65 ドラゴンに乗りたい
世界地図は思いのほか早く届いた。想像していたものと違って両端がつながっていたりはしない、現在わかっている範囲の地図といった感じだ。王国視点での“世界”ということになるんだろう。そういえばもともと住んでいる人のいた“新大陸”を“発見”した伝記を当たり前のように呼んでいたなあ、と前世の記憶を思い出す。この地図の外側に普通に生活している人がいたとしても、王国から見れば発見になるのだろうな。
「あーまあそんなめんどくさい話はどうでもいいとして……」
地図のところどころに絵が描いてある。海にでっかいイカとか。コウモリとか。こっちの絵はドラゴンかな……
「イカはわかりませんがコウモリはたぶん、ユーグゼノの吸血鬼でしょうね。確かはじまりの吸血鬼の伝説があったかと」
「吸血鬼も気になるけどドラゴンのほうが気になるなあ……いるのかな?」
「ドラゴンですか?いますよ。ルイティンの竜騎士なんかは一部では有名ですね」
「竜騎士!すごくファンタジーっぽい!俺もドラゴンに乗れるかな?」
「マスターが乗るなら生身のドラゴンよりドラゴンゾンビとか、骸骨竜とかのほうが似合いますね」
骸骨竜、かっこいいな。
「マスターでしたら生きたドラゴンの生気を吸いつくしてもいいと思うのですが、一般的には死後自然に白骨化したドラゴンのほうが大地の気を吸って良い骸骨竜になると言われています」
俺が生気を吸ってアンデッド化するのって、結構感覚的なものだからうまくいくかどうか賭けみたいな部分があるんだよなあ。アリシアのときなんか完全に事故だしな。あと風雪に耐えたドラゴンの骨を骸骨竜として使役するのって、なんかかっこよくない?
「確かに、そのような骸骨竜に乗るマスター、かっこいいと思います」
あれ、うれしいけど俺が言ったのはそうじゃない……まあいいか。
「しかしマスターが直接騎乗されるのですから、これは私たちが直接行って探してきたいところですね」
「人任せにはできませんわ」
「ではイライザさんが帰ってきてから、ですね」
イライザが帰ってきたら観測気球も上げなきゃいけないしな。それにしても、死霊王にちゃんと近づいてるのかな。
「前にもお伝えした通りです、マスター。マスターはそうなるようになっているのです」
「よくわからないけど、好きにしていて良いという事かな」
「そうです。もし問題が起きた場合は対応をお願いするかもしれませんが、今のところは何も問題ありません」
なるほどわからん。けどとりあえず好きにしていていいという事なのでそうしよう。




