様は身体を鍛えているのかしら。
挨拶を終えてティーテーブルに着席する。今回は天気が良いので、このサロンの庭で行うそうだ。確かに気持ちが良い。
「先ずは堅苦しいのは抜きにして、気軽な女子会にしましょう」
と、呼び方もファーストネームで、という事になった。
「それはそうと、デイジー様。父の件は本当に有難う御座いました。デイジー様がいらっしゃらなかったら、投獄されていたかもしれませんもの」
メイドが運んできたサンドイッチを勧めた後、リリーはデイジーに頭を下げる。
「偶々だったのですから、頭を上げて下さい。でも気付くのが何日か遅れてたら、全身に根を張られて完全に……あ、いや、うん。無事で良かったですね」
内容的に不味いと思ったのか、デイジーは後半濁す様に纏めたが、リリーは悟ったのか言葉を失い、青くなっていた。
「本当に危険でしたのね。デイジー様はウォーター家の恩人ですわ」
リリーは微かに震える声で言うと、デイジーの左手をキュッと握った。「まあまあ、私も陛下から報奨まで頂いたので、逆に有り難いと言うか?」なとど言いながらデイジーはリリーの手を穏便に外す。
まあ!こんな狼狽え方をしているデイジーなんて、珍しい!
「そうでしたわ。私、ミナ様に確認したい事がございましたの。ミナ様は第二王子殿下とは面識は御座いまして?」
そんなデイジーに微笑みを残しながら、リリーは実菜に問う。
「第二王子殿下…ですか?いえ、あ、はい。そう言えば、召喚された時にいらしたのが確か第二王子殿下だったかと。それが何か?」
「ええ、実は私は第二王子殿下の婚約者なのですけども、殿下が最近周囲の者に可笑しな事を吹聴していると言うのです」
「こ、婚約者?!えっと、失礼ですが、リリー様はお幾つでいらっしゃるのかしら」
「実菜、この国は16歳が成人で、上位貴族は成人になるまでに婚約者を決める事が普通みたいだよ」
若いのに?!と実菜が動揺していると、デイジーがフォローするように説明を入れてくれた。
「ああ、ご存知では無かったのですね。失礼いたしましたわ。私は今年16歳で成人します。同時に学園も卒業となるのですが、どうも殿下が卒業式の会場で私との婚約破棄をして聖女様と婚約をすると周囲の者に吹聴しているらしいのです。なのでミナ様はどう受け止めていらっしゃるのかと思いまして」
受け止めるも何も初耳ですが?
「その様子ですと、何もご存知で無いと見受けられますが、あの……」
そう言うと、リリーは周囲を伺う。
「これから申し上げることは未発表ですので、他言無用なのですが」
言いにくそうにリリーが小声で囁やくと、「大丈夫、防音壁を作ったよ」とデイジーが通常の音量で言う。
リリーは瞬き「凄いんですのね」と呟いた。
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