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聖女として召喚されたので、期待に応えてみた結果  作者: 珠音


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技の名前ですか?いいえ、それは決め台詞です



お昼時という事もあり食堂はそこそこ混んでいた。


私はハムとチーズとトマトのサンドイッチ。デイジーはチキンサンドを頼んだ。サンドイッチを乗せたトレーを持って席を探していると、こちらに手を振る者が目に入った。


「セシルもお昼だったんですか?」


セシルとロイが隅のテーブルで相向かいでお茶を飲んで居たようだ。空のカップが置いたままになっている。


「うん、デイジーがミナをお昼に誘いに行くって言ってたから僕達も来たんだけど、遅かったね。僕達食べ終わっちゃった」


「すみません、少し話し込んでて…」


別に待ち合わせしていた訳でも無いのに、セシルが口を尖らせて非難がましく言うので、つい謝ってしまった。ロイがセシルの隣に移ってくれたので、空いた席の方に実菜とデイジーが座る。


セシルとロイが目の前に居るので食べにくく感じたけど、デイジーがお構いなしにパクパク食べ始めたので私もそれに倣う。


「そういえば、デイジーは生薬なんかにも詳しんですか?」


先程の事を思い出し聞いてみる。「何なに?」セシルも興味深そうな視線を投げてくる。


「あぁ、そうだね。よく作ってはいたね〜」


勿論日本で、と言う事だけど何でだろう、はぐらかされてる様な気がしてくるのは。言いたくない事だったのかしら?人には言いたくない事も普通に有るわよね。気を付けよう。


セシル達にはアンドロワ帝国からの贈り物の件を伝えた。

「なるほどね〜、確かに何かしらの意図が感じられなくも無いね。でも難しい事は偉い人達に任せよう」

「……」


セシルの言葉に、何処かで聞いた言葉だわ、と無言で見つめてると「何?」と聞かれたが、ふるふると首を振って答える。


「あ、ねぇ。ミナは今日の夕方は空いてる?デイジーの魔法鑑賞会を演習場でするんだけど、ミナも来なよ」



何だその珍妙な会は?!



入団試験の時のデイジーの魔物の倒し方が見たい、とセシルが言い出したらしい。師団長は確認する義務がある!と息巻いたらしいが、鑑賞会と言ってしまう辺り、もう既に確認では無い気がする。興味がダダ漏れだ。




仕事が終わってから、魔導師団の演習場に行くと既にセシル、ロイ、デイジーの三名は来ていて、三者三様の表情を見せていた。


「んで?魔物は居ないけど、どうすれば良いの?」


デイジーは面倒くさそうにセシルを仰ぎ見る。対照的にセシルは満面の笑みで、端に置いてある荷車を指差した。

荷車を引いてくると中身はバレーボール位の大きさの石だった。


これ、何?


セシル以外の三人は訝しげな視線を彼に向ける。


「これを、こうして…よいしょっと!」


石を一つ両手に取ると、思い切り空に放り投げた。そして右手を石に向かって翳す様に伸ばすと、石が空中で浮いた状態で止まった。空中と言っても身長の倍くらいの高さだが。


どうなってるの?!……これが魔法か。凄い。両手で持つ位重い石なのに。



「先ずはこれを魔物と思って倒してみて?」

「倒すって……破壊すれば良い?」

「ザシュンッ!!!」


デイジーがそう言うが早いか、石が木っ端微塵に砕け、砂の様にサラサラと破片が落ちて来る。


「早いよ!!観てなかった!もう一回!!」

「えぇ〜〜!何で観てないのよ!」


目の前の光景に、目を剥いて声も出ない実菜を他所に、喚くセシルに心底面倒臭そうにデイジーが返す。


「普通は無詠唱じゃないんだよ!せめて技名を言ってよ」


「えぇ〜〜、恥ずかしいんですけど!………私、何かに代わってお仕置きしなくちゃいけないの?」

「それは決め台詞です!」


某美少女戦士の!と、割と真剣に困った顔をこちらに向けて来たデイジーに思わず強めにツッコんでしまった。


あ、そうか、技名ね……と、呟きながらう〜ん、と唸っている。


「何となく何ですけど、あの二人似てません?」

「雑なんですよ、二人共。言いたい事だけ言う人達だから、単語一つで会話が成り立つ時もあれば、全く噛み合わなかったり。補佐官が居れば楽になると思ってたんですけどねぇ」


