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死霊王に俺はなる!  作者: 城乃山茸士
死霊王の目覚め
80/142

80 量産聖女があらわれた!

 アシュが結界の外側を何者かが取り囲んでいると伝えてきた。街に来てた武装神官とは別口か。玉座にいながらにして、外の様子が見せてもらえるのは非常に便利だ、が、囲んでいる連中は予想よりずっと異様だった。顔の一部が崩れた女性神官たち。気配もおかしい。祝福?魔力?そういった力が暴走しているようだ。その暴れる力を結界にたたきつけている。神官服で隠れている体ももしかしたら崩れかけているかもしれない。その様子を見てアリシアが口を開く。


「悪い冗談だと思ってたんだけど……」


 彼女は何かを知っているらしい。ものすごくいやそうな顔をして言葉を続ける。


「聖女って、素質のある女性神官に天使を降ろして融合しちゃうんです。儀式当日まで、本当は聖女候補にもヒミツなんですけどね。で、なかなかこれは難しいんです。簡単には条件が整わなくて」


 天使を降ろすってのも割ととんでもない話に聞こえるのだけど、さらに融合とか言われるともう何を言ってるんだお前は、みたいな気分になってくる。しかしアリシアが言うのだからきっと本当なんだろう。


「で、どこかの誰かが考えたんですね。運よく降ろせた天使を分割して、それぞれの足りないところを魔術で補おう、そしてそこそこの能力の神官に無理やり埋め込んで癒着させてしまおう」


 無茶苦茶だ、というか冒涜的ですらある。天使のかけらを魔術で培養して、人に埋め込む。適性のない神官に起こる拒否反応も魔術でごまかす……


「冒涜的ではありますが、神の力そのものに手を出すのではなく、あくまで神の力の影響で発生する天使に対してなので、禁忌のレベルは多少下がります……とはいえ普通の清く正しい神官たちには無理ですね。思いつきもしないでしょうし」


 それはつまり、まっとうでない神官たちがいて、それがこういう無茶をする、ということだろうか。しかもそれなりの規模で。いくら信仰が解釈次第とはいえ、なかなか図太い神経をしている。少なくとも神聖とか言ってる連中のやることとは思えないのだが。


「どんな組織にも闇ってのはあるものです」


 それにしても、禍々しさが一線を越えてしまっている気がする。正直アリシアのほうがよほど神聖に見える。


「私はマスターの力できれいに軸が置き換わってるだけですからね……あの子達は人に属する力、半端な魔術で格の違う神の力のかけらを埋め込まれて、さらに魔術で形を保つように補強して死なないようにしているので、実は作り直される前のイライザちゃんに馬鹿みたいに大きな魔力源を埋め込んだようなものですね」


 魔改造されたモンスターマシンとか、試合の時間だけなんとかなればいいドーピングとか、そういった類のアレか。ていうかその喩えだとバラバラになった“死体”をつなぎ合わせてるってことにならないか? ひどい話だ。俺はともかく連中は神聖とかそういう言葉でぶりっこしてるんじゃないのか。


「あとマスターの力の影響を受けないように細工されてそうですね。これも無理やり後付けで、ここに投入するにあたって追加したんでしょうね。提案段階よりさらに歪になってます」


 俺の力で何とかできれば話が早いかなと思ったけど、そりゃそうか……わざわざここに連れてくるんだし、対策するよな。


「結界第一層消失ー」


 アシュの声が上から聞こえる。いつまでも話し合ってるわけにはいかないな。


「結界に負荷がかかりすぎるから、できればだれかお迎えにいってほしいかなー」



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