64 対策分室の面々
対策分室のメンバーは全部で7人になった。自己紹介の内容をまとめるとこんな感じ。
◆ウトバム
黒王対策分室長。そもそもはネクロマンサーの研究施設襲撃事件を担当していたのだが目撃された神官服のミイラに関連して黒王の棺関連事件全般の担当を押し付けられた。面倒は勘弁してほしい。
◆ヴィム
大剣使い。冒険者歴は結構長く、最近はパメラ、ステイル、キャシーと4人でパーティを組んでいる。どちらかというと臆病だから生き残れてきたと思っている。
◆パメラ
盾術が得意。元騎士団員だがあまり騎士のノリが好きではない。ただ、昔のツテで色々と王都の事情に詳しい。盾はでかければでかいほどかっこいい。
◆ステイル
魔導士。魔導士家の三男だが勘当されている。得意属性は<土>だが一応四大属性は全部使える。家の継承魔術は教えてもらえなかった。本当は杖を土属性で強化して筋力で敵をぶん殴るのが一番好きな戦い方。
◆キャシー
スカウト。ヴィムよりはちょっと大胆だけど臆病なほうだと思う。スカウトはそれでいいとおもうし、パーティーのリーダーも臆病なぐらいがちょうどいいと思っている。回復魔法チョットデキル。
◆ラパン
ソロで活動することが多い、うさぎをこよなく愛する冒険者。今回は死霊術師の募集ということで、死霊術に近い方術を得意とするので冒険者の店を通じて紹介された。ポシェットに秘密の小道具が入っている。一応二本の短剣も使える。
◆アレク
魔法協会に登録している魔術師。得意属性は四大元素では<火>。ほかに結界術が多少得意で、ラッシャ商会にはそれを見込まれて辺境伯領までの護衛の仕事を受けた。どうやら周囲の気配を探るのも他の人よりは多少できるらしい。
一通り自己紹介が終わった後、ヴィムが口を開いた。
「室長の目論見がいまいちわからないんだけどな。ぴょんぴょん死霊術師と、協会魔術師はわかるぜ?相手がミイラだ悪霊だ死んだはずの領主の娘だって言うならそりゃ死霊術師に話も聞きたいしいざって時には戦ってもらいたいだろうさ。普通の人間に気づかれずに町全体を死の町にするような相手には、それに気づいた協会魔術師の……アレクか、アレクも必要だってのはわかる。わからないのは最初に集められた俺たちの方だ。俺たちに何をさせるつもりでわざわざ給料払って俺たちを集めたんだ?」
「別に何も考えずに冒険者パーティーを呼んだわけじゃないさ。君たちとも個別に話をしただろう?店主からは要望に合いそうな人たちを紹介してもらって、一人ひとり話をして、結局君たちパーティーが一番しっくりきたから、結果として一緒に来てもらった。ただまあ、狙いがあるというよりは、何があっても何とかしてくれそうなメンバーを探したって感じかな。なにせ……話がどんどんややこしくなって、正直予定なんて立たないようなものだからね。面倒ごとに一緒に頭を抱えてくれそうな、頼もしいメンツなら給料を払っていてもらう価値はあるとおもうよ」
「そりゃあもらった金の分は厄介ごとにも向き合うつもりだが……できることとできないことはあるからな」
「なんでもできるって言わないやつの方が、仕事を一緒にする上では信用できるんだよ」