私は隣に立っているロイに、思わず感じていた事を聞いてみたら苦い顔で溜息混じりで返された。


心中お察し致します。


それにしても、単語一つで会話が成り立つなんて、長年連れ添った夫婦みたいじゃない。等と考えていると、また爆発音の様な音がする。


「どろんこアロー!!!」


ぶっ?!ネーミングセンスッ!!!


しかも、何でしっかり石が破壊された後に技名を言う?!タイミング可笑しいですから!残念!


流石のロイもこのセンスには思う所があったらしく、横を向いて肩を震わせていた。しかしセシルはと言うと、土で矢を作ったのか〜、と、爆破されたのであろう地面を繁々と見つめ、自分も出来ないかその場で何やら唱えたが、土の山を歪に変形させるだけだった。本当に関心ある事だけなんだねぇ〜。


「でも、何で粉砕させてるのに飛び散らないの?」

「攻撃対象を結界で包んでるんだよ。飛散物で怪我しても嫌でしょ?」


セシルがデイジーを振り返り問うと、何でもないように彼女は答えた。


「でも結界を張ってしまったら攻撃出来ないじゃん?」

「だから攻撃してから張るんだよ」


当たり前でしょ?とでも言うようにデイジーが言っているが、セシルとロイの引いた状態を見るに簡単な事では無いのだろう。

「そんな簡単に結界を?」独り言であろう、ロイの呟きが聞こえた。成程、結界と攻撃は別の魔法って事ね。結界は難しい魔法らしいし、それをほぼ同時に……って、凄っ!

そりゃ技名言ってる間は無いわね。




「ところで、頼んでいた事はどうなったのかしら?」


一通り鑑賞してセシルは一応は満足したらしくお開きとなった時、デイジーがロイに問うた。


「ああ、あれね。うん、許可は降りたよ。両方ともね」


何故か端切れが悪いロイ。私もセシルも何の事だろう?と二人で無言でロイに説明を求める。


「建国記念パーティーの件でね、陛下から騒動を止めてくれたとして報奨を、て事になったんですけどね。彼女が希望したのが王宮の温室の使用と図書館の閲覧禁止エリアの閲覧許可だったんですよ」


私達の視線を受け、説明するロイにデイジーが笑顔で、うんうんと頷いている。


「何で閲覧許可なんて?」

「うーん、この国の歴史に気になる所があると言うか…勿論、図書館にこの国の歴史書はあるんだけど、この国ってさ、ドラゴニアンじゃない?国旗もドラゴンと剣だし、だけど歴史の中でドラゴンが出てくる事がない、昔話にも出て来ないのが気になるのよ。勿論本当に関係した事が無いかもしれないとも思ってるよ?只の興味だよ」


ロイは神妙な顔で聞いていたが、セシルはそれに興味を唆られる事は無かったらしく、ふーん。とだけ答えた。


「じゃ、温室は?」

「薬草を育てようと思って。魔物の所為で薬草畑が荒らされちゃってるでしょ?だから」


セシルはついでに、と言った感じ聞くと、至極真っ当な答えが返ってきた。


「じゃ、私達は今から温室に行きますか。私に掴まってくれる?」


と、デイジーは笑顔で私の腰に腕を回した。



えっ?!私も?!そして、掴まるって何?!



何となく嫌な予感がしたと思った刹那、身体が浮いた。「飛んでった方が早いんだ〜」デイジーがサラッと言ってる間に、目を剥いているセシルとロイがかなり小さくなっていく。



待って、待って〜〜!!飛んでる、空飛んでるよ、私〜〜?!

お読み頂き有難う御座いました!

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