ここは日本ですか?いいえ、違います
初投稿です。
書き終えていないので、もしかしたら設定が途中変更するかもしれません。寛容な眼差しで読んで頂ける方向けです。お暇な時間にお読み下さると有り難いです。
R15は今後少しだけグロい表現がある(予定)為、念の為です。
――――――目が覚めたら見知らぬ天井が視界に広がっていた。
高級ホテルのスイートルームのような部屋で私、神倉実菜(23)は目が覚めた。
ここはどこだ?!
まだぼんやりしていて、そして何故か全身怠いのだが、何とか上半身を起こし部屋を見渡してみるが、全く身に覚えがないし、そもそもこんな豪華そうな部屋が一介の貧乏OLに縁があるわけない。
まさか?!
と思い、隣を確認してみるが生憎と大きいベッドの真ん中に自分だけが寝ていたようなので、何方かとやらかしたわけでもなさそうだ。
うん、分かってた。分かってたよ?男性と縁遠い私に限って、お持ち帰り的な事ある筈無いって事は。
服着てるし……って、あれ?!
自分を抱きしめるような形で服を確認してみて気が付いた。
ネグリジェみたいなの着てるんですけどー??
私こんなの持って無いよー?
パジャマはスウェットかTシャツだもん!
ここのホテルのやつかしら?!そもそもホテルかしら。
えっ?でも、自分で着替えたの?覚えて無いよ。どうなのー?
誰かこの状況を説明してー!!
ひとり百面相をしながら頭を抱えて唸っていたところ、ガチャッと部屋のドアが開いた。
目をやるとメイド服を着た女性が一礼をして入って来る。
栗色の髪をひとまとめにし、彫りの深い顔立ちとブルーの瞳。
え?誰??あ、目が合った。
そのブルーの瞳を見開いて私を凝視したその女性と見つめ合うこと一秒程だっただろうか。
が、外国の方…?
戸惑う私に対し、先に動いたのは女性の方だった。
「お目覚めになられたのですね!」
その後は同じメイド服を着た女性が数人入って来て私が口を挟む余裕もなく食事やら湯浴みやらと慌ただしく進み、何故だがシンプルな白のワンピースを着せられ化粧を施され、ソファーに促され、最終的に用意された紅茶を口に運んでいた。
いや、お風呂で人に身体を洗ってもらうなんて子供の頃以来なんですけどね…
目が覚めてからの衝撃と待遇が過ぎるんですけど、、高級ホテルだとここまでサービスするのが普通なのかしら?
恥ずかしいので、一人で入ります!と手伝いを拒否したら、それを拒否された。…ははは。
なんか遠い目になった。
でも未だにこの状況は理解出来ていない。
夢かとも思ったが、やけにリアルで痛みも感じるので現実ではあるのだろうけど。
それよりも!!
日本にいるのにメイド達の容姿がどう見ても皆外国人。それなのに会話が難なく出来ている。
いや、日本語が上手なだけです。と言われたらそれまでなんだけど!
なんだけど!!
この状況だと、まるで私の方が外国に来たのでは?という気分になるのだ。
まさか、という仮説が頭を過ぎる。
いやいやいや!!それこそないのよ!……異世界に来ちゃいましたー!……なーんて。
私、もしかして、○ニ病というやつかしら、過労で可怪しくなったのかも……。
未だ混乱したままひとり悶々としているとメイドから声を掛けられた。
「クリスフォード様がいらっしゃいました」
「クリスフォード様…?」
「魔導師団第一師団長セシル・クリスフォード様です」
「ま、まど…?」
「どぉうもぉー!!」
聞き慣れない単語に聞き返そうとしたところへおちゃらけたような元気な声が飛び込んで来て、しりとりのようになってしまった。ワザとではないと思いたい。
声のした方を見やると、黒いローブを纏ったスラッとした男性がドアの前に立っている。
長い銀髪を後ろで束ねて深いグリーンの瞳。やはり外国人ぽい。しかも銀髪!
黙って澄ましていれば大人っぽく見えるのだろうが、人懐っこい笑みを見せているせいか、少年のようにも見える。
この人がセシル・クリスフォード様?
ハッキリ言って私はイケメンとは縁遠い人生を送って来た。そんな私にとって目の前のクリスフォード様は十二分にイケメン過ぎて思わず俯く。尊過ぎて目の毒。
「いやー、3日も目覚めないからどうしようかと思ったよー」
遠慮なくズカズカと入って来たと思ったら私の正面のソファーに当たり前の様にドカッと座った。
私はというとサラッと言われた言葉に、えっ?と顔を上げた。
「3日…?」
「3日」
「う、嘘?!」
「本当」
「本気で?」
「…もういいでしょ」
本題に入っても良い?と苦笑するクリスフォード。
いやいや、そりゃ、しつこくもなるでしょ。
3日も寝てたら……身体も怠くなるか。かなり睡眠不足だったしね〜。
「じゃあ、改めて。ドラゴニアン王国へようこそ!聖女様!」
「え!」
「え?」
イケメンとか言ってられず、思わず食い入るようにクリスフォードの顔を見つめ、寝耳に水な反応をした私に彼も驚いた反応をする。
「もしかして覚えてない?とか?」
またもや苦笑するクリスフォード。
「あぁ、でも、まぁ、なんというか…御乱心、いや、錯乱状態だったから仕方無いかな〜、ていうか、忘れたままでも良いよ〜、みたいな?」
目を泳がせながら、少し困ったような焦ったような顔で早口でクリスフォードが続けるが、歯切れが悪い。後半は口籠るように小声で良く聞こえない。
そんな彼の様子を訝しく感じ、血の気が引くというか、本能が思い出してはいけない。と危険信号を発しているというか…。
しかし、無情にも覚醒した頭の隅に記憶が蘇ってきてしまった。
「―――――あぁぁあァァ」
絞り出す様な呻き声を上げながら、私は頭を抱えた。
お読み頂き有難う御座います。